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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「眉山」さだまさし (幻冬舎文庫)



いずれは向き合わなければいけない時が来る。
家族の病。そして死。
個人的には自分が癌です!と言われた時より、
家族が癌です!と言われた時の方が衝撃は大きかった。
多分、逆も然りだったんだろうなぁ。
相手の方が辛いと思うから弱音は自然と出てこなかった。
誰しもがお龍さんのように気丈でいられるわけではないだろうけど、
そうありたいと思える姿がそこにあった。
お龍さんと咲子の母娘関係がとても素敵。
馴れ合わず、甘えず。
だけど、やさしさを失わずに愛情は溢れんばかり。
あんなふうに向き合っていきたい。
繰り返し読みたい作品。

中学校からの友だち。高校からの友だち。大学からの友だち。
そして読メで出逢った友だち。
縁のある人たちが生活している徳島。
だから私にとっても愛着のある土地だったりします。
阿波踊り……いつか間近で見てみたいな。

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「逆説の日本史1 古代黎明編」井沢元彦(小学館文庫)



日本史に対する苦手意識が強すぎて、
とっかかりでちょっと苦戦したものの、
結論から言えばおもしろかった!
著者の論旨の展開の仕方がわかりやすくてすんなり入ってくるし、
是か非かはともかく引き込まれる。
最近の記憶に新しい仁徳天皇陵の発掘調査が、
本書の刊行時には禁止されていたことを鑑みると、
亀の歩みでも真相解明の調査は進んでいると言えるのかな。
思わず宮内庁の採用方法調べちゃったよね。
出雲大社や伊勢神宮、その他諸々、
かつて訪れた場所を今回覚えた知識を抱えて、もう一度訪ねたくなる。
選んで正解の日本史テキスト。


読み切れるかどうかドキドキしながら読み始めたけど、
1巻を読み終わって続刊に手を出すことにワクワク感いっぱいなので、
全巻読破いける気がする。
楽しみ。

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「杉原千畝: 情報に賭けた外交官」白石仁章 (新潮文庫)




『六千人の命のビザ 』を読んでから本書。
もしくは映画『杉原千畝』を観てから本書。
その流れでいった方が、より杉原千畝を理解できるのでは?と思いました。
一般的な読み物、というよりも、学術書に近いかな?
終始一貫して杉原千畝を研究してきた著者の視点で綴られているので、
ノンフィクションと言いつつ、随所に彼の主観が入ってくるのが、
個人的にはうるさかった。
大戦時の異国の地で自らの肩にのしかかる責任の重さと大きさは、
地球上のどこにいても簡単に連絡の取れる今とは計り知れない程違うだろう。
そんな状況下で自らの判断で「命のヴィザ」を出しつづけた杉原。
何故彼はそれを成しうることができたのか?
それを知るには適した書ではあると思う。



時代を知ること。
現状を知ること。
情報を知ること。
それを活かすこと。
その大切さはヒシヒシと伝わってくる。
そして、自分は日本の歴史についての基礎知識がスカスカだなぁ、とも改めて。

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「硬い爪、切り裂く指に明日」菅野彰(河出書房)



たとえばそれが黒だったとしても。
あんなふうに愛情を向けられた相手に対して、
正しさをまっすぐに突きつけることが、私にはできるだろうか?
彼は誰?
自分はどうしてここにいるの?
際限なく向けられる無償の愛を受け止めながらも、
その愛を与えてくれる相手が簡単に消えてしまう可能性が否めない怖さ。
平良はよくもあんなに真っ直ぐに育ったと思うけれども、
逆にそれは、その年で抱えなくてもいいものを抱え込んで、
懸命に読み解こうとしてきた彼の歪み。
消えない。消せない。
それが真実。
与えられた愛情は本物だった。
それだけが信じられればいいと。
心の底から希う。→


あまりにも身近すぎる街。
良く知りすぎている学校。
未曽有の大災害。
引き裂かれた家族。
そして、眞宙と平良。
最初から最後まで突き刺さってくる菅野さんの優しさと憤り。
他の作品でも語られてきたことが、ぶれずにここでも描かれていて、
私は彼女の作品を読みつづけていくんだろうなぁ、と、しみじみと思いました。






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「覚醒―孤拳伝 4」今野敏 (中公文庫)



全国を(主に山の中を)渡り歩き、
それぞれの道を究めた男たちと出逢い、学び、戦って人としての成長を遂げた剛。
一人の師の元でストイックに己を磨き上げる松原。
裏社会で一から出直すことを決めた宋陵元。
師に武道の在り方を解くまでになった蜂須賀。
かつて、闇試合で戦った男たちは、それぞれに成長し、己の歩む道を見出していく。
だが、誰もが道半ば。
その先の彼らを思い描く楽しみが読後にはある。
本当に必要な強さとは果たして何なのか。
終始、投げかけられていた問い。
シリーズを通して読めば、自ずと答えは見えてくる。


実は私、極真空手の体験入門をしにいったことがあります。
一週間通って、とりあえず無理!と思って正式な入門はやめました。
うん。
向いてない(笑)
友さんから譲っていただいた作品。
楽しく読了しました♪
ありがとうございます。


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「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)



強さの持つ意味は?
何を持って強いと成す?
自分の欲する強さは?
彼が会得した強さとは?
「強さ」の受け止め方は人によって違う。
その体現の仕方も。
人殺しも辞さなかった蜂須賀が身に着けた深みと穏やかさ。
それによって手にした新たな境地は、緋田の存在があってこそ。
実戦経験のなかった松原が、守るべき人の為に振るった拳。
彼もまた、師匠の元でもっともっと強くなる。
そして、擬似的にでも母のぬくもりを知り、女の肌の優しさを知った剛が、
夕陽の美しさに心を震わせるシーンが印象的。
その感性がある限り、獣道に堕ちることはない。
剛もまた、二人と同じ道に辿りつこうとしている階。

それにしても……剛、自分の生い立ちを行く先々でよくしゃべるわ。
そして「人を殺した」と聞かされてもスルーな人たちの多い事。
まぁ、一筋縄ではいかない人たちの巣窟みたいな作品なので、いいのかな?
色ボケした組長に従う和泉の苦悩がお気の毒。
次巻で完結。個人的には緋田センセと蜂須賀のこれからと、
松原の恋の行方がとっても気になるところです。


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「漆黒―孤拳伝 2」今野敏 (中公文庫)



はき違えた強さの探求。
戦えば闘うほど失われていく人間らしさ。
読み進める程に自分の気持ちまでが殺伐としていって、
荒みきったところで一度本を閉じて、癒し補給。
剛を修羅に代えたのは蜂須賀。
だが、彼は戦いでの敗北と、緋田との運命的な出逢いによって人間らしさを取り戻すこととなる。
この気づきはとても良かった。
一方、山中でひたすら自己鍛錬に明け暮れる三人の男との出逢いによって、
剛も再び人間らしさを取り戻していく。
「強いだけではない男の存在」
剛と蜂須賀が変わるきっかけになったワード。
己の在り様を考えることも己の成長の大きな糧になる。



松原と劉の師弟関係。
李と宋の主従関係。
蜂須賀を変えた緋田。
剛を導く男たち。
人と人。
係わることで良い方向へと導かれ、或は変化していく関係が興味深い。
蜂須賀も剛もまだ「獣」から「人間」へと生まれ変わったばかり。
他の男たちも含め、この先どう成長していくのかが楽しみ。

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「復讐―孤拳伝 1」今野敏 (中公文庫)



香港の暗黒街で、文字通り命懸けの日々を生き抜いてきた少年、剛。
彼を生き延びさせてきたものは、独学で身に着けた中国武術の一つ「崩拳」。
これが、彼のその後の人生に、大きくな影響を及ぼしていく。
字を読めなかった剛が文字を覚え、
人を倒すためだけの拳が、師を得て違う意味合いを帯び始める……
はずだったんだけど。
ちがう。
そっちじゃないんだよ!
と、言いたくなる方向へと彼を押しやるのは、運命なのか、彼自身なのか。
涙と流しながら横浜の待ちをふらつく剛のこれからが気になりつつ。
武術に関しては優等生な松原が一皮剥ける姿が見てみたいとも思った私です。



昨日「この辺りまで行ったら、あとは何処がおススメですか?」と聞かれたので、
「横浜に是非!」と横浜激推ししてきた私ですが。
奇しくも舞台は横浜。
自分がメッチャ行きたくなりました。
読友様からの頂き本。
わくわくしながら次巻へ。

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「しゃぼん玉」乃南アサ(新潮文庫)



人が人を変える。
人をダメにするのも、心根を入れ替えさせるのも、人。
腐りきった翔人を変えた、老齢の彼らと過ごす日々。
その日々がいくら穏やかに過ぎようとも、
過去はなかったことにはできない。
「行かなくていい」とは誰も言わなかった。
人生をやり直すためには、償わなければならないことを、誰もが知っている。
彼らは引きとめるのではなく、居場所があることを彼に知らしめる。
婆ちゃんの「待っちょる」
そして、シゲ爺の「行ってこい」
彼にとってはこれ以上の言葉はなかっただろう。
出逢いは、文字通り奇跡。
奇跡的に出会えた人たちとどう係るかは自分の在り様と努力。
大切にしたい。

祖母に会いたくなりました。
もう、絶対に会えないけど。
著者の作品で既読は『風紋』と『晩鐘』。
半端なく抉られるけど、とても好き。
今回の『しゃぼん玉』もとても良かった。
未読の既刊がたくさんあることが嬉しい作家さん。



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「砂の器〈下〉」松本清張 (新潮文庫)




読後にタイトルを呟いてみる。
「砂の器」。
なるほどね。
現在の自分に確固たる自信があるなら、
どんな過去があっても築いてきたものは揺るがないんじゃない?
と、思うわけだけど、
当時の社会的では差別されかねない出自であり、
それを葬り去る為の偽りの土台であるのなら、
死に物狂いで秘密を守ろうとするしかないんだろうなぁ。
地道な捜査をコツコツと積み重ねる今西や吉村の在り様は
時代に関係なく見習うべき姿だと思う。
今西の妻は素敵な奥さんだった。
終始一貫して漂う昭和感。
だけど、平成が終わろうとしている今の時代に読んでも十分に面白い。


彼の視点で語られる、彼の半生というものにふと興味を覚えた。
良くも悪くもギラついたエネルギーに満ち溢れたものに違いない。
彼女たちの不幸は、
自分しか大事にできない男に惚れたが故の不幸。
なんだかいたたまれない。
そして、解説で積んである『赤と黒』の内容、割としっかり書かれちゃってますけどー!
どーー!!
一週間もしたら忘れるだろうけど、他の本のネタばらしはやめようね。
びっくるするから。



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