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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「銀河英雄伝説4 策謀編」田中芳樹(創元SF文庫)



【思うのは自由だが、言うのは必ずしも自由じゃないのさ】

崩れる銀河の均衡。
激動する時代。
帝国の腐敗を正し、改革を成し遂げつつあるラインハルト。
ならば、同盟の膿を絞り出すのが何故ヤンではいけないのか?
だが、ヤン自身がそんなことを望んでいないことを知っている。
だからこそ、もどかしさに歯噛みしたくなる。
守るに値しない愚劣な中枢。
だが、そこが自らの属する場所なのだ。
ヤンの傍にユリアンがいないことが、とても心もとない。
けれども、フェザーンでの彼の立ち回りはとても頼もしい。
「行こうか」
ラインハルトの語りかけに応える声はない。
混乱と混迷の果てに構築される世界はどんな世界なのか。
正しく見通せている者など誰一人としていはしないだろう。

個人的な見どころは何と言ってもロイエンタールとシェーンコップの接近戦。
状況的にはテンションあげてる場合じゃないけど、心臓跳ねました(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

第三勢力フェザーンに操られた門閥貴族の残党が七歳の皇帝を誘拐、自由惑星同盟の協力を得て帝国正統政府樹立を宣した。だが、フェザーン高官と密約を交わしていたラインハルトはこの状況を逆手に取り、フェザーン回廊を通って同盟へ大進攻することを目論む。その真意を見抜きながらもイゼルローン防衛から動けぬヤンと、帝国軍の双璧の一人ロイエンタールの死闘が幕を開けた。

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「銀河英雄伝説3 雌伏編」田中芳樹(創元SF文庫)



【夢は共有してこそ価値があるものだった】

国家が倒れた後のどこにしがみつく権力があるのか。
自らが腐海に沈むのは勝手だけど、
安寧を望む人たちを、平穏に暮らしたいだけの人たちを、
腐臭の中に巻き込まないでほしい。
自分たちが固執するものをヤンが欠片も望んでいないことに気付けるくらいだったら、
こんな馬鹿馬鹿しい査問会なんかは開かれないよね。
いっそヤンはここで辞表をたたきつけた方が幸せだったかもしれないけれども、
それは時代が許さない。
腐りきった同盟。
改革の帝国。
そして暗躍するフェザーン。
渦巻く陰謀に溜息をつきながらも、この時代に生きる人たちに惹かれずにはいられない。


双璧の共闘はやっぱりうれしい。
ラインハルトは凍てついた氷の炎を胸に抱え、
ロイエンタールは芯が燻る蒼い炎を抱えている。
お願いだから、と。
祈らずにはいられない。(涙目)


内容(「BOOK」データベースより)

亡き親友との銀河の覇者となる約束を果すべく決意を新たにしたラインハルトに、イゼルローン攻略のための大計が献じられた。その裏で暗躍する第三勢力フェザーンの狙いとは。一方、ユリアンの初陣からの帰還に安堵する間もなく、ヤンは査問会に召喚され、同盟首都に向かう。だがその隙を衝くようにイゼルローンの眼前に帝国軍要塞が出現。巨大要塞同士の戦いの火蓋が切られた。

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「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」椹野 道流(角川文庫)



【せやけど、お前の人生を、代わりに切り拓いてやることはできへん。
 それはお前が自分でやらなあかんことや】

大なり小なりみんな過去にはいろんなことを抱えているわけだけれども。
赤の他人がそれを無遠慮に引っ掻き回す資格はない。
傍若無人なマスコミは、同じことを自分がされたら……という想像力が何故働かないのだろう?
そんな心無い嵐に晒されながらも、自らの過去にきっちりとけじめをつけた海里。
それは、夏神たちの支えや後押しがあったからこそで、
彼が独りきりでその嵐に耐えなければならない状況ではないことが嬉しい。
海里のまっすぐな誠実さはとても素敵だと思う。
嘘もごまかしもないその誠実さは、傷を抱えた人にはとてもやさしく響く気がする。

それにしても、夏神さんの過去が、とってもとっても気になります!


内容(「BOOK」データベースより)

兵庫県芦屋市。この街に、定食屋「ばんめし屋」はある。夜のみ営業、メニューは日替わり一種のみ、幽霊すらも常連客…。この不思議な店で、元イケメン俳優の五十嵐海里は、ただいま料理修業中。芸能人としての挫折を乗り越え、常連客で小説家の淡海とも仲良くなり、順風満帆、と思いきや、後輩の若手俳優・里中李英が店を訪れたことで、再び嵐に巻き込まれ…。人の優しさと美味しいごはんに癒される、泣けるお料理青春小説。

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「地獄の季節」ランボオ(岩波文庫)



「地獄の季節」で撒き散らされる倦怠感と厭世観。
だがそれは、10代ならではの青臭さとも取れるのは、
行間に垣間見れる選民的な意識と、
もてあましたような熱いエネルギーを感じられるからだろうか?
迸る彼の叫びに圧倒される。
「飾画」で綴られる言葉は、
一転して地に足がついたような現実味を帯びた様相を呈してくる。
そして、彼の煌めく言葉の輝きにはっとさせられる。
小林秀雄氏の翻訳の妙もあるのだろうが、
その言葉の美しさに立ち竦むのだ。
早々に言葉を捨てた早熟の天才。
その後、彼が見た世界はどんな色をしていたのだろうか?

内容(「BOOK」データベースより)

16歳にして第一級の詩をうみだし、数年のうちに他の文学者の一生にも比すべき文学的燃焼をなしとげて彗星のごとく消え去った詩人ランボオ(1854‐91)。ヴェルレーヌが「非凡な心理的自伝」と評した散文詩『地獄の季節』は彼が文学にたたきつけた絶縁状であり、若き天才の圧縮された文学的生涯のすべてがここに結晶している。

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「銀河英雄伝説2 野望編」田中芳樹(創元SF文庫)



【宇宙を手に入れること。
 そのためにどんなことでもやらなくてはならないのだった】

最後まで守り通された誓い。
永遠に失ってしまった半身。
責めるべきは己自身。
悔いる資格は彼にはない。
友の死に報いるために。そして、孤独と渇きを埋めるために。
彼は戦いつづけるしかないのだ。
例え宇宙を手に入れたとしても、ラインハルトに真の安息の日は訪れない。永遠に。
心に巣食う果てのない空虚。
敵を欲する飢えを味方にもまき散らさないでほしい、と切に想うのは、
先の展開を知っているからなのでしょうね。
一方のヤンもまた、意に沿わない戦いを強いられることとなる。
何のための国家か。何のための権力か。
問わずにはいられない。

何度も読んで何度も泣いて。
展開は知りすぎているわけで、今回はもう泣かない!と思って読んでいたのに。
結局泣きすぎてパンダ目になっていました(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

自由惑星同盟でクーデター勃発。叛徒鎮圧の命令がヤンに下るが、首都を制圧したその首謀者は、彼が篤く信頼を寄せていた人物だった。一方帝国でも、皇帝崩御以降激化する貴族間の権力闘争の渦中に身を置くラインハルトに、新たな試練が課されようとしていた。不敗の魔術師と常勝の天才、二人の英雄の決断が、銀河史に新たな波瀾を呼ぶ。巻措く能わざるスペース・オペラ、第二巻。

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「銀河英雄伝説 1 黎明編」田中芳樹(創元SF文庫)



【人は自分だけの星をつかむべきなのだ。
 たとえどのような兇星であっても……】

遠く、さらに遠く!
かつて、宇宙を目指して地球を飛び立った持つ人たちは、
飽くなき闘争が繰り広げられる未来を果たして想像しただろうか?
国の現状を正しく認識できていない政治家主導の戦闘で、命を落とす理不尽。
救える命を全力で救い続けた結果、
辞めたくて仕方のなかった軍を辞める時期を逸してしまったヤン。
打倒すべき己にとっての害悪を唐突に失し、
それでも果てのない高みを目指して戦いつづけるラインハルト。
輝かしい業績を重ねる彼の足元に差し込む一筋の影。
これは、“常勝の天才”と“不敗の魔術師”が奏でる銀河の物語。
そして数多の人たちの数奇な人生を描く物語でもある。

一番最初は高校時代に夢中になって読んだ本です。
予備校の授業をサボって作者のサイン会にいったくらい、傾倒していました。
先の展開を知っているからこそ、大事に読んでいこうと思います。
また彼らの軌跡を追えるのが楽しみ。

内容(「BOOK」データベースより)

銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、民主主義を掲げる自由惑星同盟が繰り広げる飽くなき闘争のなか、若き帝国の将“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る不世出の軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーは相まみえた。この二人の智将の邂逅が、のちに銀河系の命運を大きく揺るがすことになる。日本SF史に名を刻む壮大な宇宙叙事詩、星雲賞受賞作。

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「最後の晩ごはん ふるさとだし巻卵」椹野 道流(角川文庫)



ありのままの自分を受け入れてくれる場所があって、
自分を無条件に信じてくれる人たちがいれば、
たとえ、この瞬間がどんなに苦しくても、明日に想いを繋ぐことができる。
濡れ衣をかけられて人生をめちゃくちゃにされ、
行くあてもなく、頼る人もいなく、暴力に晒されながら命を諦めかけた海里が夏神に救われ、
そんな海里が現実に絶望した幽霊を救う。
夏神のもとで料理人になることを決意した海里。
自分に何ができるのか。何をしたいのか。
気付いた時からやり直しがきくのが人生なんだと思っています。
ご飯は美味しそうだし、掛け合いは小気味よいしで、楽しく読み切った物語でした。

内容(「BOOK」データベースより)

若手イケメン俳優の五十嵐海里は、ねつ造スキャンダルで活動休止に追い込まれてしまう。全てを失い、郷里の神戸に戻るが、家族の助けも借りられず…。行くあてもなく絶望する中、彼は定食屋の夏神留二に拾われる。夏神の定食屋「ばんめし屋」は、夜に開店し、始発が走る頃に閉店する不思議な店。そこで働くことになった海里だが、とんでもない客が現れて…。幽霊すらも常連客!?美味しく切なくほっこりと、「ばんめし屋」開店!

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「槐」月村了衛(光文社)



【愛する人を守るための戦い。
 そのためには、まず自分が生き残らねばならない。】

表紙と中表紙の綺麗さと、突如として繰り広げられる虐殺現場の凄惨さのギャップに、
まずぎょっとした。
絶体絶命の状況に恐怖に戦く公一たちと同じように息を呑みながら頁を捲り、
「槐」というタイトルの意味が明確にされたとき、物語に対する見方が変わる。
そこからさらに加速がついて一気読み。
自分本位だった少年少女たちが次第に互いのために全力を傾けるようになり、
子どもたちを守るために、大人もまた捨て身の覚悟で戦いに挑む。
恐怖と緊張を強いられた一夜の間に展開された壮絶なバトル。
亡くした命もあったけれども。
傷を抱え込まずに成長の跡が見て取れた子供たちの姿に安堵した。

さすが月村了衛氏。
一気に読ませるスピード感に乗せられるまま走り切り、どっと疲れた読後でした。
ラスト一文、すごくよかった!


内容(「BOOK」データベースより)

弓原公一が部長を務める水楢中学校野外活動部は、夏休み恒例のキャンプに出かけた。しかしその夜、キャンプ場は武装した半グレ集団・関帝連合に占拠されてしまう。彼らの狙いは場内のどこかに隠された四十億円―振り込め詐欺で騙し取ったものだ。関帝連合内部の派閥争いもあり、現金回収を急ぐリーダー・溝淵はキャンプ場の宿泊客を皆殺しにし、公一たちは囚われの身に…。そのとき、何者かが関帝連合に逆襲を始めた!圧倒的不利な状況で、罪なき少年少女は生き残ることができるのか!?

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「一瞬の風になれ 第三部」佐藤多佳子(講談社文庫)



【人生は、世界は、リレーそのものだな。
 バトンを渡して、人とつながっていける。】

青空の下を全力で駆け抜けたような爽快感。
読後に胸を満たすのはそんな感情です。
新二がいたから陸上を続けることができた連。
連がいたからより速く走ることができた新二。
親友でライバル。そしてかけがえのない仲間。
一緒に走ることが楽しくて。とても楽しくて。
だからこそ、負けたくはないし、相手より前を走っていたい。
勝負に無頓着だった連が「勝ちたい」という意欲を貪欲に示すようになっていく様子に、
そして、常に速さを希求し続けた新二に、頁を捲る私の方もわくわくした。
彼らはどこまで風に近づくことができるのだろう?と。
途中彼らと一緒に泣きながらも、楽しく読み切った小説でした。

全力で何かに打ち込むことの素晴らしさを改めて思いました。
あのひたむきさ、私の中にもまだあるかな?


内容(「BOOK」データベースより)

いよいよ始まる。最後の学年、最後の戦いが。100m、県2位の連と4位の俺。「問題児」でもある新人生も加わった。部長として短距離走者として、春高初の400mリレーでのインターハイ出場を目指す。「1本、1本、走るだけだ。全力で」。最高の走りで、最高のバトンをしよう―。白熱の完結編。

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「一瞬の風になれ 第二部」佐藤多佳子(講談社文庫)



【でも、もう、降りることのできない山を登っているのだと思った。
 仲間たちと。苦しさと喜びをともに。】

今日と同じ走りを再現することはできない。
すべては、一回きりの走りだ。
だからこそ、その一回がとても大切で、その瞬間にすべてを賭ける。
その一瞬に、様々な想いをぶつけ、感情を揺さぶられ、責任を感じ、
悔しさを噛みしめて、喜びに沸く。
試合で勝てない自分を思い描いたとしても、
明日走ることの出来なくなる自分を思い描いている者はいないだろう。
守屋のために連のみせたこだわりと本気。
健一の怪我がきっかけでぶつけ合う悲鳴のような言葉。
離れようとした部に再び戻っていく新二の姿。連の言葉。
後半は本当に涙が溢れて仕方がなかった。
次巻は「走りたい」という想いを再び胸にいた新二たちの最後の学年の物語。
ドキドキします。


内容(「BOOK」データベースより)

オフ・シーズン。強豪校・鷲谷との合宿が始まる。この合宿が終われば、二年生になる。新入生も入ってくる。そして、新しいチームで、新しいヨンケイを走る!「努力の分だけ結果が出るわけじゃない。だけど何もしなかったらまったく結果は出ない」。まずは南関東へ―。新二との連の第二シーズンが始まる。吉川英治文学新人賞、本屋大賞ダブル受賞。

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