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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「楊令伝11 坡陀の章」北方謙三 (集英社文庫)



いま、語られる楊令の夢。
明確な形を持ったその夢の実現へ向けて、着々と進められる準備に胸が躍る。
驚異的な成長を遂げた秦容。
秘めた力は未知数。
彼のこれからについては期待しかない。
胸の内に傷を抱えながらも、ほんの少し笑えるようになった花飛燐に安堵する。
平穏の中にあって、戦いを望む男たち。
違うか。
研ぎ澄まされた牙が鈍るのを恐れる男たち。
彼らは知っている。
道はまだ半ば。平穏はいつまでも続かない。
そして、いよいよぶつかり合う力と力。
あなたに崩される梁山泊ではない、と、私は心の中で呟いてみる。

解珍の秘伝のたれ。
これがもう、たまらなく気になって仕方がない。
そして、こっそり独り言。
私、岳飛苦手なんだよね。
この想いが最後に覆るかしら?


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「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎(新潮文庫)



そこに在るだけで人々に安心と安寧を与える絶対的な存在感。
彼は、変わらずにそこに在り続けるはずだった。
そんな彼の喪失による人々の悲しみと困惑に、
彼がどれだけの求心力を持ってそこに在ったのかが伺える。
そして、知る。
人々の導き手であった彼自身の哀しみと絶望を。
やさしいだけではなかった、彼の想いを。
わずか数日のうちに起こった、あまりにも濃密な出来事。
思わず泣きたくなったのは、誰の想いにシンクロしたのか。
無駄なく散りばめられたピースがカチカチと嵌りこんでいく小気味よさ。
風にのって漂うその調べに想いを馳せながら、
顔も知らない彼の笑顔が脳裏に浮かんだ。

前言撤回。
初読の時に抱えた苦手意識が完全に覆った再読。
出し惜しみなく展開される伊坂ワールドにどっぷり嵌りこんでの読了。
面白かった。
仕事で牡鹿半島の荻浜とちょっとご縁があった今日この頃。
シンクロっぷりに今読むタイミングだったのかなーと。
これも優午の知り得た未来かしら?
……なーんてね。(笑)



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「楊令伝10 坡陀の章」北方謙三 (集英社文庫)



明確な未来像を掲げて新しい国づくりを始める楊令。
国とはなんだろうか?と問いかける岳飛。
新国家誕生に暗躍する李富。
王進の元で目覚ましい成長を遂げ、表舞台に立とうとしている秦容。
危うさを孕んだままの花飛燐。
めんどくさいオッサン化(褒めてます)した史進と班光のコンビ。
混乱する時世を彼らがどう生き、そしてどんな国を生み出していくのか。
この先が楽しみで仕方がない。
そして、梁山湖。
そこはあなたのいるべき場所じゃない、と。
思った私と同じ思いを抱いた男がいてくれてよかった。
夢の跡は夢の始まりとなり得るのか?

じゃあな、さよなら、あばよ、またな。
どれもこれもしっくりこない。
やはり、漢の別れの言葉は「さらば」だ。痺れる……
タイトルの意味。調べたら「 起伏 があって平らでないさま」とのこと。
なるほど、と納得の章。



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「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル(新潮文庫)



チェシャネコ。白ウサギ。ハートの女王。帽子屋。トランプ
例えば、この小説を読んだことがなくとも、
『不思議の国のアリス』という言葉から連想するワードを各々書きだしたなら、
多くの共通する言葉が抜き出されるだろう。
それほどまでに日常に浸透した物語が刊行されたのは、1865年。
時代的な古めかしさを感じることは全くなく、
アリスがウサギ穴に飛び込んだ瞬間から、物語はめまぐるしく展開していく。
何が起こるのかが全く予測できないその世界はまさしくワンダーランド。
成り行き任せのハラハラドキドキの冒険譚の後に待ち受けるのは、
著者の親心が垣間見えるとてもやさしいエンドだった。

この訳仕方には何か意図があるはずだ。でも読みにくい。
この語尾なんなの?と、とっかかりで相当難儀しました。
でも、そもそもが子どものために即興で作って聞かせた話だということを念頭において、
子どもたちを前にルイス・キャロルが語っている姿を想像すれば納得の訳。
まぁ、子供向けの訳ではない気がしますけど(笑)
他の方の訳本を読んだら、相当印象が変わる気がします。
【ガーディアン必読 54/1000冊】


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「不良の木」北方謙三(光光社文庫)




不良の木。
とても見慣れた変哲のない単語の組み合わせ。
だが、最後まで読み切って、このタイトルに唸る。
この物語の中でしか汲み取ることのできない意味が、その言葉には込められていた。
大切なのは、真実を見極める目。
惑わされることなく、背けることなく、ただ、真実を。
大都市間を往復する間に見えてきた真実。
一人の男に導かれ、命懸けで駆け回った彼らの踏み躙られた想い。
それでも、彼らはその真実を受け止めて、前に歩き出していく。
「いつか、また」
その約束が果たされる日が、来るのだろうか?
個人的には武田さんと野崎はなんだかいいコンビだと思うので、
この先も絡んで行ってほしいなぁ、と、思うわけなのです。


「君たち、どこまで行ったんだい?」
「Aまでよ」
この会話、今の中学生の子たちにも通じるのかしら?
もう死語?
と、思いっきり通じる世代の私は首を傾げてみました(笑)



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「楊令伝9 遥光の章」北方謙三 (集英社文庫)



例えるなら、一陣の風。
一瞬の強風が駆け去った後、そこに彼の姿はなかった。
そんな想いが突き抜けた瞬間、世界が止まった。
この先に何があるのかを見失ったと言ってもいい。
ただその時を見届けるために駆けてきたのは、私も同じだと、気づかされる。
そして、世界が動き出した時、払った犠牲の大きさに、愕然とする。
淀んだ澱のように胸の中に不快に漂うものは、青蓮寺の存在。
暗躍を巡らす李富の考え方が気に入らない。
大きな変化を迎えた彼らが対峙していかなければならないのは、一国の在り様。
より大きな困難を抱えたように思えるのは、私だけだろうか?


「豹子頭林冲を思い出せ」
この言葉に、胸が震えた。
以下、これから読まれる方はガッツリネタバレてるのでスルーしてくださいね。
結局、国の在り様が人を殺す。
童貫は楊令に討たれたけど、宋という国に殺された部分も否めない。
李富も童貫を殺す側に加担した。
一見すると、孤軍奮闘だったようにしか思えないけれども。
童貫こそが誰よりも楊令との戦いを望んでいた。
背後の柵など、見えていなかったに違いない。
と、心は梁山泊の同志な私ですが。
童貫の在り様には最後まで敬意を表したいと思うのです。


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「楊令伝8 箭激の章」北方謙三 (集英社文庫)



史進が抱いた寂しさを、私も一緒に噛みしめる。
仕方ないよね、と割り切れない寂しさ。
それは、戦場に身を置く限り、どうすることもできない別れだ。
散っていった同志たちの息子たちの活躍が目覚ましいことが救い。
だが、花飛燐は大きな傷をその胸に抱えることになる。
その傷は、彼を戦場で名だたる指揮官たらしめるのに一役買うだろう。
ちょと生意気な花飛燐の成長をとても楽しみにしていたけれども。
そんな哀しみの果てにある強さではなかった。切ないなぁ。
呼延凌にはまっすぐに強くなっていってほしい。
この巻はどうしようもない喪失感に塗れて読了。

そして怒り再び。聞煥章~~~!!
女子として。
奴はどうしても許せない。
この戦いもそろそろ決着かな?
私、童貫も嫌いじゃないので、次巻を読むのが怖いわ~。

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「桶川ストーカー殺人事件―遺言」清水潔 (新潮文庫)



「彼女はただ訴えたのだ。警察に。助けてくれと」
彼女と同じ状況に陥った場合、頼るのはまず警察だ。
だが、命の危険を訴えた彼女に助けの手すら差し伸べず、
取り返しのつかない事件が起こってしまった後は自分たちに都合の悪いことを隠すために
事実を隠蔽し、個人を攻撃する警察の何を信じればいいのか?
全ての警察がこうであるとは思わないけれども。
市民を守り、犯人を追いかけるべき警察のこの有様。
自らの足で殺人犯を探し当てた著者の尽力がなければどうなっていた?
考えるだけで、ぞっとする。
一個人の警察官が第一に守るべきもの。
たとえそれが自分であり、自分の家族であったとしても。
組織としての警察が守るべきものは組織ではなく市民だ。

清水氏の成し遂げたこと。
警察がやらなかったこと。
当時の上尾署の方々にはきちんと考えてほしい。
軽んじられる命はあってはならない。



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「楊令伝7 驍騰の章」北方謙三 (集英社文庫)



近づく激戦の時を前に静かに語られる、
それぞれが抱えた覚悟や歩んできた人生。
彼らの間に悲壮感はない。
やるべきことをやりながら、ただひたすらに時を待つ。
彼らの会話から、男たちの関係性や想いが垣間見れることが嬉しい。
そして、とてつもない喪失が待っていた終盤。
声を呑み込んだ代わりに涙が溢れた。
最後に伝わった息子に対する父の深い想い。
そして、楊令が見せた激情。
彼とて、完璧な人間ではないのだと。
想わせる一面が嬉しく、そして哀しい。
犠牲は双方にあった。
「昔の自分を知る人間がいなくなった」
童貫の孤独がとても淋しい。
戦いは、始まったばかり。

「どういう意味かわからなかった」と、彼は言う。
そう。『楊令伝』から加わった者達にはわからない。
だけど、『水滸伝』から読みつづけている私にはわかる。
そんな、北方の表現が心憎い。
久しぶりに開いた『楊令伝』。
彼らがそこに居る。
ただそれだけで、胸に広がる心地よさ。
帰ってきた。
そんな気すらするのだ。
つまり、好きすぎて大変です。(笑)

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「オズの魔法使い」



突然のたつ巻でオズの国へ飛ばされたドロシー。
その国で出会った旅の仲間は、かかし、ブリキのきこり、ライオン。
ドロシーは自分の国に戻るために。
仲間たちはそれぞれが抱えた悩みを解消してもらうために。
偉大なるオズの魔法使いに逢うために、エメラルドの都を目指すわけだけど、
その旅の途中でぶつかった困難の中で、
彼等はそれぞれが望むものを知らず、手にしてしまっているんだよね。
全く気付いていないところが微笑ましい。
そんな彼らに対するオズの采配はお見事。
さて。
ドロシーがどうやって自分の国に帰ったのかは読んでのお楽しみ。
ライオンが荷車で運ばれていく絵に私、大笑いでした。


小学校1年生の姪っ子ちゃんにプレゼントするのにはおあつらえ向きの『オズの魔法使い』だと思いました。。
「ポプラ世界名作童話」として刊行されているうちの一冊。
先日は「徳間アニメ絵本」として刊行されている『魔女の宅急便』をプレゼントしたら、
そのラインで出ている他の作品を図書館から色々借りてきて読んでくれてたみたいなので、
『オズの魔法使い』も気に入ってくれたら、他の作品にも興味を持ってもらえるかな?と。
『赤毛のアン』『秘密の花園』『トムソーヤの冒険』『長くつしたのぴっぴ』『十五少年漂流記』
等々……タイトルを並べるだけで、私、楽しくなってしまいます。




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