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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ボートの三人男」ジェローム (中公文庫)



ボートに乗り込むまでがあまりにもモタモタしていたので、
ボートの旅自体が妄想で終わるのではないかと、一瞬危惧してしまった。
時間とお金に余裕のある男三人+犬一匹が
テムズ川をボートで漕ぎ出す旅へ。
ゆらゆらと移ろう川の流れのように、
彼らの物語も川辺の現風景や彼らの過去、イギリスの過去等々、
とりとめもなく移ろっていく。
それぞれに面白みがあっても、彼らの旅のリアルタイム中継が個人的には一番楽しかった。
彼らの楽しい旅の終わりは衝撃的。
いいの!それで!?
ゆとりのある人は違うわね。
そして鱒の始末はどうした!?気になる~!

爽やかな季節の屋外で。
出来れば水辺で読むのにふさわしい本。
かもしれない。(笑)
荷物を身軽にするには必要な物を持っていくのではなく、なくては困る物を持っていく。
その通り!
デジカメ購入を考えているの中ですが二択で50gの重さの違いに唸っています。
デジカメだけで個々に比べれば重さの違いがわかるけど、
バッグに放り込んだら絶対気にならない範疇のはず!
【ガーディアン必読 86/1000】

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「欺す衆生」月村了衛(新潮社)



実際に起きた詐欺事件をモチーフに展開されていく物語。
そして私が真実だと思っていたことがそうじゃない可能性があることを提起されてしまった。
踏み出す方向を誤ってしまったばかりに
深い闇に絡め取られていった隠岐。
巻き込まれたような言い方をしているけど、
わかっていて最初の一歩を踏み出した彼はどう言い繕ったって犯罪者だ。
同性だからということを割り引いても、聡美の存在は気持ち悪い。
隠岐と係わり、多くの人が身を持ち崩し、死んでいった。
「因果応報」
という言葉しか浮かばない読後。
だけど、罰せられることなく闊歩している者が間違いなくいるであろう現実を思うと
すごく嫌な感じの寒気がする。


煙草は吸わなければ味が分からない。
薬は手を出さなければ依存することはない。
詐欺だってそう。
濡れ手に粟の状態でお金が入ってくることに味を占めてしまったら?
いやいや。
世の中、欺す人ばっかりじゃないよ!と思いつつ、
メンタル弱ってる時に読んだら、どよーんとしたまましばらく浮上できなかった気がする。
ヤクザ者を魅力的に描くのは相変わらずうまいなー。
とりあえずほのぼのしい本を読んで癒されよう。

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「丕緒の鳥 十二国記 5」小野不由美 (新潮文庫)



人々の暮らしぶりを描いた短編4編。
『丕緒の鳥』
その美しさに息を呑む。
繊細で、だけど脆弱さなど欠片もなく、硬質で澄み切った音を奏でる鳥の音の描写の美しさに。
『落照の獄』
感情で物事をとらえる自分には、弁護士も裁判官も向かないとつくづく思う。
『青条の蘭』
荒廃しきった土地で、民のためではなく、私欲のために躍起になる官吏たち。
その中にあって標仲が民のため、国のために命がけで運んだ筺。
彼が倒れた後は、人の手から手へ。
それが何なのか分からわぬ人々の、ただ善意によって繋がれていくリレー。
その想いに涙が出る。
他一編。

生活をしていくということがどういうことなのか。
色々と突きつけられる。
理不尽に晒されて命を落とすのはやるせない。
戦う力を身につけたいと思うけれども……どうやって?
せめて頼まれたバトンを次の誰かに渡せるようでありたい。

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「図南の翼 十二国記 6」小野不由美 (新潮文庫)



何度読んでも好きなシーン・好きな台詞は同じで、
同じところを反芻してしまう。
僅か十二歳の少女が憂いた国の行く末。
困難を承知で昇山することを国民の義務だと言い切った珠晶。
現状を打破しようと思うのなら、
まずは行動を起こすこと。
でなければ何も変えられない。
正論なんだけどね。
なかなかに難しい。
それを身をもって示した彼女だからこそ、王たる器がある。
最後に本心を爆発させた珠晶。
彼女の想いはここに至るまで誰もわからなかった。
だからこそ、彼女の言葉が胸に刺さる。
何度読んでも色々考えさせられて、気づかされることがたくさん。

ここで明らかになる奏の国政の在り方がちょっと意外。
でも、そういうのはありだなーと、とっても納得。
「国民」という言葉がものすごい重い意味を持ってのしかかってきたのは、
最近の世情の影響があるのかな?と思わなくもない。
かつて妖魔に名前をもらった彼が、今度は騎獣に名前をあげる。
とても嬉しい巡り合わせ。

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「秘書と野獣」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



その根拠も証明できるものも何もないことを思い悩んで
推測で振り回されるのは正直、時間の無駄。
だけど、吉鹿はそれが「事実」だと思い込んでしまったから仕方がない。
そして吉鹿が思い違いをしていることを知っていて黙っていた蒼衣は
正直、気に入らない。
遊びだと割り切っての駆け引きや言葉遊びは大歓迎だけど、
一方的に振り回されるのはヤだわ~。
とは言え、その後蒼衣が振り回されてたから無問題。(笑)
欲しいモノは欲しい。
好きなら好き。
言葉にしないと伝わらないことは往々にしてある。
相手の立場を慮ることも大事だけど、それ以上に大事なこともあるんだよー。

『晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽』→『ストレイ・リング』→『秘書と野獣』
個人的には『ストレイ・リング』の右城と藤近の関係がとても好き。
今作で藤近が吉鹿に右城のことをのろけてるシーンがとても好き。
彼らの立場では恋人のことを誰かに話すことってなかなかできないだろうからね。
それにしてもこの人たち。
職場に恋愛事情引きずりすぎ(笑)。

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「東の海神 西の滄海 十二国記 3」小野不由美 (新潮文庫)



中味の伴わない上っ面だけの言葉の気持ち悪いこと。
ましてや、意に沿わない者を弑する者に、正義などない。
ということが、当の本人にはわからない。
いるよね。
自分のことを正当化することに長けてる人って。
一方で、自分の成すべきことをじっくりと見据え、機を伺っていた尚隆。
全ての責を背負い、雁を豊かな国へと導くと口にする彼の言葉は、
実を伴っているから重く響く。
荒れ果てた国の復興を担う王と六太、そして家臣たちのやりとりが好きすぎる。
遠慮なく物が言い合える間柄は理想的。
500年かけて雁がどんな国になっていくのか、既に知っていることの幸せ。

自分の生死を運命に委ねる。
北方的思考だわ~、と、ここでも北方脳な私(笑)



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「逆説の日本史10 戦国覇王編」井沢元彦(小学館文庫)



電光石火。もしくは疾風怒濤。
50年に満たない生涯を、これほど鮮烈に駆け抜けた人物は、そうはいないだろう。
丸ごと織田信長の巻。
と同時に、歴史上に名を連ねる人々は、(良くも悪くも)それに値する功績(もしくは罪過)をしっかりと残している、ということを、改めて実感する巻でもある。
それにしても織田信長である。
実行力・決断力・そして発想力。
どれもに突出していたことは自明だが、それにしたって
あの時代によくもあれだけの見聞を広め、あれだけのことを成し遂げたと、ただ感嘆するしかない。
自分、なまぬるく生きてるなーと、何故か反省(笑)



井沢氏の溢れんばかりの信長愛に微笑ましい気持になる。
自分の好きな人物を調べつくし、こうして執筆できることの悦び(?)が伝わってくる気がする。
そしてあっちこっちで脳内を駆け巡る「戦国鍋」と『炎のミラージュ』から得た知識の数々(笑)。
これは私の日本史の礎。
人力で火を消すことがどれほど大変かは『羽州ぼろ鳶組』シリーズで学んだ。
焼き討ち、怖い……
いや、だからこその焼き討ちなのか。
■行った場所:日光東照宮
■行きたい場所:熱田神宮・岐阜城・大阪城(城ホールはたくさん通ったのにお城には行ってない)安土城址・安土城天主信長の館





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「風の万里 黎明の空 (下) 十二国記 4」小野不由美 (新潮文庫)



嘆き、妬み、惑うことを止め、彼女たちは一歩を踏み出す。
出会うべくして出会った三人の少女たち。
彼女たちの行く先に、この酷い現状をどうにかしようとする人々がいたこともまた、運命。
「生まれてきてよかった」
そう言えるようになるにはまず、国の在り様を変えるところから始めなければならないとは。
大変だ……。
麒麟がいて、王がいて。
だけど、それだけでは国は安泰しない。
そういうところをリアルに突きつけてくるから色々考えさせられるし、引き込まれる。
信頼できる者たちに出逢えた陽子が、この先、慶をどんな国に作り上げていくのか。
とても楽しみ。

「善い国ってのはなんだろう?」
普遍的な答えってありそうでなさそう。
それは多分、時代によって移ろいゆくもの。
それでいい。
大事なのは、考えること。


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「風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4」小野不由美 (新潮文庫)



三人の少女たちの自己探求の物語。
自分を憐れむばかりの鈴。
他人を妬むばかりの祥瓊。
二人が自分を顧みて現実を認識し、己の考えを改めていくまでに
様々な人たちからかけられる言葉に、一緒になって抉られて、私も己を顧みて反省。
自分を可哀そうだと思ったことはないけど、
大変なのは自分だけじゃない、ということは忘れないようにしよう。
文句を言う資格があるのはやるべきことをやった者だ。
責任の重さを自覚するものの、なすべきことが定まらず、民の暮らしを知るべく市井の中に入っていく陽子。彼女の肝の座り方がとても好き。
泣きながら読了の上巻。
下巻は再読でもわくわくする。

「雁のまわりに落ちついている国がない」という言葉が
気になって仕方がない何度目かの再読。
本筋とは全く関係ないんだけど、「滅びの王」のワードもあることだし、
私が延王大好きだから気になっちゃうのね。
言ってることがまったくぶれていない珠晶も好き。
そう思えるのは『図南の翼』を読んでいるから。
世界観の作り込み方が半端ないことに改めて感嘆。
何度読んでも面白いモノは面白い。

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「月の影 影の海 (下) 十二国記 1」小野不由美 (新潮文庫)



度重なる裏切りと、悪意ある囁き。
もう、誰も信じない。
誰にも心を許さない。
と、頑なだった陽子の心が、楽俊との交流でほどけていく様があたたかくて好き。
楽俊の優しさに泣きそうになる。
決して恵まれた環境で育ったわけではないけれども、
その中に幸いと自分の生きる道を見つけていた楽俊。
彼の考え方は見習いたい。
己を顧みて反省する潔さを持ち、決して心折れることなく
「強くなりたい」と口にできる陽子はとてもカッコイイ。
慶王としての責任を背負った陽子は、
本当に何も知らない・持たない所からのゼロスタートだったのだと改めて思う。
前途多難な、だけどとてもわくわくする物語の始まり。

ふかふかの楽俊が目の前にいたら、たとえ慎みがないと言われようとも、私も抱きつきたい。
延王と延麒は好きすぎて、そこにいてくれるだけで嬉しい。
今回は慶国を追いかけて再読。
というわけで、次は『風の万里 黎明の空』。


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