きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2017.01.12 「女王と海賊~暁の天使たち5」茅田砂胡(C・NOVELS)
- 2017.01.11 「最後だとわかっていたなら」ノーマ・コーネット
- 2017.01.11 「レ・ミゼラブル 上」ヴィクトル・ユゴー(角川文庫)
- 2017.01.08 「二人の眠り姫~暁の天使たち4」茅田砂胡(C・NOVELS)
- 2017.01.01 「検事の死命」柚木裕子(宝島社文庫)
- 2016.12.30 「検事の本懐」柚木裕子(宝島社文庫)
- 2016.12.27 「海賊王の帰還~暁の天使たち3」茅田砂胡(C・NOVELS)
- 2016.12.25 「死んでしまう系のぼくらに」最果タヒ(リトルモア)
- 2016.12.23 「聖の青春」大崎善生(講談社文庫)
- 2016.12.23 「神々の憂鬱~暁の天使たち2」茅田砂胡(C・NOVELS)
「女王と海賊~暁の天使たち5」茅田砂胡(C・NOVELS)
そして役者は出揃った。
怒れる女王の驀進は留まるところを知らず。
何で怒っているのかがわかるだけに、再開の瞬間が楽しみだったわけだけど、
ケリーに一発かました後のジャスミンのあんな素敵な告白が聞けるとは
思ってもいなかったわ。幸せ!私が!
並び立つ海賊と女王の姿に、気持ちが弾みます。
キングの貫禄はさすが。
そして、現役軍人を罵る女王の鈍っていない腕前もさすが。
振り回されっぱなしだったダンだけど、
肝心なところではちゃんと行動できる子(40過ぎのおじさまだけど・笑)でした。
一件落着かと思いきや、最後の最後に最も不穏な爆弾が暴発。
次巻、どうなるの!?
軽妙な会話は相変わらず楽しくて。
彼らの心のなかのツッコミがまた楽しくて。
笑いながら読み進めて、ジャスミンの告白でふわっとした気分になって、
最後のルゥの暴走でハラハラして、エンタメ要素満載な読書時間でした。
だからこのシリーズ、やめられない。
内容(「BOOK」データベースより)
ルウが復活し、キングも帰還し、女王は覚醒し、ダイアナも起動した。だがキングは連邦情報局に捕えられ、女王とダイアナには“ダイダロス・ワン”が繰り出した精鋭部隊が接近しつつある。この“加速する非常識”をルウの力で見せられたダンは呆然と呟いた。「…あかい、ひこうき…」絶好調、暁の天使シリーズ最新刊。
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「最後だとわかっていたなら」ノーマ・コーネット
永遠の眠りの国に旅立っていってしまった最愛の人のために、
何をやっても「やり尽くした」と思えることは、多分なくて。
その人に対する愛が深ければ深いほど、どこかに後悔の念は残る。
だけど、哀しみを抱えながらも、涙を拭って明日を生きていく人たちは、
差し伸べたやさしさや愛は、旅立った人に確かに伝わっていたのだと、思っていいと思う。
とは言え、想いをきちんとした言葉に乗せて伝えることは、忘れずに心に刻みたい。
「ありがとう」「ごめんね」「大好きだよ」
今日伝えられる言葉は飲みこまずにその瞬間に言の葉に乗せる。
それこそ、明日になって後悔しないように。
詩と写真のマッチングがとても素敵。
内容(「BOOK」データベースより)
もし、明日が来ないとしたら、わたしは今日、どんなにあなたを愛しているか伝えたい。9.11同時多発テロのあと話題となり、世界中が涙した感動の詩の邦訳。子どもを、恋人を、兄弟を、親を…、大切な人を想いながら、この詩を読んでください。
「レ・ミゼラブル 上」ヴィクトル・ユゴー(角川文庫)
意思の力だけではどうにもならないことがある。
置かれた現状の中で、人は足掻きながらも生きていかなければならない。
見ず知らずの他人に子供を預けたのはフォンティエーヌの無知。
だけど、彼女にはそれ以外の手段はなかった。
テナルディエのように子供に辛くあたる大人は、現代社会にもいる。
司教に出会えたジャン・ヴァルジャンは幸運だったけれども、
前科があるが故の偏見に苦しむ人生は変わらない。
係った人が、環境が、人を幸福に導き、或は、不幸に陥れる。
苦難に陥っても綺麗な心を失わない人もいれば、心の底から腐った悪党もいる。
本書はそんな人々の人生を描いた物語だ。
「この世に無知と無慈悲がある限り」
無知は教育で補える。
だけど、無慈悲は外的な力でどうにかなるものなのだろうか?
と、懐疑的な想いを抱いてしまう自分が、ちょっと寂しい。
数奇な男の人生の終着点を見届けるために、次巻へ。
【ガーディアン必読 49-1/1000冊】
内容(「BOOK」データベースより)
貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる。フランス文学の金字塔にして娯楽小説の真髄が、コンパクトな新訳で登場。
「二人の眠り姫~暁の天使たち4」茅田砂胡(C・NOVELS)
「ルゥ」という一人の存在があるだけで、
物語がこれほど自由に矛盾なく展開する。
これは本当に作者の力量だと思う。
敵として遭遇したリィとキングは即座に戦闘モードに。
腕前はやはり互角。
生粋の戦士同士の命がけのぶつかりあいは、ヒリヒリとした緊張感を孕んでいて
期待以上でした。
そして待ちかねていた女王のお目覚め。
「瞼をかっと見開き、腹筋を使って」跳ね上がるように起き上がる眠り姫には、
私、彼女以外金輪際出会えない気がする。
目覚めた早々、自分のために船を降りたケリィに対して怒り狂う彼女の気質が好き。
キングとクィーンの並び立つ姿は次巻で拝めるのかしら?
みんながダンがお気の毒だってことに気付いてくれて良かった。
リィとキングの真剣勝負をもうちょっと見ていたかったけど、
大怪我だけじゃすまなさそうなのであのくらいで。
出会い頭に違った意味での戦いが展開されそうな
ケンカップル夫婦のご対面がとても楽しみ。
それにしても……ケリィはやっぱりカッコいいと思うの。
内容(「BOOK」データベースより)
キングは蘇ったとたんルウの死体に遭遇する。何が起きたのかさっぱり訳が判らなかった。リィとシェラは数百光年を一気に飛んだ。しかし事態を何も把握していなかった。混乱の中、一同は“ダイダロス・ワン”―連邦情報局本部に集ったのだ。だが、彼らは互いの存在を知らぬがゆえに相手を容易ならざる敵として認識、必殺の攻撃を繰り出した。
「検事の死命」柚木裕子(宝島社文庫)
故人と距離が近しいが故に、違えることのできない約束。
隠された真実を公にした第三者の決断は、多分正しい。
心に傷を抱えながら生きてきた人たちの枷が外れたことに安堵すると同時に、
彼らの過ごした年数が重くて悲しい。
佐方の検事としての在り方は、父の姿があってこそだということが、
ヒシヒシと伝わってくる。
語らずとも伝わるものは必ずある。
だけど、叶うなら、美味い酒を酌み交わし、語り合う時間を過ごしてほしかった。
彼らの世界で正しく在り続けることは、こんなにも大変なことなのだろうか?
現実的にはそうであってほしくないと思うわけだけど……どうなんだろう?
己の利益を先んじて、国民の生活の安定を蔑ろにしてはいけない、
という会話を今日していたわけですが。
権力を笠に着て真実を捻じ曲げようとする輩が蔓延ってもいけないと思います。
真実をありのままに伝える事。
当たり前のことだと思うのに。なんでみんなあんなに苦労しなくちゃいけないんだろう?
内容(「BOOK」データベースより)
郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が、手紙に託された老夫婦の心を救う「心を掬う」。獄死した佐方父の謎の核心が明かされる、感涙必至の帰郷小説「業をおろす」。大物国会議員、地検トップまで敵に回して検事の矜持を貫く「死命を賭ける」。検察側と弁護側双方の、絶対に負けられない裁判の火蓋が切られる「死命を決する」。全4話を収録した、佐方貞人シリーズ最新刊。圧巻の人間ドラマが、胸を打つ!
「検事の本懐」柚木裕子(宝島社文庫)
検事の仕事が天職であるかのような男の在り方が、
第三者の目線で語られる連作短編集。
人として人と向き合い、検事という職務に真摯に取り組む佐方。
真実を追求することが、誰かを救う。
それが、犯罪者であっても、なくても。
誰に対しても公平で打算のないその姿勢に、背筋が伸びる思いだった。
5作目の短編「本懐を知る」は様々な想いを呑みこみ、秘密を胸に抱えて生ききった人々の物語。
秘匿し続けることは生半可な事じゃなかったと思う。
彼らの根底にあった想いは「恩義」。
そこまでの関係を結ぶことができる誰かと出逢えることは、幸せな気がする。
2016年の読み納めの本。
「本懐を知る」には『検事の死命』で続編があるんですね~。
購入済みなのでもやもやせずにすみます。
世の中には色々なタイプの人がいて、必ずしも付きあいたいと思える人ばかりではない。
仕事で係わっていくのは仕方ないけど、貰い事故みたいに絡まれるのはヤダな~、
というか、怖いな~、と3作目の短編「恩を返す」を読んで思ってみました。
内容(「BOOK」データベースより)
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。
「海賊王の帰還~暁の天使たち3」茅田砂胡(C・NOVELS)
タイトルと表紙からものっすごくわくわくしながら読み始めましたが。
待ち望んだ海賊王はギリギリラストの滑り込み登場で、
しかも本編は不穏な雰囲気と多大なる期待を孕んだまま次巻へ続く……きゃーーー!!!
本当にこのシリーズ、読んだら即次巻!のエンドレスな旅に誘われます。
一応は一般人のはずのダンが超常現象にことごとく巻き込まれていて、
一般人故の振り回されっぷりがある意味お気の毒様。
一方的に責められるのはちょっと可哀想かな。
秘密基地へと乗り込んで行ったリィとシェラ。
彼らの暴れっぷりと海賊王とのご対面の瞬間に期待をしつつ、次巻へ。
復活のシーンは別に真っ裸でも良かったのよ?と、笑いながら思ってみました。
私の恥じらい、どこいった!?(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「きみのお母さんが生きている」突然アレクサンダーから告げられてダンは呆然とした。しかも「お母さんの復活に伴ってお父さんも蘇ってくる」とは何事だ!?ところがこの“彼”の再生体が連邦情報局によって強奪された!己の中に本物の彼を宿しているルウは困惑し―そして奪われた“彼”を追って連邦に乗り込むが。
「死んでしまう系のぼくらに」最果タヒ(リトルモア)
愛が欲しいと叫ぶあなたは、だったら、どれだけ人を愛していますか?
ちょっと意地悪な問いかけかしら?と思いつつ、それが意地悪だと思う私は、
それなりに歳を重ねてきたのね、と、著者の詩を読みながら思いました。
同じ年頃だったかつての私だったら、
彼女の言葉に共感できたのかしら?と思えることがちょっと悔しい。
傷つきやすくてどこか思い上がった瑞々しい若い感性でしか紡げない言葉。
マイナスの感情を全面的に訴えている彼女の詩が、幸福に満ち溢れた文字を綴る瞬間を垣間見たい。
とても綺麗な言葉の音楽を奏でそうな気がする。
若いな~、と、思った時点で、相容れてないですね。
でも、それでいい。
重ねた人生の経験値が加味されて、感じ方は変わる。
だけど、かつての自分の感性を否定することはない。
あの時苦しかったこと、あの時悩んだこと。
あの時逃げ出したかったこと。
すべてを呑みこんで、今の私がある。
とりあえず、幸せ。(笑)
「聖の青春」大崎善生(講談社文庫)
いつから人は、自分が死ぬことを意識するようになるのだろう?
意識した瞬間から、自分の生き様は変わるのだろうか?
重い病気を抱え、幼少期から死が身近にあった彼。
棋士を目指すことに対する両親の理解と支え、良き師匠との出逢い。
彼の目標となり、高みへと誘う将棋界の棋士たち。
多くの人に支えられ、全力で生ききった「村山聖」という棋士の29年。
在るがままの自分を受け入れる強さ。
目指した道を着実に極めようとする強さ。
そんな彼の強さが胸に刺さる。
どの瞬間に死んでも、多分、悔いは残る。
全力、とは言えなくても、それなりにやりきったって言える自分でありたい。
あとがきに寄せられた父、伸一氏のまっすぐな言葉が胸に沁みました。
自分がしんどい時って家族にきつくあたりがちになるよなぁ、と、ちょっと反省。
読了後『3月のライオン』ではなく、何故か『ヒカルの碁』が無性に読みたくなりました。
←すぐ出せるところにあるから危険。
内容紹介
重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖(さとし)。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作(講談社文庫)
「神々の憂鬱~暁の天使たち2」茅田砂胡(C・NOVELS)
科学技術の発達した世界と、魔法や超常現象の飛び交う世界の見事な融合。
私たちの感覚で「あたりまえの事象」を、別な視点から説明する言葉の巧みなこと。
面白いなぁ、と思う。
リィの育ての親のシルヴィと生みの親のアーサーの会話はとても良かった。
そして、リィからのアーサーに対する抱擁と言葉でアーサーと一緒に涙ぐんだはずなのに……
直後で吹き出してしまうところはさすがです、茅田さん。
「目指せ一般市民」という言葉がどうにも胡散臭い四人組。
確実に逸脱するでしょ?という方向で期待しています。
最後の最後で落とされた爆弾に、ここで来た!とテンションあげつつ次巻へ。
最後の爆弾の落とし方が本当に上手い。
どうしても「つ、続き~~!」と唸ってしまうのは、このシリーズではお約束。
作中でウォルについて言及してくれたのが、とてもとても嬉しかった。
場所が変わってもブレない彼らの在り様が好き。
内容(「BOOK」データベースより)
異世界から来たシェラにとって“この世界”は魔法に満ちていた。科学という“誰にも平等に使える魔法”が、人の代わりに何でもやってくれる。しかしシェラは知っていた。“限られた者たちにしか使えない魔法”の存在を。―魔法惑星ボンジュイの存在を。ついに黄金の太陽リィと銀の月シェラ、そして闇のルウの3人が集う。この世界―宇宙に何が起きるのか