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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「血涙・上」北方謙三 (PHP文庫)



過去は失くしたままの方が幸せだったかもしれない。
だけど、貴方は思い出さなければいけない。
自分が何者なのかを。
そして、選ばなければならない。
自らが、どう、生きるのかを。
彼の苦悩も辛いけど、
耶津休哥と簫太后の対応が素晴らしすぎて泣ける。
それに比べて宋!
勝手な事ばっかり並び立てるくせに、苦しいところは楊家軍頼みすぎて腹立たしい。
人材不足のくせに、何故戦おうとする?
楊業の後を継いだ六郎が頼もしく成長しているのが嬉しい。
七郎と九妹の連携した戦い方が好き。
なんの柵もなく、彼らが自由に原野を駆けることができたのなら、と思うけれども。
それは戯言。

出てきましたよ、吸猛犬。←何この変換!
正しくは吸毛剣!
ここから『水滸伝』そして『楊令伝』へとつながると思うと、感慨深い。
「男は自分がどうあるか、自分で決めればいい」
北方の美学。
女だって自分で決めたいと思います。(笑)

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「逆説の日本史9  戦国野望編」井沢元彦(小学館文庫)



いざ戦国!と勢い込んで頁を捲ったら、
最初は「琉球の興亡」次が「倭寇の歴史」。
ここで、あれ?戦国どこ?とはならずに大変興味深く読ませていただきました。
こういうところを取り上げてくれるのが井沢節。
鉄砲伝来、すぐさまの国産化、欠かせない硝石を巡る国際貿易の重要性。
現代にも通じる商業ルートの発展の原理。
なるほど、と頷くことしきり。
三章以降で時代は戦国へ。
北條早雲、毛利元就、上杉謙信、武田信玄、そして織田信長。
各々の武将にスポットをあてつつ、展開してくれている論旨がとても面白い。
川中島の合戦で決着がつかなかった理由に納得。
「三本の矢」の真実にはびっくり。

馴染のある名前が続々と。
とはいえ、私のこの時代の知識って『炎の蜃気楼』に寄るところが大きいから、
史実かどうか胡散臭いことこの上ないのです(笑)
■行った場所:今帰仁城跡・中城城跡・首里城・小田原城・宮島
■行きたいところ:建勲神社(御朱印帳欲しい!とても欲しい!)・石見銀山・
沖縄は色々踏まえてもう一度ちゃんとまわりたい。
■読みたい本:『下天は夢か』島津陽

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「楊家将 下巻」北方謙三 (PHP文庫)



それは、個人の悲願なのか、国の悲願なのか。
どう考えたって前者だ。
配下の将軍を掌握しきれない帝が前線に出て、何故勝てると思うのか?
挙句は味方だったはずの宋軍に潰された楊家軍。
卑怯者が何故そこで生きている?
と、怒りに打ち震えて号泣。
再読なのに何やってんの、私。
そうじゃない。
何度読んでもそこまでのめり込ませる北方の筆力、恐るべし。
戦場を駆けた楊家の男たちの生き様があまりにも峻烈で、潔くて、胸を打つ。
楊業が耶律休哥のよに自由であったら、という思いが過るが、
楊業はそれを望まなかった。
だから、これが彼の運命。

泣き疲れたので『血涙』はちょっとインターバルを置いてから。
改めて読むと、簫太后カッコいいなぁ。
個人的には耶律休哥が大好きだけど、
肩入れするのは勿論楊家です!←この辺複雑な乙女(?)心。
再読だからもうちょっとあっさり読めるかと思ったんだけど、
そんなことは全然なく、作品世界にめり込んでの読了。

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「楊家将 上巻」北方謙三(PHP文庫)



何故彼らが戦わなければならないのか?
立場が違えば、誰よりも分かりあえたであろう漢たちだと思えるだけに、
愚問と知りつつ、問いかけたくなる。
父楊業の元で結束する楊家の息子たち。
互いを認め合い、足りない部分は補えるようにアドバイスし、
抜きんでたところは心から称賛する。
楊家の男たることに恥じぬように在ろうとする彼らがとても魅力的。
そして、戦場を自由に駆ける白き狼・耶津休哥。
彼の度量の大きさと果敢さが、やっぱり魅力的。
戦い方にそれぞれの性格と才覚が明確に反映されているから、余計に彼らの魅力にのめり込む。
だから辛い。
ドキドキしながら下巻へ。


再読の弊害。
先の展開を知っているから、なんかもう泣けて泣けて仕方なくて。
この巻で泣く要素ってそんなにないはずなのに、
この先の彼らを思って、マジ泣きしたよね。私。
びっくりしたわ。自分に。
『水滸伝』を読まれている方には是非読んでいただきたい。
読まれていない方も是非。


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「贄の夜会 下巻」香納諒一 (文春文庫)



諸悪の根源は勿論犯人。
だけど、命懸けで現場を駆けずりまわっている刑事たちの脚を引っ張りまくった警察上層部!
何やってんの!と言いたくなる為体。
見て見ぬふりをするのは罪。
だけど、上から強要される見て見ぬふりにどうやって抗えばいいのだろう?
だから彼は自ら死を選ぶしかなかった。
だから彼はその警察を辞める決意をするしかなかった。
だから彼は満身創痍の身体を引きずって、自ら銃を手にするしかなかった。
愛に殉じた男と、再び愛を手にした男を描いて物語は幕を下ろす。
男が決意した道を歩みつづけることは茨の道。
だけど、やり遂げてほしい。

「慟哭」からの「暴走」。
これ以外はない決着なんだろうなぁ。
くっそー。
ギリギリした気持ちが込み上げる。でもこのやるせなさ、嫌いじゃない。
打ちひしがれて弱りきった時に受け止めてくれる人がいた大河内は幸せだ。
拠り所のない人たちは、ただひたすらその苦しみを耐え抜くしかないのだから。


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「贄の夜会 上」香納諒一 (文春文庫)



え?嘘でしょ!?と叫んだところで上巻終了。
完全に作品世界に呑み込まれてしまった。
二人の女性が殺された事件を契機として、
幾人もの人間が、そして幾つもの事件が絡み合っていく。
そんな中で浮かび上がってきたのは、かつての殺人の真相と、
この事件に係りのある男たちの生き様。
息をつく間もない展開の中で、どうしたって惹かれてしまう男がいる。
かつては少女のために銃を握り、今は妻のために見えざる敵を弾こうと決意する男が。
この先は男の復讐譚となるのか。
犯人を追う警察の尽力に迫るのか。
絶対悪の素性が割れていないだけにゾワゾワとした気持ちが落ち着かない。

このボリュームにこの読み応え。
それでもまだ半分。
加速する期待感が失速することなく最後までいけるといいなー。

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「戦争の悲しみ」バオ・ニン(めるくまーる)



砲火を浴び、銃弾が飛び交う戦争は終わっても、心の中の戦争は終わらない。
淡々と綴られる文章から、そのことを突きつけられる。
戦地に赴くことを拒む権利のない彼らは、
その意思に係らず、銃を握らされる。殺し合いをさせられる。
目の前で人が死ぬのを見続ける。
自らの命が尽きる恐怖に晒されながら。
そんな過去は彼らの心に深い傷を残し、終わらない哀しみを植え付けた。
そして「あの時に死んだ方がよかったのよ」
という彼女の言葉を理解した時に込み上げた憤り。
戦争は人間を獣にも変える。
だけど、誰かの命を救おうと躍起になれるのも人間。
色々やりきれない。

ベトナム戦争に対す知識不足を痛感。
辛うじて持ってる知識はアメリカ側からの視点の比率が遥かに大きい。
歴史をもう少し詳しく学んだ後にもう一度読み返したい。
「And who was wrong?
And who was right?
It didn't matter in the thick
Of the fights」
@Bolly Joel 「Goodnight Saigon」
【ガーディアン必読 83/1000】

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「鏡よ、鏡  眠る探偵2」榎田尤利 (講談社X文庫 ホワイトハート)



「世界に引きずり込みたい」
その言葉にゾクリとする。
完全に閉じきった、光の差し込まない世界に。
「引きずられないで」
真音に告げた笑子の言葉は核心をついている。
何故なら、真音は槇の心理を理解しているから。
積み重なる死体は愛の囁き。
「自分を選ぶ」と言い切った槇の根拠はなんだろう?
同録は真音と不破の出逢編。
法知識がないと、こんなに大変なことになるだ!と思うと同時に
逆に言えば、法知識があれば戦える。
大事なのは一人で抱え込まないこと。
不破は真音に見つけてもらえて本当に良かった。
建築現場の描写がとても好き。

1巻にひきつづき本編はどシリアスなんだけど、
同録の過去編が楽しすぎて読後の印象が愉快な感じに。
とりあえず逼迫したドキドキハラハラがおさまったので、
四冊一気読みという事態は避けられそう(笑)

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「逆説の日本史8  中世混沌編」井沢元彦(小学館文庫)



想像してみる。
もしも、この時代の京の住人だったら?
……無理!絶対無理!と白目を剥きそうになる、カオスっぷり。
自分のことしか考えていないオレオレ主義に端を発した戦いと無責任政治の結果、
土地は荒らされるわ年貢の徴収はキツイわで究める困窮。
そりゃあ、住人は怒るわ。
立ちあがっちゃうよね。
というわけで、もう一度想像してみる。
もしも決起する側だったら?
自分で集団をまとめていく才覚があったら、奮い立つだろうな、と思う。
そんなカオスな時代に現代へとつながる日本文化の礎が築かれたことがとても興味深い。
特に折り紙。
うん。ちびっこたちともっと楽しもう。

あまり馴染のない時代。
読むペースが上がるまでとても時間がかかったけど、
ラストに向かって加速していった。
こんな感じで戦国時代へと向かう素地が出来上がったのか~、と、納得したところで
(自分的)興味の最高潮かと思ったけど、
その後の室町文化の章がさらに興味深かった。
これ一冊の情報量が膨大過ぎて呑み込み切れなかったので、いつかの再読必須。

■読みたい本:『風姿花伝』世阿弥
■行きたい場所:千本釈迦堂・石清水八幡宮・龍安寺・六角堂(京都)
越前一乗谷朝倉氏遺跡(福井)

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「南三陸日記」三浦英之(朝日新聞出版)



町を破壊するほどの自然の猛威があるということ。
一瞬でたくさんの人の命が奪われてしまう災害があるということ。
どんなに瓦礫に埋もれた町でも、懸命に頑張っている人がいる限り、
やりなおすことができるということ。
文章を追いながら、色々な思いが込み上げてくる。
「生きることの意味」
それは人それぞれ。
自分が見出した生きる意味のために、
或は、その意味を見出すために今日を生きる。
写真に写った人々の笑顔を見ながら、
日々を頑張っていこうと、改めて噛みしめる。
忘れないために、ではなく、生きていくために。
読み継がれていくべき本だと思う。

「おうちに帰ろう」
うちは建物ではなく、家族が待っているところ。
この言葉、心に沁みた。
真新しい建物が立ち並ぶ南三陸を訪れたのは先週。
南三陸に限らず、海の傍の建物はどこにいっても新しい。
何が起こったのか。
今、どうしているのか。
時に立ち止って見つめ直す時間はあっていい。
明日、今日より少しだけいっぱい頑張れる気がするから。

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