きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2017.11.07 「死に向かうアダージョ」小池真理子(双葉文庫)
- 2017.11.04 「天使たちの探偵」原尞(ハヤカワ文庫JA)
- 2017.11.03 「交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~」 榎田尤利(SHYノベルス)
- 2017.10.31 「黒龍の柩 下巻」北方謙三(幻冬舎文庫)
- 2017.10.19 「黒龍の柩 上」北方謙三 (幻冬舎文庫)
- 2017.10.05 「チャイルド・オブ・ゴッド」コーマック・マッカーシー(早川書房)
- 2017.10.02 「空飛ぶ広報室」有川浩(幻冬舎文庫)
- 2017.09.27 「サイメシスの迷宮 完璧な死体」アイダサキ (講談社タイガ)
- 2017.09.23 「ガラスの獅子」北方謙三(光文社文庫)
- 2017.09.20 「遊戯」藤原伊織(講談社文庫)
「死に向かうアダージョ」小池真理子(双葉文庫)
自己陶酔もしくは自己憐憫の果ての心中。
詰めが甘いから、その計画は破綻する。
そこから先の展開は、巻き込まれた久里子にとっては悲劇だっただろう。
奔走した彼らの知人にとっても、いい迷惑だ。
だが、彼ら二人に限ってはもはや滑稽としか言いようがない。
自分の運命を相手に委ねた責任は自分自身に在る。
思い描いた通りの結果にならなかったからと言って、
相手だけを詰るのは筋が違う。
「絶対」は在り得ない。
「私だったら、死ぬのも生きるのも、好きな男の人の傍を選びますよ」
青砥夫人の言葉がものっすごい健全に響いた。
「ばっかじゃないの」という言葉を胸の中で呟いて、消化不良のまま読了。
『恋』と同時期に書かれたことに対する私の勝手の期待感が大きかった。
やーん。すっきりしなーい!←そもそもすっきりする内容じゃないんですけど(笑)
心中モノは榊原姿保美さんの『雪うさぎ』が私の中では神作品。JUNE作品なんですけどね。
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「天使たちの探偵」原尞(ハヤカワ文庫JA)
天使たち。
即ち、子どもたちの係わる6篇が収録された短編集。
人と人。
その関わり方が、どれも少しずつ物悲しくて、胸が疼く。
天使たちの探偵はスーパーマンではないけれども。
誠実に彼らと、そして仕事と向き合い、
絡み合った糸を紐解いていく。
『少年の見た男』聡明さ故に、少年の背負ったもの。この先の彼の人生に影を落としませんように。
『歩道橋の男』人の弱さは他人が計るものではない。彼女はあんなにもしなやかだ。
『選ばれる男』清々しい政治家に久しぶりに出会った。少年の笑顔がただ嬉しい。
あとがきにかえての書き下ろし。
その短さで、その密度。
凄いわ!と、唸るしかなかった。原尞、全力でおススメします!
「残念ながら、探偵は無口なのです」
この台詞でなぜか「おしゃべりな殺し屋」を連想した。
原尞と北方。ハードボイルドつながりの、佐賀つながり。
「交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~」 榎田尤利(SHYノベルス)
今回は『夏のリング』のみ再読。
久留米と魚住のその後を書いてくれて、本当にありがとう!
シリーズ一作目から再読をはじめて、
ここまで読み切って改めて幸せに泣けました。
長い長い遠距離恋愛の終焉が
まさかあんな形での着地になるなんて、思ってもいなくて。
びっくりして、嬉しくて。
ジワッと泣けました。
作中で彼らは38歳。
全く変わっていないと思っていた彼らの在り方だけど、
久留米の想いも、魚住の想いも、更に確固たる方向へ変わっていて。
一歩踏み出した魚住の変化が、私とても嬉しかった。
サヤカと良樹のカップルも可愛らしくて素敵。
みんなお幸せに☆
記念本らしく様々なカップルが登場しますが、
私やっぱり轡田さんとユキが大好きです。
この流れだったら次は『ラブ&トラストシリーズ』か?って感じですが。
次は未読で積んである『nez【ネ】』にいきます。(笑)
「黒龍の柩 下巻」北方謙三(幻冬舎文庫)
時代の波に乗り切れなかった近藤勇。
滲む彼の諦念が、とても哀しい。
そして土方は、時代と共に駆け抜けたのか、
或は、時代に抗ったのか。
いや、彼は最後の瞬間まで彼の人生を駆けていた。
夢のかけらをその胸に抱いて。
かけらが砕けて散った時、彼は別な男へと生まれ変わる。
男たちは掲げた夢のために一丸となって戦っていた。
一刻を争う激動の時代において、
時を待とうとしたことが夢を壊した。
これは、時代の波に乗り切れなかった男たちの物語。
そして、移り変わる時代を精一杯生きた男たちの物語。
ハードボイルドな幕末小説。
北方浪漫、ここにあり!
「戦に、限界があると思っているのか。
あるのは、勝つか負けるか。
生きるか死ぬか。
それだけだ」
彼を迎え入れるためにそこまでの覚悟で戦っている男たちがいるのに。
「待つ」ことを是とした彼。
だったら何故北を目指した!?と、言いたくなったけど。
彼にはほかの誰もが担えない責任と思いがあった。
ならば、「無念」という言葉は彼にだけは口にしてほしくなかった。
こうなることを選んだのはあなたなのだから。
そんな時「BAKUFUって統べろう!」を思い浮かべてみたら、憤りも消えました。←色々台無し(笑)
「黒龍の柩 上」北方謙三 (幻冬舎文庫)
史実と虚構の見事な融合。
もう、これが史実でいいんじゃない?と言いたくなる、北方流新選組。
己の描いた通りの死に様を見事に貫いた男。
切ないまでに散り際を模索し続ける男。
そして、変革する時代の先を見極めようとする男。
決してまみえるはずのなかった男が語った国の在り様が、彼を北の大地へと誘うのだ。
「誠」の旗の元に集った男たち。
肩で風を切って闊歩していた時代も、確かにあった。
だが、自らの意思ではどうにもならない時勢に流されながら、
何時しか彼らの道は分かたれていく。
大局のその先を見据えた男の行く末はどうなるのか。
下巻、読むしかないよね。
そもそもが「兼定」がきっかけで再読しようと思った私の動機は
どうなの?って感じではありますが。
動機はさておき、きっかけがあったおかげで再読できているわけで、結果オーライ?
五稜郭にもう一度行きたいな。
水滸伝シリーズありきの見方になっちゃうけど、
ここから水滸伝……というより、楊令伝の方に通じるものがあっちこっちで感じられて
なんだか感慨深い。
大河をまともに見ていたわけではないのに、
沖田総司のビジュアルは藤原竜也以外の何者でもなくて
よっぽど印象深かったのね、としみじみ思ってみました。
「チャイルド・オブ・ゴッド」コーマック・マッカーシー(早川書房)
大きな感情の起伏はなく、明確な理由も示されぬまま、
どこまでも「人」としての営みから外れ、転落していくバラード。
自分と同じ人間の括りだと思えないのか、思いたくないのか、
「人間に慣れている類人猿」という比喩がストンと落ちる。
もはや「犯罪」という言葉では形容しきれない彼の所業。
その根底にはあるのは、原始的、或は本能的な何か。
洞窟の腐臭すら漂ってきそうな緻密な描写。
感情が一切排除されたその描写には、想像の付け入る余地はない。
どこまでも淡々と綴られる渇いた言葉に牽引され、
彼の蠢く深い闇の中に引きずり込まれる。
そして、指先で削り出した光に、自分が人間であることに、安堵する。
鬱々とした感情が振り切れるように揺れたのは、バラードが泣いた時。
美しい自然の光景を目にして泣く資格はあなたにはないと。
そんな言葉を突きつけたくなった。
というわけで、読メ登録1000冊目はマッカーシーで。
どんな本?と尋ねられたら、形容がとても難しい。
「空飛ぶ広報室」有川浩(幻冬舎文庫)
頑張って楽しく感想書こうと思ったけど、
頑張るものではないので率直に(笑)
リアルを知るためにはこの上ない構成だと思うし、
リアルを知ってもらうことってとても大事。
でも、リアルに震災を体験した身としては、最後に加えられている
「あの日の松島」に全部持っていかれて、どよーん、となっています。
できれば、違う出版物として出していただけたらありがたかった。
震災を語りたくないわけじゃないんだけどね。
この作品自体は震災を語るものじゃなくて、彼らの再生と成長をわくわくしながら追っていく物語。
だから、この作品は幸せに読み終わりたかった。
Finマークついたところまでは、本当に楽しかったから。
全く感想になってないけど、たまにはアリだよね。
ブルーインパルスは機会があったらリアルに飛行しているところを是非見ていただきたい。
はじめて見たのって、インディー観戦に行ったツインリンク茂木。
サーキット場でブルーインパルスジュニア(改造バイク)の地上でくるくるする可愛い走行(?)を見て喜んでいたら、轟音と共に空を駆け抜けた機体。そのまま披露されたど迫力の展示飛行。
震える程感動しました。
結局、松島基地まで航空祭を見に行くほどハマった思い出。
「サイメシスの迷宮 完璧な死体」アイダサキ (講談社タイガ)
思い出を大切に抱えていくことと、事象を寸分違わず記憶していくことは意味合いが違う。
思い出と共にその時感じたあらゆる感情がリアルに押し寄せるとしたら?
しかもそれが負の感情だったら?
それはとてもしんどい。
超記憶症候群の羽吹とそんな彼とバディを組むことになった神尾の物語。
異常犯罪の真相を紐解いていくと共に、随所で語られる彼らの過去。
この物語そのものが、この巻だけには留まらない、
綿密に練られたプロットで構成されているのだということに気付かされ、興奮マックス。
彼等はこれからもバディとしての距離感を模索しながら、
良いコンビになっていくんだろうなぁ。
続刊、期待します♪
とりあえず自分が女性警察官の身体条件を満たしていないことは理解しました。
宇宙飛行士もダメなんだよね。いや。そもそもお呼びじゃないんですけど(笑)
父親の死の瞬間に立ち会えなかった神尾の悔恨。
イロイロ事情があって、父親の葬儀の時は絶対に泣くまいと意地を通した私。
素直に泣けるまで一年かかったことをちょっと思い出してみました。
「ガラスの獅子」北方謙三(光文社文庫)
獅子とは、雄々しく誇り高いもの。
ガラスとは、砕け散るもの。
タイトルの意味を悟った時、覚悟が決まった。
彼はとっくに腹を括ってそこにいるのだということがわかったから。
関島と林。
二人の策士に巻き込まれた形になった野崎だけれども、
結局は自らの意思で首を突っ込んでいく。
事態は次第にキナ臭くなり、
探偵なのか傭兵なのかもはやわからない働きっぷりになっていくわけだけど、
だからこその野崎。
ガラスの獅子が貫き通したプライド。
孤高の獅子が零した本音は、何よりの手向けになるだろう。
そして、満身創痍の獅子は眠る。
明日また、立ち上がるために。
美雨と野崎のちょっとほのぼのしい感じの会話がやっぱり好き。
シリーズ三冊、読友さんからのプレゼント本。
ありがとうございます!
「遊戯」藤原伊織(講談社文庫)
5編の短編連作は未完に終わる。
もっと彼の織り成す世界に浸っていたいという想いが込み上げる。
だが、彼はもう、どこにもいない。
だから、この物語は終わらない。
彼らの朝は永遠に繰り返される。
陽の光が射しこむ穏やかな朝で良かったと。
そう、思う。
拳銃の存在感が半端ないんだけど、意味するところを考えたところでそれこそ意味がない。
未完の物語の後に収められた短編「オルゴール」は
登場人物たちの悲哀の色を帯びた人生を描いた物語。
燃えるような赤い夕陽を鮮明に脳裏に思い描きながらの終幕。
その余韻は、夕陽の残光のように胸にチラつくのだ。
この、読後にジワジワと波紋のように広がる余韻は藤原伊織ならでは。
未完の『遊戯』とい遺作の『オルゴール』。
これを読んじゃったら、彼の作品は全部読み切ることになっちゃうのよね~、
と、なかなか手を出せなかった作品ではありますが。
今が読むタイミングだったようです。
始まりは『テロリストのパラソル』から。
出逢えて良かった作家さんです。