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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「本日は大安なり」辻村深月(角川文庫)



同じ式場で同じ日に結婚式をあげることになった四組のカップル。
視点を次々と変えながら、それぞれの歩んできた人生を
とても上手く興味深く描いている技量はさすが。
そして描かれている人物達が相変わらずリアル。
共感できる出来ないはおいといて、「わかるわー」とその在り方を納得させられてしまう。
式が進行していくにつれ、彼は彼女を、彼女は彼を
とっても大好きなんだなぁ、という気持ちが伝わってきて幸せな気持ちになれる。
一組例外はあるけど、そこはまぁ、しっかり報いは受けたからね。
「人を殴りに来た」と言った彼が、全く変わっていなかったのが嬉しかった。
皆様、お幸せに☆

内容(「BOOK」データベースより)

11月22日、大安。県下有数の高級結婚式場では、4月の結婚式が行われることになっていた。だが、プランナーの多香子は、クレーマー新婦の式がつつがなく進むか気が気ではない。白須家の控え室からは大切な物がなくなり、朝から式場をうろつくあやしい男が1人。美人双子姉妹はそれぞれ、何やらたくらみを秘めているようで―。思惑を胸に、華燭の典に臨む彼らの未来は?エンタメ史上最強の結婚式小説!

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「武装酒場の逆襲」樋口明雄(ハルキ文庫)



「武装酒場」の続編。
個人的には前作の方が単純に笑えて面白かった。
というか、今回の騒動の原因がシリアスになってしまったから、
単純に楽しい感情だけを追いかけられなかった。
とはいえ、酒に呑まれた酔っ払いたちは健在。
いろんなものがスケールアップしてしまった話の中で、
プロフェッショナルすごい!と、思わず拍手。
その道のプロは、手際よく穴を掘れたり、電気をひっぱってきたり、
いろんなトラップしかけちゃったりできるものなのね。
ラスボスにとどめを刺したヨーコさんには、同じ女子として喝采を送りたいと思います。


内容(「BOOK」データベースより)

阿佐ヶ谷ガード下の居酒屋“善次郎”に転がり込んできた十六歳の美少女は、かつての常連客の娘だった。路上で父が殺された現場を目撃した少女の口を塞ごうと、異様な防護衣スタイルで店を包囲した謎の暗殺部隊。店にたむろするユニークな酔客たちは、たったひとりの少女を守るために再び立ち上がる。もてる知力と体力、勇気、そしてアルコールの力となけなしの幸運を最大の武器として!さらにパワーアップした“武装酒場”の続編がここに登場!「今度は戦争だ!」。

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「わたしのノーマジーン」初野晴(ポプラ文庫)



【自分の力では決して抗えない、一方的に与えられた不完全な存在】

やさしさと純粋さと無知ゆえの残酷さと。
寂しさと、孤独と、不器用な愛情と。
とても切ない感情を抱えた、不完全な存在、ノーマジーンとシズカ。
ぎゅっと抱きしめたくなりました。
あなたたちは悪くない。
だから、ここにいていいんだと。
たとえそれがどんなに残酷な真実だったとしても、
シズカがあのタイミングで真実を知り得たことは、多分、必然だったのだと思う。
シズカの変化に戸惑うノーマジーンに理不尽な感情をぶつけてしまっても。
不自然にしか笑うことができなくなってしまっても。
会えてよかった。その言葉には嘘はない。
「行かないで」
それは、終わりのはじまり。
枯れるまで泣いた後には、きっと心から笑いあえるに違いない。




最近涙腺が決壊しているのか、途中から文字を追うのがタイヘンでした。
素敵なお話に出会えました。
やっぱり初野さん好きだなー。

内容(「BOOK」データベースより)

終末論が囁かれる荒廃した世界―孤独に生きるシズカの前に現れたのは言葉を話す不思議なサルだった。シズカを支えるためにやって来たという彼の名は、ノーマジーン。しかしその愛くるしい姿には、ある秘密が隠されていた。壊れかけた日常で見える本当に大切なものとは。

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「欲望」小池真理子(新潮文庫)



あまりにも美しく、あまりにも狂おしく、そしてあまりにも切ない物語。
彼らのあり様は刹那で醜悪で、だが、におい立つように香しく崇高ですらある。
動から静へ。
時の流れと共に移り変わっていく女の人生が描かれた物語。
と、同時に、そこには彼女を取り巻く人々の人生も紡がれている。
彼らの人生を読み進める中、濃密な官能の中で翻弄され、
押しつぶされそうな胸苦しさに掻き乱される。
そして気づけば、溢れ出る涙に途方に暮れる自分がいる。
彼女の編み出す物語世界の緻密さ、紡がれる言葉の美しさに雁字搦めになってしいまっている。
そしてため息。
しばらくこちら側に帰ってこれそうにもありません。

内容(「BOOK」データベースより)

三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。

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「ジェントルマン」山田詠美(講談社文庫)



【理由なんて、ひとつしかないんだよ。
 ぼくがぼくだからという、それしか。】

彼の行為。彼らの関係性。
それらを、どこかで軌道修正することはできたのだろうか?
いや、それは不可能だっただろう。
何故か?
それは、彼らが再三にわたって叫んでいる。
彼が、彼だから。ぼくが、ぼくだから。
他に理由はない。
倫理、理屈、善悪。
それらすべてを飛び越えたところに起因するものは、ただひとつ。
溢れる想い。
他人には理解されなくてもいい。
時に、染み出す水のように。時に込み上げる慟哭のように。
心の内側から溢れ出す想い。
美しい言葉で紡がれる、歪な世界。
そこに漂う、背徳めいた幸福感。
他者に対してそこまで残酷になれた男の末路。
納得の結末でした。


内容(「BOOK」データベースより)

眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。しかしある嵐の日、同級生の夢生はその悪魔のような本性を垣間見る―。天性のエゴイストの善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説。

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「ふたたびの、荒野」北方謙三(角川文庫)



【この街が、俺には強烈過ぎたんだ。
 安穏な夢なんてものを、抱かせてくれはすない。】

長い間の抗争に終止符を打った最終話。
安穏な夢で良かったのに、と、叫ばずにはいられなかった秋山の死には涙が止まらなかった。
願った通り、仲間に囲まれて眠りについた下村。
ひとりで決着をつけに行ったキドニー。
いつだって身体を張って誰かを支えてきた川中。
何がそこまで彼らを駆り立てたのか。
問うことは無意味だ。
彼らにですら、説明することは不可能だっただろう。
「なにも、終わってはいなかった」
最後の川中の言葉が胸に刺さる。
川中がいるこの街に男たちは流れ着き、根を下した。
シリーズ10巻を通して描かれたのは、鮮烈に生ききった男たちの物語。
友情に篤く、権力と理不尽に屈しない男たちの物語。
一言で表すなら、北方浪漫。
しばらく引きずりそうな余韻を残したまま閉幕です。

内容紹介
ケンタッキー・バーボンで喉を灼く。だが、心のひりつきまでは消しはしない。張り裂かれるような想いを胸に、川中良一の最後の闘いが始まる。”ブラディ・ドールシリーズ”、ついに完結!

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「聖域 ブラディ・ドール9」北方謙三(角川文庫)



【俺は、自分ではおかしな男だとは思っていない。
 ただ、自分の変化にびっくりしているよ】

その男は、車の走らせ方が図抜けて上手いことを除けば、どこにでもいる普通の男だった。
退学をして家出をした教え子を探しにきた高校教師。
殴ることも殴られることもなかった男は、いつしかトラブルの中に巻き込まれ、
下村や坂井、そしてこの街に暮らす男たちと係わりを持つようになる中で、
性根の座った男へと変わっていく。
闘えなかった男が、闘う決意をし、命がけで教え子を守り通したのだ。
だが、その代償はあまりにも大きかった。

賭け事をするキドニーたち。金魚を飼う川中。つるんでいる坂井と下村。
流れた時間の分だけ、営まれてきた彼らの生活がある。
そんな瞬間が垣間見れるのは、なんだか嬉しい。

次はシリーズ最終巻。
覚悟して読みます。

内容紹介

高校教師の西尾は、突然退学した生徒を探しにその街にやって来た。教え子は暴力団に川中を殺すための鉄砲玉として雇われていた……激しく、熱い夏! ”ブラディ・ドール”シリーズ第九弾。

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「鳥影 ブラッディ・ドール8」北方謙三(角川文庫)



【パパにいま、翼をあげたいよ】

これは父と子の物語。
太一と義理の父である中西、そして太一と実の父である立野。
中西の死をきっかけに、三年ぶりに息子と再会した立野が示した真摯さと漢気。
最初は距離をおき、探るように立野を見ていた太一だったけれども、
「立野さん」から「パパ」へ。
呼び方と一緒に変わっていく太一の立野に対する思い。
二人が親子の絆を取り戻していく様は胸に迫るものがあった。
抱えた秘密のために、子供ではなく、男であらねばならなかった太一。
そんな重責を太一に背負わせた中西と、その重さから解放しようとした立野。
必死の思いで悪意ある者たちの手から逃れ、それは、叶うはずだったのだ。
それなのに……
誰かのために奔走する。
ブラディ・ドールの男たちは健在でした。

内容(「BOOK」データベースより)

男は、3年前に別れた妻を救うために、その街へやって来た。「なにからはじめればいいのか、やっとわかったよ。殴られた。死ぬほど殴られた。殴られたってことから、俺ははじめるよ」妻の死。息子との再会。男はN市で起きた土地抗争に首を突っ込んでいき、喪失してしまったなにかを、取り戻そうとする。一方、謎の政治家大河内が、ついにその抗争に顔を出し始めた。大河内の陰謀に執拗に食い下がる川中、そしてキドニー。いま、静寂の底に眠る熱き魂が、再び鬨の声を挙げる。“ブラディ・ドール”シリーズ第8弾。

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「残照 ブラディ・ドール7」北方謙三(角川文庫)



【過ぎた時間は、幻だったと思うことだ。でなけりゃ、やっていけんよ】

過ぎた時間は幻だと思え。でなければやっていけない。
下村にそう言った川中は、だが、すべての過去を抱えて生きている。
彼の眼に宿る暗さは、抱えたものの重さと喪失の悼みの現れなのかもしれない。
自らの死を覚悟した沖田を中心に、持ち上がる騒動。
沖田を守ろうとする川中たち。
死に向かう沖田に惹かれる女たち。
そんな沖田の姿から何かを感じ取ろうとする下村。
自らの生きる道を決めきれず、
ただひたすらに自らの在り方を模索する姿は若者らしくて好ましい。
友だちがいる限り、自分のやったことは無駄じゃない。
そう言って眠りについた叶。
彼の存在もまた、ブラディ・ドールの男たちの胸の中で生き続けるのだ。


内容紹介

消えた女を追って来たこの街で、青年は癌に冒された男と出会う……青年は生きるけじめを求めた。男は生きた証を刻もうとした。己の掟に固執する男の姿を彫りおこす、”ブラディ・ドール”シリーズ第7弾。

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「黙約 ブラディ・ドール6」北方謙三(角川文庫)



【藤木、で死ねますか】

覚悟の訣別。刻まれた墓碑銘。貫かれた男の矜持。不器用な誠実さ。
最期の瞬間に、逢えてよかった……(号泣)
誰もが誰かの為に奔走した男たちの連携はいっそ小気味良く、
この時間がずっと続けば良いのに、と、途中で何度も思った。
川中に見守られる中「いい思いしました」という言葉を残して止まってしまった藤木の時間。
だが、残された男たちの時間は流れ続ける。
自らに課した最後の一線を越えてしまったキドニーの苦悩。
誰もに愛される川中の孤独。そして、
藤木のライターをその想いと共に継承した坂井。
これは喪失の物語。
だが、忘れまいとする人がいる限り、人は死なない。
ブラディ・ドールはただその場所に在り続ける。

内容(「BOOK」データベースより)

砂糖菓子のように崩れていく―。女はそう形容した。そんな男に魅かれるのだと…。手術に抜群の技量をもちながら、野心に背を向け、場末をさまよう流れの外科医。闇診療に手を染めたのも、港町の抗争に巻き込まれたのも、成り行きで意地を張ったのがきっかけだった。だが、酒場に集う男たちの固い絆が外科医の魂に火を点けた。死ぬために生きてきた男。死んでいった友との黙約。そして、女の激しい情熱につき動かされるようにして、外科医もまた闘いの渦に飛び込んでいく。“ブラディ・ドール”シリーズ、待望の第6弾。

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