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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「線は、僕を描く」砥上裕將 (講談社文庫)



内面にどんなものを抱えていたとしても。
命ある限り、人は生きていかなければならない。
だったら。
空っぽのまま虚ろに生きるよりも、
ほんの少しでも満ち足りた人生であるといい。
水墨画=篠田湖山との出会いは、
霜介にとっての人生の分岐点。
と同時に、千瑛にとっても重要な分岐となる。
こうやって人は互いに影響を与えながら繋がっていくんだね。
作品の内容全てが込められたタイトルに唸る。
タイトルが先か、結末が先か。
ちょっと気になってみた。
水墨画の美術展ってあるのかな?
あったら迷わず観に行きたい。
と思ったお借り本。


最近、硯の伝承産業会館を訪れて色々な硯を見てきたばかりだったので、
なんだかタイムリーだなーと。
墨をする作業がちょっと懐かしい。
個人的に西濱さんと斎藤さんがお気に入り。
なので、ウキウキ映画の公式サイトを見に行って、
なんか違う……と、帰ってきました(笑)

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「パパと親父のウチ呑み 2」豊田悠 (BUNCH COMICS)



作ってみたい……というより、食べてみたいレシピが盛りだくさん。
呑みたい大人だけが楽しいんじゃなくて、
子どもたちもしっかり美味しく楽しく!という雰囲気がとてもやさしくてあたたかい。
先日グレープフルーツスカッシュを作ろうと思って百均で買ってきたグレープフルーツ絞り器。
華奢だなー、大丈夫かなーと思って絞ってみたら、案の定、力入れすぎたのか壊しました(笑)
スペアリブは作ったことないので、チャレンジしてみたい。
初めて食べたスペアリブは友だちが作ってくれて、
その時はコーラで煮てました。
お肉とコーラが同居できることを初めて知った衝撃。
美味しかったなー。


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「屑の結晶」まさきとしか (光文社文庫)



いたたまれないほどにやるせない思い込み。
けれども。
それが彼が生きていくための支えだった。
大人になり切れなかった、悲しいほどに幼い魂。
彼の世界はあまりにも狭く、孤独で心許ないものだった。
彼の世界に色を添えたのは、母からの呪縛を拭いきれなかった彼女。
そんな彼女との一方的な約束がとても哀しい。
それでも、彼女はその想いを彼に託し、彼は受け止めた。
プロ意識を逸脱した弁護士。
それ故、彼女は生涯において重荷を抱えることになるだろう。
けれども。
それが彼女の選択。
どうしてこうなってしまったのだろう?
そんな問いかけに答えを知る者は、多分いない。



帯に「号泣」とか「泣ける」とか「涙がとまらない」と書かれた時点で、
まず気持ちがスッと冷めます。
いや、そんなのこっちの受け止め方だし?
決めつけられるのも、ちょっと……と。
いろんな先入観とか余計な情報は一切なしで読みたい派。
私の感情は私が決める。

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「猫だまりの日々 猫小説アンソロジー」 (集英社オレンジ文庫)



猫にまつわる小説が5編収録されたアンソロ。
ファンタスティックでありながら、こうあったらいいな、
と思えるような作品ばかり。
個人的なお気に入りは2作品。
谷瑞恵さんの『白い花のホテル』
途中で「ん?」というひっかかりがあって。
誰目線の想いなのかがわかったうえで読み進めていくういに
思わずホロリとさせられてしまった。
「帰ろう」という決意が刺さる。
一穂ミチさんの『神さまはそない優しない』。
短編でこの読みごたえはすごいわ。
たとえ神さまは優しくなくても。
弱さと不器用な優しさを抱えて生きる彼らが悲しくていとおしくて。
泣けて仕方なかった。

サラッと読める本を、と軽い気持ちで手に取ったけど、
思っていた以上に良かった。

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「フリージア」東直己(ハルキ文庫)



途中まではグイっと引き込まれて夢中で読んでいたんだけど。
刺す、切る、撃つの繰り返しに途中で失速。
いや、そこまでやりたい放題やったら捕まるし。
北海道と言いつつ、そこ、どこの国ですか?と問いたくなる。
やりすぎて、もはやファンタジー。
そもそも、男が女のためにそこまでするに至る経緯が
読み手の想像力に丸投げされた感に、なんかスッと冷めてしまった。
超置いてけぼり。
とはいえ、途中で本を置くことはなく一気読みではあったけど。
ん~。
個人的には最後までガッツリのめりこみたかっただけに
ちょっと残念な読後感。
続編迷うところだわ。

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「汝、星のごとく」凪良ゆう(講談社)



幸せの形に正解はなくて、
自分が幸せだと思えれば、それが自分にとっての幸せのあるべき姿。
凪良さんの作品はいつだってそんなふうに訴えかけてくる。
人生は本当にままならない。
優しさですら、人を幸せにもするし、不幸にもする。
だけど。
その情がいとおしくもある。
言葉にしなければ想いは伝わらない。
どこかで想いをぶちまけていれば、何かが変わっていたかもしれない。
だけど、多分。
こうなる以外の結末はなかったんだと思わされてしまう。
読めてよかったお借り本。
間に合ってよかった。
花火を見ることができてよかった。


余命宣告をされても、やりたいことはやりたいと主張するべき。
もちろん、周囲の協力は必要だけどね。
私は抗がん剤治療真っただ中で沖縄に行きました。
そして、呼吸が一度止まり、そこから蘇生した親戚は、
体調が安定した一瞬でどうしても家に一度帰りたいと主治医に懇願し、
介護士さんと共に戻った自宅で同じく病床にあった旦那さんとツーショットの写真を撮り、
笑顔で病院に戻った二日後に旦那さんが亡くなりました。
かねてから旦那より先に死なないと主張していた彼女は
役目を果たしたことに安堵したのか後を追うように永眠。
根性で寿命が伸ばせる奇跡。

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「きょうの日はさようなら」一穂ミチ (集英社オレンジ文庫)



そうそう、そうだった!と、昭和感覚がリアルによみがえり、
そこから発展した今の令和の世の中ってそんな感じだよねーと改めて思う。
昭和しか知らない彼女と今しかしらない彼らの感覚の対比が秀逸で、
自分は流れに乗って昭和から今に移り変わってきたんだなーと当たり前のことに気づかされる。
その当たり前を失われた一人の少女。
彼女を交えたひと夏の物語。
関わった人たちの誰もが、
一生忘れられない何かを背負った夏。
門司家にとっては壊れかけた家族の絆が再び結ばれた夏。
その決断が正しいとか正しくないとかではなく。
それしかなかったんだと思う。
眠りから覚めた時、寂しくありませんように。

個人携帯なんてまだ持っていなかった時代。
家電での遠距離近距離での長電話の電話代が嵩んで親と喧嘩になって。
「もういいわ。自分で電話線引くし!」
と、啖呵切って自室に電話線を引っぱった思い出。(笑)
あの時は友人たちの家電の番号をいくつも諳んじていたのに、
今では家族の携番すら言えない。
短縮は便利なんだけど、そういうとこは駄目だね。



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「彼等のワンピース」菅野彰 (ウィングス文庫)



呼吸をするように軽やかに人生を渡っていく人もいるし、
進むべき道筋を見失って迷子になる人もいる。
自らの行いを正しいと、背を伸ばして言い切ることができる人もいれば、
誰かに迷惑をかけていることに気づかない人もいる。
躓きなく生きていくことは、多分とても稀で、
誰もがどこかで何かに躓き、大なり小なりの生き辛さを感じる世界。
だけど。
明日、未来が拓ける気づきがあるかもしれない。
友と呼べる誰かに、出会えるかもしれない。
大きな喪失を忘れることはできないけれども。
少しずつ、でも着実に前に進もうとする、とても繊細な人たちの物語。

コミック『ぼくのワンピース』のその後を描いた小説。
向き合うためのエネルギーが必要な作品……かな。
多分私は彼らのように複雑で繊細な思考は持ち合わせていないけれども。
引きずられて引っ張られて。
どっぷり浸かって一気読み。



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「完璧な母」まさきとしか(幻冬社文庫)



さらっと読み終わってしまったけど、内容はなかなかえぐい。
いや、逆か?
内容的にえぐいんだけど、さらっと読み終わってしまった。
描かれる三組の家族。
共通しているのは、母親に振り回される子供たちの姿。
子どもは母の意のままになる所有物ではないし、
放置して許されるものではない。
歪んでしまった子どもたちの人生の責任の大半は、母親にある。
いや、父もだ。
浮気する父親は最低だし、虐待は本人に同じことがはね返ればいい。
それぞれをもっと掘り下げたら、鬼気迫るものがあったのだろうか?
勝手な感想だけど、もっとガツンとくるものが欲しかった。

がっつりした手ごたえというか読みごたえがあると思って挑んだ結果、
あっさりしていて肩透かし。
これは私の期待値が高すぎたのか、著者がもともとそんなことは意図していなかったのか。

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「見えないほどの遠くの空を」榎本憲男 (小学館文庫)



綺麗な作品ではあったけれども。
自分的な読み時というか、「旬」を逃した作品だったなぁ、というのが第一声。
彼らと同世代の時に読んだのであれば、いろいろ刺さったのかもしれない。
揺らいで迷ってぐるぐるして。
自分の在り様を懸命に模索していた時。
もちろん今でも立ち止まって悩むことはあっても、
あの時みたいな自分の居場所探しをする感性は、たぶんもう、持ち合わせてはいない。
これまで積み重ねてきた時間があってこその今だと思っているから。
「ここに在る」ことに対する揺らぎはなく、地に足はついている。
多分ね。

これで榎本さん作品はコンプ。
うん。
やっぱり『真行寺シリーズ』が好き。
必然的に『DASPAシリーズ』も大歓迎。
ついでに黒木の話もよろしく!←誰に言ってる?(笑)


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