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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「銀河英雄伝説9 回天篇」田中芳樹(創元SF文庫)



【だがせめて、おれが敬愛したごく少数の人々には、
 より美しい死がおとずれんことを。】

譲れない矜持。曲げられないプライド。
ままならない状況に陥れられながらも、一切の弁明を断って叛旗を翻したロイエンタール。
金銀妖瞳を有する男の右目の呟きと、左目の反論。
刻まれる歴史は、誰もが痛みを抱えるしかなかった宇宙の悲劇。
彼が心の底から望んだものは、果たして何だったのだろう?
彼自身にも答えることができない問いかけかもしれない。
全てを受け入れたロイエンタールに悔いはないだろう。
ああ、だけど、彼の最期の願いは叶って欲しかった。
ほんの一瞬でいいから、間に合ってほしかった。
双璧は最後の瞬間まで双璧であったと思います。

ミッターマイヤーの言動が終始胸に刺さり、
ここまできたら彼の手を取ることのできないロイエンタールの想いも理解でき……
結局途中から最後まで泣きっぱなし。
初読の時は戦いを求めたラインハルトに憤りを感じたけど、
これはロイエンタール自身も納得して始めたこと。
だから責任は彼にもある。
確かに、戦いを回避する機会はあったのだから。
だけど、敢えて修羅の道を選んだロイエンタールが私は本当に大好きです。(号泣)


内容(「BOOK」データベースより)

前指導者の遺志を継ぎ、共和政府を樹立した不正規隊の面々。司令官職を引き受けたユリアンは、周囲の助力を得て、責任を全うすべく奔走する。帝国では皇帝暗殺未遂事件が発生、暗殺者の正体を知ったラインハルトは過去に犯した罪業に直面し、苦悩する。そして新領土総督ロイエンタール謀叛の噂が流れるなか、敢えて彼の地に向かうラインハルトを、次なる衝撃が待ち受けていた。

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「銀河英雄伝説8 乱離編」田中芳樹(創元SF文庫)



【生きていてほしかった。たとえ連戦連敗でもいいから】

一つの時代が終わりを告げた。
凶弾に斃れた魔術師。
だが、それですべての混乱と戦いに終止符が打たれたわけではなく、
混沌を抱いたまま、時は変わらずに刻まれ続ける。
残された者達に悲哀に暮れる暇は許されず、
彼らは生きていかなければならないのだ。
ムライの引き際はあまりにもお見事でした。
一人ではヤンに成り変わることはできなくても、
力を合わせて懸命に道を探る不正規隊。
この場合「遺志を継ぐ」という言葉があまりにも妥当でないところが
何とも遣る瀬無い。
始めからヤンは戦いなど望んではいなかったのだから。
双璧の来るべき未来を示した一文が、個人的には一番耐え難いものでした。
次巻……もちろん読むけど、読みたくないわぁ。

「彼の味方に絶望を、彼の敵に失望を」
うん。
でもラインハルトの失望はちょっと身勝手だと思うの。
そして人を陥れる策略を巡らす有象無象の足元には大きな穴が開いてしまえばいい……


内容(「BOOK」データベースより)

宿敵ヤン・ウェンリーと雌雄を決するべく、帝国軍の総力をイゼルローン回廊に結集させた皇帝ラインハルト。ついに“常勝”と“不敗”、最後の決戦の火蓋が切って落とされた。激戦に次ぐ激戦の中、帝国軍、不正規隊双方の名将が相次いで斃れる。ようやく停戦の契機が訪れたその時、予想し得ぬ「事件」が勃発し、両陣営に激しい衝撃を与えた。銀河英雄叙事詩の雄編、怒涛の急展開。

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「迷いアルパカ拾いました」似鳥鶏(文春文庫)



【魔法を期待してはいけない。
 今あるものでなんとかするべきなのだ。】

楽をするのはいい。
でも、違法なことに手を伸ばしてまで楽をしたらダメだよね。
アルパカやカピバラの仕草や描写がとても可愛くて、癒されるわ~、なんて思っていたら。
当の彼らは人間の手によってとんでもない目にあわされていました。
楽しいだけの読後で終わらないところがこのシリーズ。
「実績はいかにしてつくるのか」
自分の仕事にも当てはまる言葉に背筋が伸びました。
楓ケ丘動物園の愉快な仲間たちの活躍っぷりはこの巻でも健在。
変態・服部くんの実生活がとっても気になります。
彼のオトコマエ度が上がっている気がするのは私の気のせいでしょうか?
ラブロマンスの始まりをチラリと匂わせて、この巻は終了。
鴇先生が思いのほか可愛かった!

服部くんのロングコート姿がどストライク。


内容(「BOOK」データベースより)

「ちょっとここで、アルパカ拾いまして」―楓ケ丘動物園のアイドル飼育員・七森さんの友人が失踪した。行方を探る鍵はアルパカ?ハムスター?それとも…飼育員仲間の桃くん、ツンデレ獣医の鴇先生、アイドル飼育員の七森さんや変態・服部君らおなじみの面々が大活躍する、大人気動物園ミステリーシリーズ第3弾!

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「死日記」桂望実(小学館文庫)



【でも母さんが望んでいるなら。
 僕を生んでくれたのは母さんだし、大好きだから】

抱きしめてあげることができないなら。
子供を守ることができないのなら。
最初から生む資格なんてない。
ただ抱かれるだけの女であればいい。
友だち、友だちの両親、先生、隣人、親戚、バイトの雇い主。
誰もが潤を気にかけ、そして愛していた。
けれども、彼の心は満たされることはなかった。
誰よりも愛してほしかった母親の愛情を得ることができなかったから。
それでも彼は母親を愛した。彼女の幸せを願った。
大好きだから。
そう言いながらも、
自分がいなくなったら淋しがる人の名前に母親の名前を書くことができなかった潤。
それでも彼は母親の幸せを願い、母親を守りたいと思った。
母が望むなら、たとえそれが自分の死であっても受け入れようとした彼の気持ちが、とても哀しい。

声をあげて泣きました。
どうして彼は、そこまであんな母親を愛することができたのだろう?
と、思うも、なんとなくわかる気がします。
だからこそ、やるせなくて涙が溢れて仕方がありませんでした。


内容(「BOOK」データベースより)

田口潤は、14歳の中学生。3年への進級を機に、日記をつけ始めた。毎日彼が記すのは、実の父親の死後、母親の新しい恋人になった加瀬という男と3人での同居生活。仕事をせず、次第に母親に暴力をふるうようになった加瀬と、恋人に盲目的に尽くす母親。理解できない彼らの関係に怒りを覚えつつも、ただ母親の幸せを願う潤だったが、やがて彼は不吉な事件に巻き込まれていく―。事件を追う刑事が、少年が綴った日記から明らかにしていく衝撃の真実とは?家庭に潜む暗闇を抉り出した、桂望実渾身のデビュー作。

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「銀河英雄伝説7 怒涛編」田中芳樹(創元SF文庫)



【わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。
 だが、よい君主もよい臣下ももちたいとは思わない】

戦場にあってこそ輝ける星。
と言えば聞こえはいいけれども。
平穏を望む者にとってはその光は苛烈すぎるに違いない。
宇宙の覇者たるべくラインハルトの進軍は止まらない。
そして迎える自由惑星同盟の終焉。
綴られるヤンのジレンマが哀しい。
認め合う人々が何故戦わなければならないのか、と思うも、
ビュコックがラインハルトに述べた言葉にはただ頷くしかない。
常勝の天才と不敗の魔術師。
その名の通り、ラインハルトはハイネセンを掌握し、
ヤンはイゼルローンを奪還する。
刻々と近づく決戦の時。
ロイエンタールの抱える炎と、歪みが個人的にはとても辛い……

ビュコック提督を新雪に例えたラインハルトの台詞になんだか泣きたくなりました。
同盟の雰囲気、ほっとするなぁ…

内容(「BOOK」データベースより)

退役生活に別れを告げ、“不正規隊”を連れエル・ファシルの独立革命政府と合流したヤンは、二度目のイゼルローン攻略を目論む。一方、自由惑星同盟を完全に粉砕するべく、首都ハイネセンへ艦隊を差し向けたラインハルトに、同盟軍の宿将ビュコックが最後の抗戦を試みた。圧倒的劣勢のなか、護るべきもののために立ち上がった老将と若き皇帝の激戦は、英雄たちに何をもたらすのか。

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「トワイライト博物館」初野晴(講談社文庫)



【諦めず前を向くこと。精一杯足掻くこと】

厳しさと切なさと優しさが随所に詰まった物語は、
自分じゃない誰かのために、命がけで頑張った人たちの物語。
一人じゃ頑張れない。だけど、二人なら頑張れる。
信頼できる博物館の仲間達もいる。
焦燥に追われながらも手を繋ぎ、対話し続けた枇杷と勇介。
恐怖の中で励ましあい続けたナナとアルドゴンド。
彼らの必死さが伝わるからこそ、
迫りくる運命を受け入れ、ナナを離したアルドゴンドの決意と、
それをただ見守ることしかできなかった二人の思いに胸が苦しくなる。
だけれども、物語の根底に溢れるのは愛情。
それでも、前を向いて歩いていく強さ。
優しさに胸が締め付けられるような読後感が大好きです。


内容(「BOOK」データベースより)

大伯父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは青い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は固くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。新感覚ミステリー長編!

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「銀河英雄伝説6 飛翔編」田中芳樹(創元SF文庫)



【国家や政府がつねに正しいとはかぎらないことを、
 彼女は多くの経験から知っていたのである。】

妄執の果てに捏造された脅威。
罪なき者に向けた刃で切り返された者たちは、自業自得だ。
穏やかな生活を望んだヤンに、叛意はなかった。
けれども、英雄の抹殺という「然るべき時」を予測し、
策を練っておかねばならなかった事態にため息が出る。
ローゼンリッターの活躍っぷりはいっそ胸がすく。
卑怯者にかける情けはない。
そして彼らのつかの間の休息は終わりを告げる。
帝国内でもまた、人々の身勝手な思惑や逆恨みに燻られて、
きな臭さがジワジワと広がりつつある。
国家と陰謀。
切り離すことができないものなのか。
そして平和に慣れていない人々。
再び動乱が訪れようとしている。

「泣いて馬謖を斬る」
シェーンコップの口から出たまさかの台詞。
今回の巻は登場人物たちの会話がなんだか楽しかった。


内容(「BOOK」データベースより)

今や至尊の冠を戴く存在となったラインハルトを襲う暗殺事件。各処で暗躍する“地球教団”の差し金と知り、ラインハルトは彼らの聖地たる地球に軍を派遣する。一方、悠々自適の退役生活を楽しむヤンも、己の周囲に監視網が巡らされていることに気づく。やがてある日、彼の元を黒服に身を包んだ男たちが訪れた。一度は平穏の時を迎えた銀河は、再び動乱に呑まれようとしていた。

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「銀河英雄伝説5 風雲篇」田中芳樹(創元SF文庫)



【勝たねばならない、か……】

広大な宇宙で相見えることとなった“常勝の天才”と“不敗の魔術師”。
これまで後手に回る防戦を強いられてきたヤンが積極的に勝ちにいこうとした戦い。
激戦の末、今まさに雌雄を決しようかというその瞬間に飛び込んできた
あまりにも理不尽な命令。
爆発的な怒りで震えそうになるけれども。
裏で動いた帝国側の策を知れば、溜飲も下がる。
ハイネセンは堕ちるべくして堕ちたと言わざるを得ない。
ヤンとラインハルト。
相対した両雄は、互いを敬い、その度量を認め合いながらも、決して相容れることはない。
そして新しい王朝の始まりが歴史に刻まれる。
孤高の皇帝の誕生である。

シェーンコップの叫びにはうっかり同調したくなるけれども、
それを是としないヤンにも納得。
ヤンのプロポーズシーンはとっても微笑ましかった。
ロイエンタールとミッターマイヤーの会話には
ロイエンタールが好きすぎてハラハラしつつ、
メルカッツを前にすると何故か背筋が伸びます。
そしてビュコックには何故か敬礼。



内容(「BOOK」データベースより)

フェザーンを制圧下に置いた帝国軍は、今や同盟首都の目前にまで迫っていた。ヤンはイゼルローン要塞放棄を決断、民間人を保護しつつ首都へ急行する。圧倒的な優勢を誇る敵軍に対し、ヤンは奇策を用いて帝国の智将たちを破っていくが、ラインハルトの大胆な行動により、彼との正面決戦を余儀なくされる。再び戦火を交える“常勝”と“不敗”。勝者となるのははたしてどちらか。

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「ダチョウは軽車両に該当します」似鳥鶏(文春文庫)



マラソン大会のコースを逆走するダチョウ。
ありえない状況から明るみに出た事件は、
あまりの身勝手さに怒りを吐き出さずにいられなかった桃くんの気持ちがよくわかる。
それでも、彼は手を出すことは……犯人を殴りつけることはできなかった。
半面、自ら潤う為だけに、平気で他人を犠牲にしようとする人もいる。
コミカルなタイトルと愉快な登場人物たち。
けれども、そこで起こった事件の真相は、相変わらずヘビーだなぁ、と思います。
突き詰めて考えれば、類似した話が転がっていそうで、実際にあり得る感じが嫌。
服部くんの変態っぷりは、いっそアッパレ(笑)
そして、彼の愛犬のインパクトが強すぎましたww
動物園で働く方々の気の配り方は、自らの仕事でも見習いたいところです。

「もっとひどい何かが起こるまでは、自分の身は自分で守らなければならない」
仕方がない状況ではあるかもしれないけれども、
警察、なんとかならないの!?と思わずにはいられませんでした。




内容(「BOOK」データベースより)

県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」―そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者とをつなぐものとは?キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!

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「ハードラック」薬丸岳(講談社文庫)



【それができるのはあなたの親だけなんだから】

職を失い、住む場所を追われ、なけなしの金をだまし取られて立ち竦む。
闇の掲示板を除いてしまったが最後、逃れられない蜘蛛の糸に絡め取られるように
泥沼にはまっていく。
だが、強盗殺人という濡れ衣を着せられ、
ジワジワと追い詰められても、仁は諦めなかった。
自らの手で真相を究明すべく、必死で真実を追い求める。
そして明らかにされる真相は、あまりにも悲惨でいたましいものだった。
これは、現代の日本だからこそ、起こり得る犯罪。
母親という存在が、自分を無条件で愛し、信じてくれることが
どれほど心強く幸せなことなのか。
思わず噛みしめるラストでした。

結局、仁は一人きりではなく、たくさんの人の助けを借りられたからこそ、
真実にたどり着くことができた。
彼が本当に一人で孤独だったら……?
身近に起こりうることであり、決して絵空事ではないと思わせる
リアリティに言いようのない恐怖感が募った。



内容(「BOOK」データベースより)

二五歳にもなって日雇い仕事する失い、「大きなことをするため」闇の掲示板で四人の仲間を募った仁は、軽井沢で起きた放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜおれを嵌めた?信じられるのは誰だ?手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人たち、追う刑事。物語は二転三転し、慟哭の真相へと向かっていく。

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