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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「砂の器〈上〉」松本清張 (新潮文庫)



漂う昭和感がとても心地よい。
頁を捲りながら北へ南へ。
具体的な地名に、
実際自分が旅をしてまわった土地を懐古する楽しさがあった。
旅もまた、時代による交通手段の違いから醸し出されるレトロ感が味わい深い。
……とまぁ、旅本の感想みたいになっておりますが。
ジャンルは所謂推理小説。
手掛りのほとんどない殺人事件の真相に辿りつこうと、
地道な捜査を懸命に続ける今西。
犯人その人よりも「仏のような善人」がなんで殺されたんだろう?
ということの方が、今の所気になるかな。
新進気鋭を気取る若者たちがこの事件とどう係ってくるのか。
わくわくしながら次巻へ。

会社を一歩出たら仕事のことはすべて忘れる!という生活を送っている私には、
今西のように日常のふとしたことから事件のインスピレーションを得たりすることは
絶対にできないんだろうなぁ、と、思ってみました。

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「三国志13 ~極北の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



孔明の背負ったものの重さと孤独感が痛々しく押し迫る最終巻。
同じ夢を抱いた者たちは、いまは誰もいない。
果てのない孤独の中で、生き急いだ孔明。
最期の笑顔のなかに、どんな想いが込められていたのか。
劉備、関羽、張飛、そして趙雲。
懐かしい闇の中で孔明が彼らと再び再会できたことを願ってやまない。
もう十分頑張ったよ。
司馬懿もよく頑張った。
私的にはイラッとする頑張りでも、ああいう戦いができるのも才能。
戦いの中で生きた漢たちの物語。
だからこそ、最後に語られる、山中で穏やかに暮らす馬超たちの姿がとても尊い。
馬駿白が歩む未来に明るい光が降り注ぐことを。

……というわけで、登場人物たちに魅了されながら、北方三国志読了!
吉川英治の三国志は挫折。江森備の私説三国志と北方三国志はどはまりしながら読了。
私的には北方版が正史だと思い定めております(笑)
そして、北方の描く一貫した生死感がとても好き。

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「三国志12 ~霹靂の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



出てくるたびに、あ、馬謖、と思いながら読んでしまったせいか。
孔明と向き合うシーンで大泣きしてしまった。
ここで泣いたのははじめてだわ。
馬謖が好きな訳でもないんだけどね。
張飛といい馬謖といい。
北方テイストが加わって、なんとも魅力的な人物になったよなぁ、と、つくづく思う。
そして最後に散っていった蜀にとっての大きな星。
歩みを止めることなど許されない、孔明の背負った孤独がやるせない。
一方の魏。
「実現できることは夢ではない」
常人には図ることのできない力を持っていたはずの、曹丕の諦念が哀しい。
どよーん、とした気分のまま、最終巻へ。


遥か未来の銀河の彼方で。
シェーンコップが「泣いて馬謖を斬る」と言った時にはびっくりしたわ。
凄い!古来からの書物がここまで!って。←ちょっと間違った感動の仕方(笑)
そして友だちが「この間上司の机にあったメモに「泣いて馬謖を斬る」って書いてあってさ。
誰のこと?って考えちゃったよ」と言っていたのも忘れられない。

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「三国志11 ~鬼宿の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



自軍の中にあっての孤立無援。
陸遜の凄まじいまでの粘り強さと根気には、鬼気迫るものがあった。
そして、その孤独がとても痛々しい。
だが、頼もしい理解者もいた。
だからこそ、貫けた意思。
血反吐を吐きながらも、自らの戦略を信じ、貫いたが故の勝利。
お見事でした。
一方の敗北を喫した劉備。
「やるべきではない戦をした」と彼は言うけれども。
あそこで動いた劉備だからこそ、多くの者がついてきた。
苦楽を共にしてきた兄弟を亡くし、失意に沈んだ彼が
気力を奮い立たせて伝えたかった「ある言葉」。
劉備が孔明に託したその言葉に泣きそうになってしまった。

「みんな、いなくなってしまいましたね」
孔明の言葉が寂しく刺さる。
あまりにも大きな人を(偉大な人ではない。大きな人)失ってしまった
喪失感がヒシヒシと伝わってくる。
残り二冊。それでも明日に向かって歩いていかねばならない彼らの行く末をみとどけます!


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「三国志10 ~帝座の星」北方謙三(ハルキ文庫―時代小説文庫)



張飛の悲しみと声なき慟哭が最後まで聞こえてきて。
胸が押しつぶされそうになりながら読了。
再読でもダメージ半端ないわ。
その最中に落ちた巨星。
一つの時代の終息……と言い切るには早いか。
彼の存在感の大きさを改めて思い知らされる。
「冬に舞う蝶」この章タイトルがとても好き。
時を待つ時間は確かに必要だったかもしれない。
だけど、蜀に必要だった時間が呉に策を弄させる時間を与えたのだと思うと、
口惜しい。
酒に溺れた時点で、生じた隙。
だけど、悲しみを呑み込むにはそれしかなかった。
そんな一面があるからこそ、愛された彼。
張飛の名を呟く陳礼に涙が止まらなかった。



「長い旅だった。そして面白い旅だった」
曹操はある意味、やりきったと思う。
死に際にこう言えたら最高だね。
やり残したことはあっても楽しかった。
例えば明日死んでも、そう言い切れる人生であるといい。



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「ラブセメタリー」木原音瀬(集英社)



想像、或は妄想の世界は当人の自由。
その中でどんな行為に及んだところで、誰にも咎められることはない。
だけど、その妄想をリアルに実行してしまったら、それは犯罪。
その中で踏みとどまることができるか否かが
ひとつの分岐点であるのだと思う。
辞めることのできない薬や煙草と同じ。
一度手を出してしまったら、次へ、次へと手が伸びてしまう。
禁断の味を知ってしまわないように、懸命に踏みとどまろうと自制する久世と、
欲望の誘うままに手を伸ばして堕ちてしまった森下の人生がとても対照的。
思考そして嗜好。
本当に、どこから生じてくるものなのかしらね。

最初から町屋が自分の素性を明かしていたら、
町屋と久世はせめて友だちになれなかったのかしら?
とチラリと思ったお借り本。
無理かな。どうだろう?
久世は自分のモノも汚いって思ってるのかな?
とも思ってみた。




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「すみれ荘ファミリア」凪良ゆう (富士見L文庫)



美寿々の生き方はとても好感が持てる。
彼女の定義した自然体。
しんどいながらも自分が楽に呼吸できる環境って大事。
隼人の人との付き合い方は、納得できる部分と、そうじゃない部分と。
裏表のある人間は、私だったら切り捨てる。
じゃないと、自分が疲れちゃうから。
青子の執着は気持ち悪い。
それは他人に対する愛情じゃなくて、ただの自己愛と自己憐憫。
母になったことのない私は悦実を糾弾することはできないかな?
だけど、彼女の子どもに対する在り方は納得できない。
身に降りかかった理不尽の全てを許した一悟。
虚無の中から漸く立ち上がろうとした央二。
二人のこれからが穏やかでありますように。


引き算どころじゃなく、色々バッサリと切り捨ててしまった私は、
みんなやさしいなぁと思ったり、じれったかったり。
切り捨てるのは簡単なんだよね。
だから、曖昧なまま見ないフリをしてゆるく続けていくスタンスの付き合いが
できる彼らがすごいなぁ、と思います。
まぁ、自分がそうできるかどうかは別(笑)
軽く読める本かと思って読み始めたら、色々考えさせられたお借り本でした。



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「死の泉」皆川博子 (ハヤカワ文庫JA)




「生きる」ということが、とてもとても息苦しい世界を生きた彼ら。
それでも、精一杯運命に抗い、持てる力と知恵を振り絞って生きてきた子どもたち。
あらゆる事象を諦念と共に受け入れ、ひっそりと息をするしかなかった彼。
自らを「死人」と称する子ども。
護ろうと必死で伸ばした腕の無力さに打ちのめされる大人。
自らの思い描く歪んだ世界のなかで力を振り翳す男。
点と点が不可思議な文様を描く線で繋がれ、絡まりあっていく。
もはや、幸せを願う余地がどこにもないほど、捻じれてしまった彼らの人生。
だけど、生きようと躍動する命が眩しくて哀しい。

20歳そこそこの私の人生観に大きな一石を投じた「白バラ」。
ゾフィー・ショル。貴女にまたここで出逢うなんて、と。
本筋と関係ないところで泣いてしまった。
若くして散ったあなたたちは、永遠に私の痛みであり、宝でもある。
思いがけない邂逅に、皆川女史に感謝。
ありがとう。




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「ラグナロク:Re 1.月下に吼える獣」安井健太郎 (オーバーラップ文庫)



久々に読んだガチンコのバトルアクションファンタジー。
物語的にはまだ謎だらけだけど、キャラが半端なく魅力的で、楽しく読了。
因縁をつけられたら相手が死ぬまで徹底的に叩きのめす。
男女の区別なく容赦ないけど、子どもには無条件で優しいリロイ。
彼の戦う理由は単純明快で良い。
そんな彼の剣であるラグナロクの視点で語られる物語。
相棒であるリロイに対するラグナロクの言葉が辛辣で容赦ないんだけど、
リロイのことが大好きなのね、
ということが伝わってくるツン具合にニヤニヤ。
久々に発売日を楽しみに待つ本になるかな?
まずは次巻へ。→

魅力的な男子キャラがもう少し増えてくれると、個人的には嬉しいかな。
マグナルおじ様がとても素敵。
戦闘シーンの描写がとても緻密で、適当に流された感じがないのが良い。
もう少し若かったら前のめりではまったんだろうなぁ……と思うとちょっと惜しい。
でも、速攻で次巻をポチッとしました。
とても楽しみ♪

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「神様のビオトープ」凪良ゆう(講談社タイガ)



5組……否、6組の愛の物語。
寒気がしたり、微笑ましかったり、切なかったり。
愛の形は様々で、想いは人それぞれ。でも、みんな真剣で嘘がない。
そして幸せの形にも定義なんてなくて、やっぱり人それぞれ。
誰にも迷惑をかけなければ、自分が幸せだと思う道を貫けばいい。
そういう意味では千花の選択には賛同できないかな?
秋くんと春くんには泣きそうになった。
高校生は素直に応援したい。
プロローグから私が想像した結末を、良い意味で見事に覆してくれた。
それこそが彼女の幸せ。彼女の信じる彼女の愛。
心に染み入るお借り本。とてもよかった。→

「試練に打ち勝てる人にのみ神は試練を与える」
的な記述が直前に読んだ本にもあって。
放射能の苦痛に呻く人に何言ってんの?と、思っていたわけですが。
私の求める答えがこの本にありました。
「そんな神さまこそ消えればいい」極論でも納得。

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