きままに読書★
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カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2019.11.16 「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
- 2019.11.13 「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
- 2019.10.28 「逆説の日本史12 近世暁光編」井沢元彦(小学館文庫)
- 2019.10.11 「バスカヴィル家の犬」コナン・ドイル (新潮文庫)
- 2019.10.09 「君が幸いと呼ぶ時間 毎日晴天!9」菅野彰 (キャラ文庫)
- 2019.10.06 「炎の影」香納諒一 (ハルキ文庫)
- 2019.10.03 「月山・鳥海山」森敦 (文春文庫)
- 2019.09.30 「子供たちの長い夜 毎日晴天!6」菅野彰 (キャラ文庫)
- 2019.09.24 「逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 」井沢元彦(小学館文庫)
- 2019.09.18 「華胥の幽夢 十二国記 7」小野不由美 (新潮文庫)
「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
何故討ったのか。
何を成したいのか。
まったく見えてこないその行為に、募る焦燥と苛立ち。
荒廃した国の中でも己の役割を果たしながら生きる人々がいる一方で、
苦しみに耐えるしか術のない民が痛々しい。
信じたいものと現実が同義であるとは限らない。
だけど、信じたいものが潰えるということは、希望も潰えるということ。
そんな現実とどう折り合いをつけて生きていくのか?
自分のことだけを考えていればいいわけではない立場の
李斎の問いかけが重い。
王宮でも、少しずつ事が動き始める。
泰麒が膝を突いた理由が気になる。とても気になる。
余計な情報を拾わないように、帯を外した表紙を並べて悶々とする。
そんな暇あったら続き読みなよ!って感じだけど(笑)
待ち続けたからこそ、飛ばし読まずに大事に読みたい。
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「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
王の不在から6年。
荒れ果てた国でその日の命を明日に繋ぐために生きる人々がいる。
困窮に喘ぎながらも、絶望に呑み込まれなかった人々がいる。
点と点が少しずつ繋がりあっていくのは、
泰麒が行動を起こしたからこそ。
たとえ麒麟としての力を失くしたとしても。
彼でなくては成し得ないことがある。
泰麒が紡いだ虚言。
これは、彼が胎果だからこそ口にすることができた嘘。
彼の国人々は思いつきもしないだろう。
方々で口ずさまれる歌は潜伏の証。
……だと思いたい。
かつて何が起こったのか。
少しずつ語られながら進行する物語。
だけど、いまだ真相は闇の中。
彼の人は何処へ。
読み辛い漢字多くなってない!? と、
既刊再読直後なのに思ってしまった私(笑)。
気のせい?
途中でマッカーシーの『ザ・ロード』を想起させられてしまった。
だけど、これはディストピアではないはず。
そう信じて、次巻へ。
「逆説の日本史12 近世暁光編」井沢元彦(小学館文庫)
リメンバー関ヶ原。
なるほど。
この時の勝敗が後々の明治維新につながると思うと、
歴史は一本の線上に展開されていると、つくづく感じさせられる。
勝利も敗北も紙一重。
勝った人が正義。
だけど、家康以外の誰かが勝者だったら安定した治世が265年も続かなかった気がする家康の偉業。
それも、信長と秀吉の築いた基礎があってのことだと、改めて思う。
過去を知るからこそ未来に備えられる。
このシリーズを読んでくれば、途中で気になる天皇家と徳川家との係わり方。
そこは漏れなくしっかり述べられていました。
万世一系。
続いた比類なさを令和に噛みしめる。
実際に関ヶ原を巡って、竹矢来・馬防柵が復元されている笹尾山にも行っているので
情景が色々浮かんでなんだか感慨深い。
とは言え、当時の私は東軍と西軍の違いもよくわかっていなかったので、
機会があったら再訪したい。
■行った場所:名古屋城・関ヶ原・笹尾山・石田三成陣跡
■行きたい場所:岐阜城・伏見城・東叡山寛永寺
■読みたい本:『真田太平記』池波正太郎・『天皇という「世界の奇跡」を持つ日本』ケント・ギルバート
「バスカヴィル家の犬」コナン・ドイル (新潮文庫)
過去の奇怪な言い伝えの真偽はともかく、
現在のそれは祟りでも呪いでもないことを知っている。
では、彼は何故死んだのか?
どのようにして?
湿った沼沢地の雰囲気が物語の薄気味悪さに拍車をかける。
住みたくないなぁ。←頼まれてない。
ホームズとは離れ、事件の真相を手繰ろうと一人奮闘するワトスン博士大活躍!かと思いきや。
美味しいところはしっかり攫っていったホームズ。
流石の存在感。
彼が加わった途端に空気が引き締まった感じと周囲が抱いた安心感が伝わってきて、
その凄さを実感。
100年経っても面白いモノは面白い。
ホームズ作品三作目。
ホームズが愉快で楽しい。
読みもしないで「ルパンの方が絶対いい!」と言い張っていた学生時代の自分をちょっと反省。
とはいえ、どっちがいいかって問われたら、今でも「ルパン!」って答えるだろうな(笑)
当時のホームズ派だった友だちと、今度ホームズ談義をしてこよう。
【ガーディアン必読 87/1000】
「君が幸いと呼ぶ時間 毎日晴天!9」菅野彰 (キャラ文庫)
両手に余るほどの幸せを抱えて、
誰もが思いもしなかった方向へ迷走(?)した秀。
大河たちは振り回されたけど、
自分を見つめ直して、何を抱えているのかを自覚するまでの時間は
秀にとって必要な時間だったと思う。
大笑いなエンディングが帯刀家らしくてとてもいい。
勇太がホントカッコくて惚れ直すわ。
龍はカッコいいんだけど根本的な残念さが払拭できない。
同録は明信と丈の兄弟喧嘩。
分は丈の方にあるかな。
例え家族と言えども。
自分で選んだ道をしっかりと歩んでいる人に対して
闇雲に否を振り翳してはいけないと思うの。
ちゃんと仲直りできてよかったね。
自分を理解してくれている人がいるということが
どんなに尊いことなのか。
理解した秀がこの先どんな小説を生み出していくのかが気になるわ。
書けるときは起承転結が「降ってくる」。
なんだろうね。あの不思議な感覚。
だから「考える」というより「待つ」時間が長かった。(笑)
「炎の影」香納諒一 (ハルキ文庫)
「憎んでいた」
そんな言葉から始まる物語。
彼の人生を一変させたきっかけは父の死だった。
そのことで何を思ったとしても、死者と語ることはできない。
いまさらに過ぎるのだ。
だが、そのきっかけがなければ、公平は父の本当の気持ちを知ることも、母の元に戻ることも、
人生をやり直すこともできなかっただろう。
真実を手繰ろうと、濃密な時間を駆け抜けた公平に手を貸した人々にも、
歩んできた人生がある。
ハイスピードな展開の中でも
彼らの人生が交錯し、より密接に絡み合い、或は離れていく様が見事に描かれていて、
作品世界に没頭してしまった。
ラスト近くの母親とのシーンが好き。
いくら離れていても、親は親なんだな、と思える瞬間。
そこで笑う人はあんまりいない気がするけど、
流れが妙にリアルで微笑ましくて、私は笑ってしまった。
手を汚す人、命を落とす人が意外と都合よく(?)振り分けられた感じがするのは……
容赦なくガツガツやられる作品を読みすぎたせいだわね。
「月山・鳥海山」森敦 (文春文庫)
「あたしね、自殺をするなら月山で死ぬの」
この作品を読んだ知人の感想である。
その言葉に先入観があったことは否めない。
雪に閉ざされた極寒の世界。
真っ白な深い雪に抱かれ、音のない山中で永遠の眠りにつく……という話ではなく。
死の象徴と言われる月山で雪に埋もれて寒さを耐え忍び、
花の芽吹く春を待つ人々から私が感じたのは、環境に準じて逞しく生きる生命力。
色のない世界で生きる人々の姿が妙に生々しい。
月山、湯殿山、鳥海山。
自分の辿った情景を振り返りつつ読めることが嬉しい。
綴られる日常で発せられる土着の言葉が心地よく響く。
「繭の中で天の夢を見る」
蚕を例えた言葉だけど、この表現がとても好き。
蚕は夢見てる間に茹でられちゃうんだけどね。←おい。
今年は湯殿山と羽黒山を訪れ、来年は月山に行こう、と話していたタイミングだったこともあり、
登録1400冊は読みなれない芥川賞作品で攻めて(?)みました。
「子供たちの長い夜 毎日晴天!6」菅野彰 (キャラ文庫)
自分自身ですら過去の想いだと思っていた初恋を、無自覚に引きずっていた達也。
隅田川に叩き込まれて本当の意味で初恋に終止符を打ち、笑顔の結末かと思いきや。
勇太と真弓が乗り越えなければならなかったものに抉られまくって、笑顔どころじゃなくなってしまう。
育った環境が違えば、考え方も価値観も違ってくる。
だけど、もっと根本的な部分で勇太が囚われてしまったものが辛い。
悪い方へ自分を追い込んで、悪い影響しか与えないと思い込んで。
思いつめた勇太が断ち切ろうとした絆を繋ぎとめた真弓。
彼の声が届いて本当によかった。
基本的には去る者は追わない人ですが。
一度だけ、そんな理由で離れていくなんてどうしても納得がいかなくて、
ガチンコでぶつかって繋ぎとめたことがあります。
根底に好きがあるのにどういうことなの?と。
で、原因を作ったのが自分だって自覚があるから余計にただ手を離すことはできなかった。
何もしなかったら絶対に後悔する。
やるだけやったら、ま、仕方ないって思える。
うん。
あの時の私、頑張ったなぁ。
「逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 」井沢元彦(小学館文庫)
ほぼ秀吉の巻。
好き嫌いは別として、秀吉の業績はすごかったんだな、と認識する。
信長もそうだけど、色々なことが整っていない時代に何かを成し遂げようとする人の10年は、
ものすごく濃密でやりがいがあったと思う。
それだけ犠牲も大きかったけど。
歴史を解釈するにあたって、個々の専門分野に特化せず「流れ」で歴史を見る必要がある、
という論旨には納得。
信長→秀吉→家康と移行していったこの時代は、
三人をワンセットで捉えないと見えてこないものがある。
そして、日本史を語る上で大きな分岐であった時代であることを改めて実感する。→
高松城は水攻め!これ知ってる!と上がるテンション。←戦国鍋知識。
スポーツでよくお目にかかる「天王山」という言葉。
この言葉の語源は初めて知りました。すごーい。
「唐入り(朝鮮出兵)」までの前置きがものすごく長かったけど、
現代まで通じる遺恨について考えさせられる。
■行った場所:善光寺・浅草寺■行きたい場所:有馬温泉・高野山・石見銀山
「華胥の幽夢 十二国記 7」小野不由美 (新潮文庫)
短編5編。
親しんだ彼らの過去だったり、その先の姿だったりを
垣間見られることが嬉しい。
幼いながらも自分の存在意義を模索し、
可愛らしい答えを見出した泰麒のいとけなさに癒されて、
弱みを見せずとも相手の立場を察した陽子と楽俊の交流に微笑ましい気持になる。
「芳」と「才」
この二つの国を描いた短編の濃密さは“凄い”の一言に尽きる。
国を治める事、正しく王で在る事、自らが起こした行為の責任を取る事、
それらの重さが突きつけられる。
そして、それぞれの国を巡って内情を目にしてきた利広と風漢の目線で語られる国の在り様を
しっかりと胸に抱いて新刊を待つ。
予習的な意味合いを含めた復習……という名目でのシリーズ再読完了。
面白かった!
そして新刊を手にする前に改めて読めてよかった。