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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「望郷の道 上」北方謙三(幻冬舎文庫)



商才と求心力に長けた男が道を切り開いていく様には心が躍り、
腹を括った女のカッコよさに惚れ惚れする。
堅実であり、豪胆な男、正太。
粋であり、愛情深い女、瑠瑋。
彼らが共に歩む人生は、実に波乱に満ちたものであると同時に、
生命力にあ満ち溢れたものであるように思う。
商流と時流を読み、細かいことにも目を配って商売を軌道に乗せていく正太の姿には、
社会人として見習うことがたくさんある。
人は人を呼ぶ。
正太も瑠瑋も、生き様でそのことを示している。
明治の経済勃興期。
日本を出て台湾へ渡らざるを得なかった彼らの運命は?
わくわくしながら次巻へ。

北方の曽祖父の物語だったんですね~。
上巻を読み終えて始めて知りました
感慨ひとしお。

内容(「BOOK」データベースより)

時は明治、日本経済勃興期。小添正太は、己の才覚と度胸を武器に真っ直ぐ生きていた。藤瑠〓(い)は、悲壮な覚悟で家業の賭場を守っていた。二人が出会った時、波瀾万丈な運命の扉が開く。婿養子に入った正太は、商才を発揮し稼業を拡大。だが、その隆盛を妬む者達の陰謀が二人を窮地に陥れる。愛する家族を守るため、正太はある決意を固めるが…。

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「緋の残影 炎の蜃気楼2」桑原水菜(コバルト文庫)



揺らぐ自らの存在意義。
果たして、自分は何者なのか?
誰にでも、一度はある問いかけかもしれない。
だが、換召者である彼らにとって、その問いはより業が深い。
それでも、自分らしく在るために戦うことを決意した高耶。
「オレはあんたの何であればいい?」
直江に向けられた高耶の言葉は、
無自覚だけれども、核心を突きすぎて胸に刺さる。
自らの犯した罪に苛まれながらも、それでも、高耶の傍にいることを選択する直江。
過去は消えない。
どうしたって拭えない。
苦しみは彼自身の招いた咎だ。
じゃれ合っているとしか思えないような巻末の怒鳴り合いが、今はただ微笑ましい。


それでも美弥は高耶の妹で。
守るべき存在で。
譲は大切な友達だ。
高耶の人生は、彼の生きてきた十数年の年月は、
間違いなくそこにある。



内容紹介

武田信玄(たけだ しんげん)の怨霊(おんりょう)の暴動を鎮め、平穏な日々をおくる上杉景虎(うえすぎ かげとら)の換生者(かんしょうしゃ)・高耶(たかや)。だが、景虎復活を知り、織田信長軍が動きはじめた。現代を、怨霊が争う《闇戦国(やみせんごく)》に変えようとする織田軍の森蘭丸(もり らんまる)。まだ《力(りょく)》が目覚めきっていない高耶を狙って、つぎつぎと巧妙な罠が仕掛けられる!! また、突然高耶のクラスに現れた、千秋修平(ちあき しゅうへい)と名のる男の正体は…!? 大人気、サイキック・アクション第2弾!!

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「炎の蜃気楼」桑原水菜(コバルト文庫)



タイミングを見計らい、思い切って再読開始。
私の偏った日本史知識の指南書であり、
私の人生を語る10冊のうちの1冊。
荒削りな文体。
時代を感じる事象。
それでも、全てはこの巻から。
直江と高耶。
後に彼らが陥る苦悩を思うと、この巻でまっすぐに目の前の事象に立ち向かおうとする
彼らがとても居たたまれない。
けれども、高耶にとって、何も知らずに人生をやり過ごすことは、多分、できなかったのだろう。
知ることは、定め。全てが宿命。
出会うべくして出会った。
彼らも、そして、私も。
400年の想いを背負った、壮大な物語の幕開けの巻。
闇戦国の始まりです。

私の人生を語る10冊。
『銀河英雄伝説』『十二国記』『ブラディ・ドール』『間の楔』の感想をあげたので、
次は『炎の蜃気楼』でいきます。その次は北方の『水滸伝』かな。
10冊の他は漫画で『エイリアン通り』『頭文字D』『スラムダンク』。
残り一冊はこれから出会う本のために席を空けておきます。(笑)
どれだけ間違った日本史知識かというと、
上杉景勝より上杉影虎。
直江兼続より直江信綱。
私が日本全国を旅するきっかけになったのが、ミラージュと頭文字Dです。
兎にも角にも私は直江に振り回されました。
そして、付き合いの長い友達のほとんどははみんな、ミラージュを読んでいる不思議。(笑)



内容(「BOOK」データベースより)

武田信玄の霊を封印した魔縁塚が、何者かによって破壊された夜、高耶の親友・譲は、火だるまになる夢を見た。「ようやく見つけましたぞ、お屋形様」譲に忍び寄ってくる武者たちの亡霊。強力な霊によって憑依されようとしている譲を救おうとする高耶は、不思議な「力」を使う直江と出会った。自ら何百年も生きた換生者と名のる直江は、高耶に前世からの宿命を告げるのだが。

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「S20/戦後トウキョウ退魔録」(NOVEL0)



表紙の雰囲気からもっとハードでアクション依りな物語かと勝手に思っていたわけですが。
どちらかと言えばコミカル。
でも、時々印象深い言葉をサクッと放ってくる物語でした。
独立した短編の連作。
それぞれの話に織り込まれた、読み終わった時にああ~!それ!と、
膝を打ちたくなる事象が面白い。
笑うところかどうかは謎だけど
「申す 裏谷 申す 裏谷」で爆笑でした。
(脳内映像は「ハイカラさんが通る」。意味不明でゴメンナサイ)
「人間を捨てるな!この世界に絶望するな!」
戦後を生き抜いて今に繋いだ人たちに、心からのありがとう!を。

昭和20年代のああいう描写を見ると、
どうしても『老犬シリーズ』が頭を過る北方脳(笑)
河童のエピソードは良かった。


内容(「BOOK」データベースより)

時は昭和20年。場所は東京亀戸で。敗戦後の混沌とした日本を生き抜く男が二人。紙芝居屋を営む不器用な男が二人。その名、茶楽呆吉郎と襟之井刀次と申します。不治の呪いに機械仕掛け。二人が掲げる看板は、『不思議問題解決承リマス』

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「収容所から来た遺書」辺見じゅん(文春文庫)




タイトルの意味が呑みこめたとき、自然と背筋が伸びました。
戦後、シベリア収容所に抑留されていた多くの日本人たち。
先の見通しの全く立たない絶望的な状況下でも、
彼らを励まし続けた男がいた。
教えられたのは、人々を勇気づける言葉の持つ力。
学び続けることの大切さ。
現状を悲観しない強靭な精神力。
10年以上に及ぶ抑留生活の中で、
彼に精神的に救われた多くの男たちの想いが切々と伝わってきた。
彼らはどれだけの想いで約束を果たしたのか。
人と人。
こんなふうに結ばれる絆が、確かにある。
語り継がれるに相応しい史実の書かれた良書。

しばらくは「白樺派」の言葉を目にするたびに、胸がチクリと疼きそうです。
帰国する彼らを追って海に飛び込んだクロのその後が追記されていて、安心しました。
基本的には感情に流されて読書する質なのですが、
今回は絶対に泣かない!と自分に言い聞かせ、いろんなものを食いしばって読了しました。


内容(「BOOK」データベースより)

敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。ソ連軍に捕われ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ男のその遺書は、彼を欽慕する仲間達の驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかい潜ったものだった。悪名高き強制収容所に屈しなかった男達のしたたかな知性と人間性を発掘して大宅賞受賞の感動の傑作。

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「ルパンの消息」横山秀夫(光文社文庫)



濃密な一日の物語。
その一日の中に、彼らの歩んできた人生があり、彼らの今がある。
追憶でもあり、告白でもある彼らの供述。
あまりにも鮮明に浮かび上がってくる彼らの青春時代。
確かに、共有しあっていた時間。
分かち合っていた想い。
けれども、十五年という歳月は、こんなにも人の在り方を変える。
だが、彼らの「今」は、確実にその十五年前に端を欲しているものなのだ。
次第に浮かび上がってくる事件の真相。
十重二重に畳みかけてくる結末は、息をつく暇を許さない。
重い息を吐き出す読後。
彼らと同じ一日を共有できた疲労感が心地よい。

漸く時間の動き出した彼。
優しい記憶を胸に留めていた彼女。
堅実な人生を歩んでいる彼。
被害者でしかありえなかった彼女。
昔のまま、変わらない彼。
そして、事件解決に奔走した刑事たち。
皆の緊張が解けた瞬間が一気に伝わってくるような読後感。
どうしたって一気読みになってしまう作品でした。





内容(「BOOK」データベースより)

十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。

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「その鏡は嘘をつく」薬丸岳(講談社文庫)



期待か強制か。
愛情かエゴか。
紙一重なんだなぁ、と。
やりたいいことを主張できるだけの明確な目的と意志の強さがあれば
自分の思い描いた未来と親の描いた未来との折り合いをつけることもできるのだろうけど。
彼らの年代や立場を思えば、それがままならない子供たちがいることもあるだろう。
どうしても親や周囲の期待通りにいかないもどかしさ。
そこから逃げることのできない閉塞感。
その揺らぎに付け入る大人は最低だし、ましてや、彼のやったことは人として最悪だ。
たったひとりの命を救おうと、必死で立ち回った青年の姿は、とても痛々しい。
けれども、そんな彼の想いは確かに届いたのだと。
そして、周囲の人の想いもまた、彼に届いたのだと。
思えるラストがあたたかい。

親子の間に確執があって歩み寄りたいと願っているのなら。
早いうちに、と。
想いを伝えられるうちに、と。
思えてならない。
死者に想いを伝えることは叶わないから。
死者からの言葉を聞くことはできないから。


内容(「BOOK」データベースより)

鏡ばかりの部屋で発見されたエリート医師の遺体。自殺とされたその死を、検事・志藤は他殺と疑う。その頃、東池袋署の刑事・夏目は同日現場近くで起こった不可解な集団暴行事件を調べていた。事件の鍵を握るのは未来を捨てた青年と予備校女性講師。人間の心の奥底に光を当てる、著者ならではの極上ミステリー。

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「ガンルージュ」月村了衛(文藝春秋)



偶然居合わせてしまった殺戮現場から拉致された我が子の救出を賭けての壮絶な死闘。
元公安の主婦と元公安の元カレに未練たらたらな教師のバディvs韓国の特殊精鋭部隊。
殺るか、殺られるか。
息つく間もないガッツリハードなバトル展開に突入するかと思いきや。
とある登場人物の際立つ個性(?)により、あっちこっちで大爆笑でした。
リアリティを求めたら負け。
文中の言葉をちょこっと借りれば、バカになった方が楽しめる。
「ただの主婦です」
「ただの先生です」
闘える女子はカッコイイ。
そして、子供ながら祐太郎の頑張りもかっこ良かった。
スカッと楽しく読了しました。

今更私が言及することではありませんが。
『新宿鮫』を既読の方は、頁を捲りながら同じ人物を連想されるかと。
まったく別人なのはわかっていますけど。
あっちの彼女はもっとスマートに戦うとも思いますけど。(笑)
こっちの彼女のバット捌きはピカイチでした。
ああ、そしてここで言っても意味のないことを。
『機龍警察』の続編が!
私はとっても読みたいのです。



内容(「BOOK」データベースより)

韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊「消防士」が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は、そして絶体絶命の母子の運命は―。

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「会いたかった人」小池真理子(集英社文庫)



収録作品三篇。
「会いたかった人」
度を越した執着は恐怖でしかない。
そして、あんな風に向けられた悪意は防ぎようもないことも、また恐怖。
「倒錯の庭」
美しい言葉で紡がれる、狂気を孕んだ男女の情念。
向けられた想いを、女として幸せと感じるか、
恐怖を感じるかは個々人によるのだろうが、私は彼女の幸福感に寄り添える気がする。
でも、彼の感情が逆のベクトルを向いたときは、次は我が身だという怖さは拭えない。
「災厄の犬」
自ら不幸を招き入れている話なんだけど、
読み進めていくうちに果たして本当にそうなのか?という疑念に苛まれる。
気味の悪さはこの短編が随一。

文章の美しさが不気味さをより際立たせていたように思う。
個人的には「倒錯の庭」がとても好き。最も小池さんらしい作品だと思います。



内容(「BOOK」データベースより)

25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして…。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。

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「李歐」高村薫 (講談社文庫)



共に過ごした時間は、ほんの僅か。
だが、その僅かな時間が、男の運命を劇的に変える。
余りにも鮮やかに男の傍に在り続けた、彼の残像。
それは幻影ではなく、確かに感じられる息吹きを伴っていた。
いつかの未来を約束しながら、相見えることなく過ごした十数年。
遥かな夢を胸に秘めながら、その十数年の間に過ごした現実の中にも、
確かに築き上げてきたものがあるのだと。
はっきりと自覚した瞬間の喪失。
胸が軋みました。
自分自身と向き合った時に拾った「恋しい」という想い。
それこそが、男が胸の内に抱き続けた彼に対する真摯な想い。
そして、掴みとった未来。
桜の季節が繰り返し巡ることを願ってやまない。


初読の時は一彰と李歐の関係に心が持っていかれてしまっていたけれども、
守山と笹倉の存在もとても大きかったのだと。
しみじみ思いました。
記憶に残っていた印象的なシーンがいくつもあって、それを時系列がバラバラな状態で
覚えていたものだから、え?あのシーンどこ行った??となることが何度か。
既読の弊害を初めて感じました。
とはいえ。
何度読んでも胸が震える物語。改めて読めて良かったです。


内容(「BOOK」データベースより)

惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。

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