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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「AIの魔女(上)」 (シグマフォースシリーズ13)ロリンズ(竹書房)



だからあの時、ソイツをどうにかしておけばよかったのに!
と、ジリジリとしながら読み進める。
あっちもこっちも気になることだらけで
ちょっと早く続き!と下巻に飛び込みたくなるところで上巻終了。
それだけ勢いのある物語を読ませつつ。
読者に優しい人物ヒストリーの振り返りをうるさくなく、くどくなく、
サラっと入れてくるところがうまいなー。
中世の魔女狩、最先端の技術を誇るAI。
受け継がれてきた宗教。
そしていつものシグマの面々。
そんな彼らに降りかかったとんでもない出来事。
学習していった人工知能が最後に唱えた言葉に眩暈を覚えつつ、下巻へ。


すいません。
結末知りたいんですけど~~!
わー、下巻をぱらぱらと捲りたい。
自分の楽しをみを台無しにするだけなので、捲らないけど。
作中の「バシリスク」から「D'ERLANGER」を連想し、
思わず音源引っ張り出してしまった。
ひっさしぶりに聴いたけど、かっこいいよ!
……閑話休題。
ここにきてこの展開ってひどいよ、ロリンズ。
わかりやすく例えると、ワンピでのエースがエースが!っていう衝撃に近い。
起死回生あるかな?あってほしいな。

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「皸・別れの稼業」北方健三 (集英社文庫)



別れるにしても、相手の行動を探るにしても、
いろいろめんどくさいなーと思う、人間模様。
もっと単純でよくね?
いや、でも単純に考えられないから探偵が必要になるのか?
そのめんどくさい人たちの依頼に巻き込まれ、
時に拳を繰り出され、傷を負う探偵、浅生。
だけど、その探偵もめんどくさい。
時に依頼を飛び越したことをやらかして、誰かに殴りかかっている。
おいおいおい。
だけど、それが彼のスタンス。彼の生き様。
そう納得させるだけの筆致が北方にはある。
まだ青臭さの片鱗が残る浅生。
成熟した年齢に達したとき、どんな男になっているのか。
興味あるなー。


悔しいとかつまらないとか、そんな感情を混ぜ込んで煮詰めた鍋って……鍋って……怖いよ!
鍋に込める思いは「おいしくなりますように☆」でいいよね?いいよね??
なんか強烈でした。

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「ライオンのおやつ」小川糸(ポプラ社)



こんなホスピスがあったらお世話になってみたい。
だけど、それは私がひとりぼっちだったらの話。
できるなら、最後まで家族と一緒にいたい。
そう思える自分が、幸せだと思う。
生きることの執着地点は死ぬこと。
その定めからは逃れられない。
「泣いても笑っても同じ人生。だったら最後まで笑っていきましょう!」
自分が心に抱え続ける言葉はこれしかないかな。
多分笑っていられる。
だけど、小さな子どもが闘病している姿はほんと辛くて、
彼らに向けて同じことを言えそうにはない。
これから誰かを見送るときは「良い旅を」と。
心の中で語りかけようと思ったお借り本。

QOL。
大事だよね。
この先また抗癌剤治療をするかしないかの二択に迫られることがあったとすれば。
まずは脱毛の有無を確認しよう。
そして食事ができなくなるほどの嘔吐感の有無。
この二つがなければ投薬を前向きに検討してもいいかな?
じゃなかったら本気で悩むなぁ。
100%完治する!というのでない限り、むしろやりたくない。
抗がん剤治療をしながらもやりたいことをやりきった
(沖縄に行き、コンサートにも行った)私ですらそう思います。

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「罅・街の詩」北方謙三 (集英社文庫)



商社から私立探偵に転職した男のもとに舞い込む依頼を綴った7編。
依頼主からの依頼に応えるのと同時に、
何故か調査対象者の事情にも首を突っ込むことになり、
時に傷だらけになっている風変わりな探偵。
意図してるかどうかはわからないけれども、
彼の捜査は「人に寄り添う」ことに則って行われている。
だから、彼らは話す。
それぞれが抱えた事情を。
探偵は時にそれを聞き流し、時にそっと手を差し伸べる。
物語の主役は、常に事情を抱えた彼らだ。
北方にしか醸し出せない何とも言えない情緒が滲む物語。
心地良すぎて読後もしばらく浸っていたくなる。


読み終わってから知ったけど、これ、シリーズ物で続刊があったんですねー。
知らなかったよ!
一話完結の短編でよかった。
ってか、続刊から読まなくてよかった。そこは運が良かった(笑)


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「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ (新潮文庫)



社会的立場の男女差が刺さる。
より窮屈で息苦しさを感じるのは女性の方。
とはいえ、アンナが苦痛に苛まれる要因は、己自身で招き入れたもの。
一方で、カレーニンが到達した許しの境地。
相手に対する後ろめたさを自覚する者にとって、
あの清廉さを向けられるのはキツイ。
まぁ、責められてもキツイんだろうけど。
子ども恋しさに泣くなら不倫なんてしなければいいのに。
抱き続けた恋を成就させたリョーヴィン。
キチイが妻として一人の人間として成長していく様が、
良い結婚だったと語っている。
アンナがヴロンスキーの愛情を疑い出した時点で、
不穏な未来しか感じられない。


近代ロシアの歴史的な背景をここまで織り込まれた小説を読むのは
初めてだと気付いてみた。
確かに、自分の読書歴を思い返してみれば、
ロシア文学にはほとんど触れてこなかったので、とても興味深い。
そして、少ないながらも読んだロシア文学から受ける印象は、
ロシアの人はおしゃべりである、ということ。
【ガーディアン必読100-2/1000冊】

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「コゴロシムラ」木原音瀬(講談社)




揺るぎない自己肯定。
作中から受け取ったものは、この一言に尽きる。
どんな姿であっても、どんな環境で生きてきても、自分は自分。
胸を張って言い切るその姿から伝わるのは、
圧倒的な美しさと力強さ。
そりゃあ、仁科も呑みこまれるだろうよ。
兄と二人、濁りのないとても綺麗な世界で生きてきたことが伺える世界観。
現実と折りあいながらも、
新には彼自身の住まう世界に君臨する唯一の神であり続けてほしい。
ある時点を境に起こった現象には、何らかの原因がある。
突き詰めるのではなく、考えることを放棄し、封じてしまった事こそが悲劇。


帯の「ホラーミステリー」はいらないかな?
ホラーじゃないから。
そもそもホラーに全く食指が動かないので、
自分では絶対に買わないであろうお借り本。
楽しく一気読み。

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「天平の甍」井上靖(新潮文庫)



西暦700年代。
命掛けで海を渡り、異国で学んだ遣唐使たち。
移動も誰かに会うのも写経をするのも。
今の時代とは費やす時間があまりにも違う。
それでも一つのことを探求しつづける彼らの姿勢には背筋が伸びる。
志半ばで道を逸れる者にも事情があることが汲み取れるのもリアル。
唐に渡った普照が高僧鑑真を伴って帰国するまでに費やした歳月は20年。
当時鑑真は66歳。
二度と故国には帰れないことを覚悟しての来日であっただろう。
彼らの熱意の根源は仏教への深い思い。
唐招提寺の落成で物語は終わる。
彼らの痕跡を実際に辿ることができるのは僥倖。


興福寺、東大寺の大仏。唐招提寺。
1400年程前の建立物を未だこの目で見ることができる事実に、
自分が悠久の時の流れの中で生きていることを実感する。
そして支倉常長がヨーロッパへ渡るのがいかに大変だったのか。
実際にそれをサンファン館で学んできただけに、
その時代よりもさらに古の時に荒波を渡っていった彼らの苦難の道を思う。
初読の時は業行が辿った運命に「ああ」と頭を抱えたくなったけれども。
今なら「リスク分散」を強く主張したい。

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「この夏のこともどうせ忘れる」深沢仁 (ポプラ文庫ピュアフル)




彼も、そして彼女も。
この夏に起こった出来事を決して忘れない。
それは、心の底に残された大切な宝物。
かすかな痛みと共に思い出す、ひと夏の想い出。
その夏の延長上に彼らはまだ共にいるのか。
いて欲しいと思ったり、いないだろうと思ったり。
そもそもありえなかったり。
それぞれの話の「ふたり」の関係が透明感のある文体で書かれた短編5編。
爽やかな青春物かと思って読み始め、
衝撃を受けた「空と窒息」。
やるせなくて涙が滲んだ「宵闇の山」。
二人の幸せを切に願った「生き残り」。
チクチクと胸が軋む読後感に浸っていたいお借り本。


暗闇の中に響くのは、寄せて返す波の音。
私がこの場所にいることを知っているのは私と連れだけ。
もしも今、この海に呑みこまれたら、
私がどこに行ったのかは誰にもわからないんだろうなぁと
ぼんやり思った過去の思い出。
ゾクッとしたときに繋いでくれた手のぬくもりがありがたかった。
あの時は頼もしいなぁって思ったんだけど、
あとから思えば、多分相手も怖かったんだろうね(笑)

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「宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)



ここでリチャードの過去が明らかに。
出逢った人によって人生が大きく左右されることがあるけれども。
もしもシャウルがリチャードを見つけることがなかったら?
どう頑張っても明るい未来が想像できなくて背筋が凍る。
シャウルと出逢い、後に正義と出逢い、
出逢いが更なる出逢いを呼び、
胸の内に秘めつづけた想いを解き放つことができたリチャード。
過去の出来事一つとっても
幾人もの人の想いが何層にも重なり、複雑に絡み合っていて
読み応えがある。
「諦めとは違う、現状の限りない肯定」
だから前に進むことができる。今この瞬間の、先にある未来へ。


「お鍋にミルクティ入ってるから」と言い置いて母親が出掛けた後、
寝起きの頭は鍋=コーンポタージュと直結し、
温めてスープカップに注いでスプーンで掬って口に入れて
「なんじゃこりゃ!?」と噴き出した思い出。
コーンポタージュだと思ってミルクティを飲むと
記憶にある味と直結せず、結果未知との遭遇になって慄くことになるのは経験値。

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「その先の道に消える」中村文則(朝日新聞出版社)



美しく繊細な世界観は申し分ない。
そこに彼の思想をぶちこまれるのはなんだか興醒めだけど、
まぁ、そこは我慢できる範囲内。
作中で彼が描くのは「悪」ではなく「闇」。
闇に堕ちた、或はギリギリで踏みとどまっている人たちの心理描写は秀逸。
読む手は途中で止まらない。
だけど。
読み終わってみれば
私も「その周辺を彷徨う」類のカテゴリーに弾かれた感満載。
迷子にはならなかったけど、同調もできなかった。
途中までは凄く楽しかったんだけどなぁ。
葉山さんも嫌いじゃないんだけどなぁ。(むしろ好き)
なんだか惜しい。



エロが書きたければ、
いっそそれに特化したジャンルで書いてみるといいんじゃないかな?
途中であんだけぶっこまれるとしつこいわ!ってうんざりする。
そして、彼の描く女性が根本的に似たようなタイプばかりで、
そこは個人の好みだからいいんだけど、私的には面白みに欠ける。
とりあえずハードカバーで追いかけるのはここで打ち止め。
残念。









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