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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「楊令伝4 雷霆の章」北方謙三(集英社文庫)



北と南とで起きた混乱の鎮圧に奔走する国を横目に、彼らはひたすらに牙を研ぐ。
今は力を蓄える時。
いずれ来るその日に備えて。
かつての梁山泊からの仲間達の阿吽の呼吸がたまらなく好き。
そして、新しく育った若者たちと次第に呼吸が噛み合ってくる様が感慨深い。
確実に年月は過ぎている。
ただ、そこに在るだけで彼らの心の拠り所だった母との別れ。
私にとっても大きな存在だったのだと実感した瞬間。
酒を酌み交わす彼らの姿にしんみりしました。
呉用はある意味、方臘の傍で新しく生まれ変わっている最中のように思える。
方臘の在り方は認めることはできても、やり方は好きにはなれない。

童貫じゃないけど、方臘の戦はスカッとしない、というか不気味。
とはいえ、そんな方臘の傍にいて、呉用が前より活き活きとしている様には、
よかったね、と言いたくなる。
それにしても呉用の眼帯は白い貝。
白い貝と呉用。
イメージが合致しない……(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

岳飛、血海紅河を泳ぎ、花飛麟、騎上身を翻す。西の方、胎山には及時の雨、もはや降らず。南を閙がす凄風の宴。

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「楊令伝 3 盤紆の章 」北方謙三(集英社文庫)



かつての彼らは、宋だけを見据え、相対してきた。
大きな敗戦を経験した今、宋のみならず、遼、金という国の情勢までも見据えて、
立ち上がろうとしている。
起するところは「梁山泊」。
掲げられる旗。
そうだよね、と、心が震える瞬間。
この巻まできて、長い長い序章を終えてようやく動き始めたという感慨深さ。
今回は子午山での場面がとても印象深い。
かつて、この地で暮らした者達の名を挙げていけば、
王進あっての梁山泊という思いが湧く。
今回旅立った花飛麟や張平のこれからに期待。
食事や船での脱糞。
日常が描かれることで、彼らがぐっと身近になる。
戦禍の中を、彼らと共に駆け抜けるのだ。

完全再読だった水滸伝とは違い、楊令伝は途中から未読。
結末を知らずに読み進めるワクワク感を味わっています。
未読の方は是非『楊家将』→『血涙』を!と心からおススメしたくなる巻。
世界は繋がっているのです。


内容(「BOOK」データベースより)

楊令は、幻王として金軍を率いながら、梁山泊の重装備部隊とも連携し、遼に侵攻した。呉用が潜入する江南では方臘の叛乱が拡大し、宋地方軍に大きな痛手を与えている。一方で聞煥章は、帝の悲願の地である燕雲十六州に、ある野望を抱いていた。ついに宋禁軍に出動の勅命が下り、童貫は岳飛を伴い江南へ出陣する。宋、遼、金国、方臘と入り乱れての闘いの火蓋が切られた。楊令伝、擾乱の第三巻。

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「真夜中の喝采 きんぴか3」浅田次郎(光文社文庫)



やだ、寂しい!
と、読後に思いがけずしんみりとしてしまった。
馬鹿みたいに楽しい時間が、ずっと続いてほしいと思っていた。
だけど、あの暮らし自体が夢のような時間。
いつかは現実の中に立ち返って行かなければならない。
それぞれひきずってきた過去と向き合い、或は乗り越え、未来へ。
「バイバイ、バディ」
このタイトルを見てしまった瞬間から、覚悟はできてた。
やだ、でも泣きそう。←想定外。
時代の波に全く乗れていない男が三人寄り集まれば、
こんなにも愉快で人情味あふれた物語になる。
脳内BGMは何故か長淵剛の「乾杯」。
ピスケン、軍曹、ヒデさん、貴方達に幸あれ!

どこにでもいる普通の主婦かと思っていた克也の奥様。
さすがヤクザ若頭の女房。啖呵の切り方が半端なくカッコよかった。
改めて、プレゼントしてくださった読友さんに感謝。
ありがとうございます!


内容(「BOOK」データベースより)

草壁明夫が殺された。広橋をスケープゴートにした大物政治家・山内龍造の悪行を報道した、あの気鋭のジャーナリストが…。訃報を耳にした広橋は凍りつき、草壁に伝え忘れたセリフを口にするために立ち上がる。一方ピスケンと軍曹は、ヤクザと悪徳政治家が自己弁護と保身に走るなか、正義の暴走を敢行する。三悪漢の破天荒な物語、ひとまず完結。

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「貯金兄弟」竹内 謙礼、青木寿幸 (PHP文庫)



これ、カテゴライズ的には何に当てはまるのかしら?
小説だと思って読み始めたけど、なんか違う感が最後まで拭えず、
貯金や生保やローンの手引きを読んでいるような気分で読了。
兄と弟の金銭感覚が両極すぎて、全く相入れなかったのも
作品世界に入り込めなかった所以かな?
とはいえ。
「小説」としてではなく、「手引書」としてなら
上記のことがとても分かりやすく描かれていて、お勉強になると思います。
お金の感覚は人それぞれ。
私が以前お世話になったFPの先生の
「老後資金は大事。でも、パンの耳生活を送ってまでお金を貯める必要はない」
という言葉が私の胸には刻まれています。
ま、だから何事も計画的に!ということなんですけど。

途中から、この生い立ち、この職業、この設定でBL書いたら
おもしろいんじゃない!と横道に逸れた時点で、私、アウトでした。(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

大卒で広告代理店に勤める浪費家の兄と高卒で消防士になった節約家の弟。幼くして母を亡くしたため、互いに助け合う仲のいい兄弟だったが、人生設計も金銭感覚も正反対。さらに、ある事件をきっかけに、兄は弟に嫉妬と憎悪を募らせていき…。両極端の2人にみるお金との賢いつきあい方とは?貯金からカードローン、住宅ローン、保険、老後資金までがわかるマネー戦略ノベル。

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「楊令伝2 辺烽の章」北方謙三(集英社文庫)



彼の人を断ったその剣で、その者の抱えた業を断つ。
そして彼は、新しく生き始めることができるのだ。
躊躇いもなくやり遂げた楊令の器の大きさを、男たちと共に噛みしめる。
張平、花飛麟、秦容。
育ちも年齢も全く違う子供たちが、
王進の元でまっすぐに育っていく様が微笑ましい。
潜んでいた時期を無駄に過ごした者は一人としておらず、
それぞれの立場で出来る準備をしてきたからこそ、
今ここにきて時は一気に動き出す。
本体に合流しての項充の涙には、胸が熱くなった。
「思い出してしまう人間を持った、俺たちが幸せなんだ」
私もあなたたちに出逢えて幸せです!


この巻にもよく喋るようになった御仁が一人。
喰らった拳……めっちゃ硬そうなんですけど!!
味より硬さが気になって仕方がない。
出来る男、宣賛。
なのに、場所に名前を付けるセンスが壊滅的なところがイイ。
皆で素敵な名前を考えるといい。
彼等の塞は、そうしてかけがえのない拠り所になっていくのだ。



内容(「BOOK」データベースより)

耐えよ、わが友。北方、紅塵が舞いて南方、緋流に染まり、替天旗の揚がる、その日まで。

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「楊令伝1 玄旗の章」北方謙三(集英社文庫)



あれから三年。
潜伏した漢たちは志を胸に抱き、
その時が来ることを信じて黙々と準備を進めていた。
時が満ちていく気配が濃密に漂っていく中、
欠けたるもの、幻の王を求めて、北へ、そして北へ。
「この時機が来てしまったのだな」
果たさた邂逅。雌伏の時は終わった。
それは、託された旗を抱いての、新しい時代の始まり。
過ごした三年という時の分だけ何かを抱え込んだ懐かしい面々との再会に感無量。
そして、王進の住まう変わらぬ子午山の佇まいに安堵する。
散っていった男たちは、今を生きる男たちの胸で生きている。
そして、彼らの子供たちもまた、大きく羽ばたこうとしている。
期待感に胸を膨らませて、次巻へ。

まさか、この物語の中に「日本」という国が登場するとは!
私、私そこにいる!と、ミーハー気分で嬉しくなってしまった。
時代が全然違うことは承知しております
なんだかよく喋るようになってしまっていた御仁が一人。
それも良い変化なのかな?
三年間抱え続けた楊令の想い。
「晁蓋と宋江を合わせたような人間だ」
彼が背負わなければならない運命の重さを感じさせる言葉だ。
「雪を摑み、蔡福は口に入れた。それで、黙ることができた」
この言い回し、北方だなぁ、と、とても印象深かった。
しばらくは彼らと一緒に一喜一憂する日々。
先行した読友さんたちの後を追いかけます!
改めて感想拝見するのがとても楽しみ!


内容(「BOOK」データベースより)

梁山泊炎から三年―。宋との戦に敗れた漢たちは各地に潜伏し、再起の秋を待ち続けていた。燕青は、梁山湖に沈められていた軍資金の銀を引き上げる。呼延灼、張青、史進は各地で流浪の軍を組織していた。青蓮寺による残党狩りが熾烈を極めるなか、梁山泊軍には「替天行道」の旗を託された男、青面獣・楊令の帰還が待ち望まれていた。漢たちの熱き志を刻む「北方水滸」の続編、待望の文庫化。

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「血まみれのマリア きんぴか2」浅田次郎(光文社文庫)



浅田氏の描く家族の姿が好き。
広い邸宅で卓袱台を囲んで豪華な夕食を取るヤクザの若頭福島克也と
その妻子の姿にほっこりする。
破天荒な三人組と親玉は健在。
表題はガチでロシアンルーレットをかます男・ピスケンの一途な恋。
マリアの血で汚れた髪を洗ってあげるシーンが好き。
仕事に命かけてる女にあのプロポーズは頂けない。
だけど、彼の愛に応えられる女は幸せだろうなぁ、と思った。
脳みそ筋肉の軍曹もほんのり恋バナ。
いや、あれはもう親心?
暑苦しくて鬱陶しいけど、軍曹、良い人。
「天使の休日」これはタイトルが深い。
楽しく読了☆

「人間は不幸の分だけ幸せになる権利がある」
軍曹のこの言葉は、名言だと思うの。



内容(「BOOK」データベースより)

ピスケンが恋をした。お相手は、「血まみれのマリア」こと阿部まりあ。泣く子も黙る救急救命センターの看護婦長で、今まさに息絶えんとする重体患者を救うこと数知れず、の奇跡を呼ぶ女だ。あまりに意外な組み合わせに、驚きのあまり絶句する軍曹とヒデさん。一途で不器用なピスケンは、マリアのもとに通いつめるが…。悪漢小説の金字塔、佳境の第2幕。

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「三人の悪党 きんぴか1」浅田次郎(光文社文庫)



刑務所帰りのヤクザ。独りクーデターからの自殺未遂の自衛官。収賄の罪を被った政治家秘書。
世が世なら大物になった(かもしれない)傑物三人が、
「四課は桜の代紋を背負った極道だ」と論ずる定年を迎えた警察官に導かれ
邂逅を果たす。
破天荒な人情話であり、悪を成敗する話でもある。
笑っているうちにホロリとさせられたりしながらも、
結局は痛快に読めてしまうところが、浅田さんだなぁ、と思う。
所々に差し挟まれた二組の親子の姿と、広橋の家族の姿が印象に残る。
軍曹のサイズに合う帽子と靴を探しに行くピスケンの優しさが好き。
次巻で三人がどんな騒動を引き起こすのか。
とても楽しみ。


病院に搬送されたときどんな下着を着けているか?
これって、実はメッチャ重要ですよね~。
「日の丸はパンツの柄には適し得ない。
意匠の中心を正面に持って来れば猥褻。
後部に持って来れば、猿である」
読み始めた直後から大笑いでした。




内容(「BOOK」データベースより)

阪口健太、通称ピスケン。敵対する組の親分を殺り13年刑務所で過ごす。大河原勲、通称軍曹。湾岸派兵に断固反対し、単身クーデターを起こした挙句、自殺未遂。広橋秀彦、通称ヒデさん。収賄事件の罪を被り、大物議員に捨てられた元政治家秘書。あまりに個性的で価値観もバラバラな3人が、何の因果か徒党を組んで彼らを欺いた巨悪に挑む!悪漢小説の金字塔。

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「河北新報のいちばん長い日」



何をすべきか。何ができるのか。
自問しながら懸命に情報を発信し続けた人たちの記録。
そして、あの日起こった震災の記録。
毎日目を通し続けた誌面を今改めて目にし、色々な思いが込み上げる。
日常に呑み込まれて忘れてしまいそうになるけれども。
時々、こうして振り返ることは大事。
そのツールとしての本は偉大だ。
「新聞製作、輸送、配達」
何一つ欠けても、新聞は私たちの手元には届かない。
あの災害に見舞われた直後、新聞の発行を成し得た河北新報社。
それがどれだけ大変な事かは、被災地にいた私は少しは想像できる。
加えて、彼らがどんな思いで記事を書いたのかを、今知ることができてよかった。


地震で学んだことの一部を記載しようと思います。
周知のこともあるかと思いますが、お役にたてれば。
①水。
地震直後はまだ水は出ていました。
でも、いつ止まるか分からない状況で一番最初にやること!
それはお風呂に水を張ることです。
そして、飲料水確保の為にありったけの容器に水を汲んでおくこと!
ウチはこれをしていたおかげで、 水が完全に断たれた翌朝から慌てずにすみました。
②防災袋。
そのうち買えばいいや~、と思いがちな防災袋。
結婚式の引き出物で頂いたこの袋が、思った以上にお役立ちでした。
③必需品。
母が明るいうちに引っ張り出してて役に立ったもの。
・懐中電灯
・あるだけ乾電池
・カセットコンロ&ガスボンベ
・電池式のラジオ
これにプラスして食糧の備蓄があれば、自宅でそれなりになんとか過ごせます。
あと自転車!
あるとなしとでライフラインが止まった後の物資の調達具合が全然違います。
車がつかえないとなると、歩きと自転車とでは行動半径が全然違うので。
④おまけ。
キャスターが付いているものは揺れに強いです。
絶対に転がっていると思っていた液晶テレビ。
キャスター付きのテレビ台にのっかっていたおかげで、
1.5m近く動いていたけど、倒れていませんでした!
自室の等身大の鏡はキャスター付だったので、これも無事。
隣室のキャスター付じゃない鏡は倒れてバリバリに壊れてました。






内容(「BOOK」データベースより)

それでも新聞をつくり続けた。2011年度新聞協会賞受賞。被災者に寄り添った社員たちの全記録。

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「刑事の約束」薬丸岳(講談社文庫)



短編5編収録。
家族に対する愛情が滲む「無縁」と「被疑者死亡」。
「不惑」は過去の柵からの解放。
「終の住処」自らにも息子にも毅然とした態度を崩さなかった野坂。
ちょっとだけ。ちょっとだけ自分を甘やかしてあげてもいいと思う。
生きているうちにしかできないことって、間違いなく在る。
色々噛みしめながら読み進め、
表題でもある「刑事の約束」に読後の余韻は全部持っていかれる。
やりきれない。
夏目が絵美にした約束は、とてつもなく重い。
彼はそれを、生涯背負って生きていくのだろう。
彼がその約束を違えることがないことは、迷いなく信じられるけれども。
壊れかけた彼の心の修復には、どれだけの時が必要なのだろう?

読友さんに、文庫化された薬丸作品は全部読みました!とご報告しましたが☆
『神の子』を買うのをすっかり忘れていたことを、思い出しました。
短編もいいけど、私はやっぱり長編読みなので、上下巻というボリュームにわくわくなのです。
感想をUPしていない『虚夢』はそのうち。


内容(「BOOK」データベースより)

万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌をみせる(「無縁」)。割り切れない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。

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