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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「いつもの朝に 上巻」今邑彩(集英社文庫)



ひたひたと迫り来る真実。
それを”悪意”と読み取ったとしても、異論は許さない。
もしも彼が生れてくる子供をその腕に抱くことがあったら、
こんな手記を残しただろうか?
懸命に真実と向き合おうとした子供たち。
彼らは本当のことを知りたかっただけ。
手繰り寄せた糸の先に絡みつかせてしまったのは、
まったく悪意のない爆弾。
どこかで彼らの秘め事を彼女に打ち明けるタイミングさえあったなら、
こんなことにはならなかったのに。
ヨシさんの言葉が私の胸に深く深く突き刺さる。
半泣きになりながら、下巻へ。
彼らの笑顔を奪わないで。


ちっとも冷静な感想かけてない(苦笑)
結末を知っている私は、涙をこらえるのに大変だった。
わ~~、再読ツライ!でもこの作品好きなの。

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「日本に自衛隊がいてよかった 自衛隊の東日本大震災 」(産経新聞出版)



誰も予測なんてできなかった。
だからこその未曽有の災害。
津波に襲われ、或は原発事故が起こった現場で
人々の救助にあたった自衛隊の方々。
彼らだって被災者だった。
けれども、自らのことを後回しにして
懸命に救助にあたってくれた彼らの存在を忘れてはいけない。
「訓練」という日々の彼らの努力の積み重ねがあったからこそ、
ここまでの対応ができたのだということも。
だからこそ、最後に突きつけられた大きな問題が胸に刺さる。
目を背けることも、目をつむることも許されないだろう。
私たちは考え続けなければいけない。
日本という国の国民として。

梁山泊で繰り返し行われていた調練。
そして後方部隊の者たちが懸命に確保しようとした兵站。
戦いに勝つために、すべて必要なこと。
逆に、どちらかが欠ければ、勝機を失う。
この本を読みながらそれらのことが頭を過った。
災害だけではない。
問われる日本の防衛力。
何もできなくても、せめて、問題を見据えることだけは忘れないようにしたい。
色々なことを突きつけられた本でした。

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「三国志 2 参旗の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



英雄の元には豪傑が集まる。
曹操、劉備、孫策。
彼らの志に賛同した者、人柄にひかれた者、或は打算もあるだろう。
思惑は違えど、彼らの元には着々と人が集まり、
次第に強固な力を築きあげていく。
それぞれが掲げる将来的なビジョンが明確に見えてきて、面白さも際立つ。
そんな中にあって呂布の在り方は異質。
彼の望んだものは妻・遥と赤兎との平穏な暮らし。
いや、戦うことも望みの中に入っているから、平穏ではないか。
遥のように愛されたら、とても幸せだなぁと思う。
だから心無い言葉に振り回された彼女の嘆きと、その後の呂布の悲哀が切ない。
目の前に在るものに満足して生きていくのが一番楽なのかもしれない。
だけど、漢たちはそんな人生は望まない。

どの陣営にも気になる御仁がいて、読んでいてとても楽しい。
そして、赤兎馬を買いに行かないといけない気分になるのは私だけ?


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「三国志 1 天狼の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)



治世が乱れ、群雄が割拠する時代。
我こそが、天下を。
心に思い描く者が少数なら、
その夢のために邁進できる者はもっと数少ない。
立場、環境、手段は違えど、天下を目指した男が三人。
その男たちの周囲に集った歴戦の猛者たち。
或は、これから頭角を現してくるであろう男たち。
魅力的過ぎてわくわくする。
人物紹介的な巻だったよなぁ、と、のんびり構えて読んでいたら、
最後の最後できゃーー!と涙目になりました。←再読。
ここから北方の中国史が始まったかと思うと感慨深い。
文体がなんだか若いなーと生意気なことを思ってみたり。
さて。
懐かしい面々との再会に心弾ませて次巻へ。



男同士策略を巡らせあうのはいいけど、
女心の弱みに付け込む男はちょっと許せないんですけど!
と、イラッとしましたが。
むむ。
それも戦術の一つだって言われると仕方ないのかなー。
誰もかれもが扈三娘や李師師みたいに戦える女子でないのよ~!




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「群青 神尾シリーズ1」北方謙三 (集英社文庫)



海に別れを告げ、陸に上がった男は静かに自らの牙を研ぐ。
闘える身体を作り上げるために。
それが、彼を、或は誰かを守る武器にもなる。
理由もわからないまま巻き込まれた莫大な遺産の絡んだ殺人事件。
渦中で出逢った、母を亡くした少年。
明らかになる真相と引き換えに、流される多くの血。
海が、彼に優しい手を差し伸べてくれるのだと思ったけれども。
呑み込んだのは悲鳴。
やるせなさにギリギリと心を抉られるこの読後感。
きーたーかーたー!!と涙目で叫びたくなるんだけど。
これが北方。
だから読むのをやめられない。


副題。
秋月くんの成長物語。
ハードな練習についていけずに芋虫のように床を這いまわり、
殴られて道端で倒れ、あっちこっちから坊やと呼ばれるお金持ちの弁護士、25歳。
だけど、諦めずにトレーニングをこなし、
懸命に自らの役割をはたして、最後に決めたアッパーカット。お見事!
彼が私の心の癒しだったわ。

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「モモンガの件はおまかせを」似鳥鶏(文春文庫)



短編四話収録。
相変わらず馬鹿笑いできる楽しさと、胸を突かれる問題提起とが混在していて、
面白いだけでは終わらない読後感が絶妙。
捨て猫を拾って愛情込めて面倒をみる人もいれば、
飼ったものの、面倒を見きれずに無責任に放り出す人もいる。
ペットを飼っている友だちがよく憤っていることを
彼らも指摘してくれていました。
この巻でプライベートが明らかになった方は、とても納得の出自。
彼らが事件に巻き込まれる遭遇率の高さは突っ込まないでおきましょう。
そこを突っ込んだら、私のお楽しみがなくなってしまうから。


「アッパーカット」が超最高!惚れます。
次点で「捕ってこい」。鬼だ。
胸につかえたどんよりとした想いを払拭するために、
そこだけ読みかえして大笑いして読了。

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「死の臓器」浅野涼(文芸社文庫)



地位や名声やお金を望むのも、飽くなき向上心も結構。
自力でのし上がれるなら、或は誰かの助力を得られるのなら、
どこまでも高みを目指せばいい。
だけど、それらが他人を陥れ、犠牲にし、
法を犯さなければ手に入れられないものならば、
それは身の丈に合わないものなんだよ?
と最初は憤っていたけど、悪役は小物すぎて腰砕けだった。
利権に走る者がいる一方で、
日野医師や日野病院のスタッフの医療や患者に対するスタンスは素晴らしい。
腎臓移植や人工透析については学ぶところが多かった。
身近に移植した友だちや透析を受けている人がいるから、余計にかな。

臓器売買、人身売買を扱った作品では
個人的に『闇の子どもたち』の後味の悪さが半端なかった。
精神的にかなりなダメージを喰らったので、
今のところは読み返す勇気、ないなぁ。
どうでもいいけど、「患者に」という言葉の一発変換は「関ジャニ」と言ってきた私のPC(笑)



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「神の子 下」薬丸岳(光文社文庫)



人を育て、人を導くのは人。
人生を豊かなものにするのは、仲間や自分い想いを寄せてくれる誰かの存在。
望めば、人は変わることができる。
一人ではどうにもならなくても、誰かと一緒ならば、きっと。
他人を陥れるために自らを偽る人生ってなんなんだろうな?
と、他人事ながら虚しくなる。
町田と雨宮、そして室井の人生は、
幸せを手にした者と、取りこぼした者と、自ら投げ捨てた者と三者三様。
思い通りにはならない人生の中、
為井や楓、そして内藤の一生懸命な頑張りがとても光っていた。
最後の町田の言葉が心にあたたかく響く。
これは青年たちの成長の物語。

「特別な日だから作り慣れてる料理の方がいいんじゃないか?」
これは正論。
でもね。
「特別な日だからちょっと張りきっちゃおうと思って」
この気持ちもとても良くわかる。
イメージ先行で作ってみて、なんか違う??と
首を傾げる羽目になったこともあるけど、
イベント事の為に料理を作るのは、それはそれでとても楽しい。
悦子さんの体調が回復してくれていることを願いながらの読了。




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「神の子 上」薬丸岳(光文社文庫)



当たり前の教育を受けるどころか、犬猫のようにただ部屋の中で生かされていた町田。
幸せも痛みも、そしてたぶん、喜びも哀しみも感じることのない人生。
稀有な才能を持っていたことが彼に生き延びる術を与えた。
そして今彼は、人と交わることで感情を学んでいる……かどうかは下巻を読まないと断言できないかな?
組織の中で使い捨てにされる手駒であることを肯んぜず、反旗を翻した雨宮。
彼の根底にあるのは姉に対する愛情。そして現状に対する憤り。
彼のこれからも気になる。
雨宮を操り、町田の人生に介入しようとする男の存在がどう係ってくるのか。
色々気になる!

天才となんとかは紙一重。
繁村の条件に「え?そこ?」と私も突っ込んだけど、
ある意味、研究バカは変な計算とか利害がなくて好ましい。
とはいえ、指名された夏川が死ぬほどイヤ!っ思ってたら笑ってられないけど。
なんかふにゃっと力が抜けた瞬間。
町田の真意がちゃんと稔に伝わっていてほしいと思いながら、下巻へ。

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「海と毒薬」遠藤周作(新潮文庫)



戦時下において行われた、
生きたまま人間を解剖するという残虐な行為。
ここで問われるべきは、誰が悪なのか?ということよりも、
何故こんなことが起きてしまったのか?ということだと思う。
戦時下でなければ、そして相手が異国の捕虜でなければ、
彼等はここまで残酷な行為には及ばなかったかもしれない。
戦争は否応なしに、人を善悪の概念を超越したところへ
攫っていってしまう。
縦社会において否と言えない立場は確かにある。
怖いのは、何も感じないこと。
他人の痛みを笑っていられること。
彼らの語る良心だって、結局は自己基準なのだ。


病院内の患者に対する医師たちの態度があんまりだと思った。
「実験台」「出世の手段」「どうせ死ぬんだ」
患者側にしか成り得ない自分にとっては、聞かされたくない言葉だ。
彼らの家族でも身内でもない以上、寄り添ってほしいとは言わないし言えない。
ただ、命を預ける以上、心から信頼できる医師であってほしいと思うの。


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