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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「meet, again.」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



【再読】
言葉は時に鋭い刃となる。
その言葉をぶつけられた相手と、そして放った当人の心をズタズタにする。
そんな傷を抱え続けた嵐。
そして、言葉を巧みに操って他者を傷つける栫。
何が彼をそこまで歪なものにしたのか?
彼の置かれた環境、としか答えられない。
栫の言葉に抉られ、そして救われた嵐は、
歪みを抱えた栫に惹かれ、疲弊していく。
母親同様、過去に捕らわれ続けた栫。
嵐の言葉に応えた栫の眠りからの目覚めはある種の禊。
栫を世界に呼び戻してくれた嵐の心からの笑顔を、今度は栫が取り戻してあげて。
その日は必ず訪れる。

というわけで、登録2000冊目。
節目の数にふさわしい本を選ぶ、というよりも、今一番読みたい本を読んだ結果、
この本の再読ということになりました。
まー、読書の仕方として間違ってない(笑)
これでようやく『林檎甘いか酸っぱいか』にすすめる。
七年近くも積んでしまったことが信じられない。

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「雪よ林檎の香のごとく」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



【再読】
一穂さんらしい綺麗で独特な言葉で構築される、透明な世界。
再読でも読後に尾を引く余韻が半端ない。
心地よいため息。
どこから生まれてくるのかわからないけれども。
気づいたら抱えている「好き」の気持ち。
それを意図的に殺してしまうことはできない。
だから抱え続ける。
そんな志緒の想いが解いた、桂の孤独な決意。
誰かと共に生きていけること。
その幸せをかみしめる。
栫に立ち向かったりかちゃんはかっこいいし、
栫に馬鹿っぽい啖呵を切った桂に笑う。
散々に傷ついた後に手にした光。
幸せになる権利は誰にだってある。
そのことを忘れないで。

続編を読むために再読。
積みっぱなしの同人誌が段箱にひと箱じゃすまない現実に戦慄する身としては、
一冊の本にまとめてくれたのは大変ありがたい。
いや。
同人も商業も読めてない現実は一緒?
買って満足する…という現状をどうにかしないと、積読は減らないよね。
頑張ろう、私(笑)

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「メロウレイン~ふったらどしゃぶり~」一穂ミチ(新書館)



本編その後の短編やSSがぎっしり詰まった一冊。
やさしくてうれしくて、時々ツキンと胸が痛くて。
一顕と整がお互いがお互いを好きだと
改めてしみじみと想う瞬間がとても愛おしくなる。
刻まれた時間の分だけ共有できる思い出が増え、関係を深め、
過去の自分と新たな目線で向き合って、
周囲の人たちとも新たな関係を築いていく。
日常の延長がそこに在って、
しっかりと人生を歩いている彼らの姿に安堵する。
そして叶うならば。
和章のその後もこうやってぎっしり詰まった一冊にしてもらえると嬉しいなぁ。
整が和章の気配をちゃんと感じ取ってくれたことが嬉しかった。


せっかく新刊で買ってるのに、3年半放置したのかーと。
なんだか反省。
そして、もう3年半も経ったのかーと、あまりにも時間の経過が早すぎてびっくり。
時間泥棒がいますよー。←いません。(笑)
同人やペーパーを持っていても、いちいち一冊ずつ引っ張り出すのがめんどくさいので、
一冊にまとめてもらえるととても嬉しい。

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「ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



セックスの悩みを赤裸々に他人に打ち明けることは難しい。
その悩みが、一顕や整の抱えたような深刻なものであればあるほど、口は重くなる。
内に抱えたものに煩悶としながらずぶずぶと深い沼に沈みこんでいきかけた状況から
彼らを引き上げたのは、見ず知らずの他人とのメールでのやりとり。
思いを吐き出す場所がある。耳を傾けてくれる人がいる。
なにより。
同じものを見て、同じことを相手に伝えたいと思った共感性。
崩れそうな想いを支えるかのように腕を伸ばした結果、現状をぶち壊すことにはなったけれども。
前に進むために必要だった禊。
幸せになってほしい。

旧版の方では私がやらかした一顕と同じような間違いメールの話をしたので、
ここでは間違い電話の話を。
今ほど警戒心でガチガチではなかった時代。
気軽く出てしまった見知らぬ携番からの電話は間違い電話。
一度切ったんだけどね。
少したってその男性から折り返しかかってきて。
「周囲に相談できる人がいなくて、ちょっと聞いてもらいたいんですけど…」
と、何故か彼女に対する悩み相談。
気軽く拒否るのがためらわれる声音だったのもあるけど、よく付き合った、私(笑)

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「ぼくのスター」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)



つるむ仲間のグループ化が確立される高校生活。
その枠からすら外れ、自分の殻にこもって学校からも遠ざかりがちだった侑志。
そんな彼の世界に突如飛び込んできた航輝。
その介入の仕方がインパクトありすぎて圧倒される。
あのエネルギーはすごいわ。
全く嚙み合わないながらも二人の会話が成立するのは、
互いが互いを尊重しているから。
二人に限らず、羽山も久住も、
根本的なところで他人を否定しない彼らの在り様がやさしくて心地よい。
そしてキーマンとなる10代のアイドル、ほたるんの在り様がかっこいい。
新しい一歩を踏み出した彼らに幸あれ。

線香花火の件がとても好き。
そしてホテルで「完ぺきじゃん」と(多分)どや顔する航輝に笑う。
大学生になった彼らが、これからどんな人生を歩んでいくのか。
どこかでふと出会えたらうれしいなぁ、と思える二人だった。

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「アロー」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)



気持ちの温度で例えると、低めに進行する物語。
だけど、その熱くない感が心地良い。
関わる人たちの気持ちがあたたかくて、
だけどベタついていない距離感がやはり心地良い。
そしてサラリと放り込まれるいくつもの印象的な出来事。
金子、いい人だよー。
金子がいてこそつながった草と麦。
つながったからこそ、柵から解放された二人。
一人では変わることのできなかった二人の心情の変化の丁寧な描写から、
フラットだった感情の起伏が伺えて、互いに芽生えた想いに安堵する。
表紙とタイトルを改めて眺め、統一された世界観に浸れる読後。
作中の人たちの会話がとても楽しくて好き。

「底までついたらあとは浮上するだけ」って激しく共感。
中途半端なところで踏ん張ってるから苦しい。
だったらいっそ底まで落ちてしまおう。
上に行く以外、行き場がないのだから。
そう思えるようになった瞬間、楽になったかつての私。
ああ、だけど果てしなく穴を掘る夢を見てうなされたこともあったわ~。(爆笑)

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「くぐもったドラム 」英田サキ(ハーレクイン・ラブシック)



どちらが悪いわけではない。
わかってる。
わかってるけど……ばかー!と、叫びたくなる。
人生を賭けた約束を果たそうというその日に二人が見舞われた悲劇。
幸せの明日を迎えるはずが、マティアスは失意の底に。
そこからは傷つき、傷つけあい、或いは負った傷を押し隠しての二人の旅路。
マティアスの本当に健気な強い想いがあってこその再生。
ああ、もう、ルドルフ!なんでそんなときに頭打ってるの~~!?←戦争だからです。
欠けた記憶が生み出す誤解と混乱。
まっすぐゴールできたところをアクロバティックに紆余曲折して、
……あれ?結果的には予定通り?

時代設定が1866。
南北戦争を想起しそうな時代に
普墺戦争が舞台ってなかなかレア……と思ったら、
メインはそこじゃなかった。(笑)
英田さんではなく、だけど、英田さんでもある。
超訳のおもしろさがちゃんと伝わった作品になってるんじゃないかな?

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「彩恋 リンクスノベルス アンソロジー」(冬幻舎)



4作品の番外編アンソロジー。
既読のかわいさんの『平河寮シリーズ』と水壬さんの『エスコートシリーズ』のみ読了。
このボリュームでオールキャラ総出で楽しませてくれる筆力は、お二人ともさすが。
シリーズ全編を再読して臨んだかわいさんは、日常の延長的に楽しんだけど、
間隔がだいぶ空いた水壬さんのシリーズはみんな久しぶりー!とテンションが上がった。
『エスコート』シリーズ以外のキャラも出ていて、想定外なだけにますますテンションが上がった。
こういう企画物、楽しくて良い。
小冊子もお得感満載。
未読の2作品も機会があったら読んでみよう。

『エスコート』シリーズは、さすがに再読できるボリュームではなかったので
自分の感想を読んで復習。(笑)
読メお役立ち。
私はノベルズ版で持ってるけど、文庫だと書き下ろしがあるんだよね。
再読するならそっちにしようっかなぁ。

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「墨と雪2 上」かわい有美子 (リンクスロマンス)



身勝手で残忍な犯罪に巻き込まれ、
心身ともに大きな傷を負った篠口の傍に黒澤がいてくれてよかったと。
つくづく思う。
一人では立ち上がることすらできなかったであろう大きな傷に、
ともすれば、黒澤の言う通り自分を壊そうとしてしまったかもしれない篠口。
そんな彼にやさしく寄り添いつづける黒澤。
曖昧な関係を長らくつづけながら、黒澤が篠口に対してどんな想いを抱いていたのか。
ひしひしと伝わってくる。
そして黒澤の過去も気になる。
丁寧に丁寧に描かれる再生の物語。
ゆっくりでいい。
ゆっくりでいいから、日常を取り戻していってほしい。


焼肉屋さんを経営している妹の友だちがお勧めするお肉の部位はカイノミ!
そんな話をしたばかりだったので、お肉のカイノミチョイスにタイムリ~♪と思ってみました。

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「墨と雪」かわい有美子 (リンクスロマンス)



【再読】
ちょっとここで終わるってどういうことよ!?と吠えた初読時。
え?続きは?!という思いは再読でも変わらないけど、
今回は『墨と雪 2』がちゃんと手元にある安心感。
しかも上下巻。
読み応えがありよね、というわくわくが止まらない。
自分が知らない間に向けられる、粘着質な執着。
一方的なものだけに、防ぎようがないのが半端なく恐ろしい。
自由を奪われての暴力に対する恐怖は計り知れない。
あの奇妙な部屋を施工した業者の人がいるなら、通報しよう。
黒澤の篠口に向けた想いを明確に口にしたところで
本作は終了。
シビアな展開だったので、次は甘さを所望するわ。

ここまでで再読終了。
とても楽しかった。
そしていよいよ新刊に突入します!
たどり着くまでとても長かった。

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