きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2021.03.31 「ハートの問題」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
- 2021.03.21 「恋する犬のしぐさ図鑑」海野幸(ショコラ文庫)
- 2021.03.16 「天使の定理」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
- 2021.03.15 「兄弟の定理」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
- 2021.03.13 「匿名希望で立候補させて」海野幸 (キャラ文庫)
- 2021.03.07 「はな咲く家路」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
- 2021.03.02 「朝から朝まで」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)
- 2021.02.27 「異世界で調子に乗ったら捕まった 下」嘉野六鴉 (Ruby collection)
- 2021.02.24 「異世界で調子に乗ったら捕まった 上」嘉野六鴉 (Ruby collection)
- 2021.02.23 「パブリックスクール -ツバメと監督生たち-」樋口美沙緒 (キャラ文庫)
「ハートの問題」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
自分一人では変わることが出来なくても。
寄り添ってくれる誰かがいることで、変わることが出来る。
その「誰か」も誰でもいいわけじゃなくて、
それこそハートに響いた誰か。
裏表も駆け引きもなく、感情のままに行動しているようなサンだったからこそ、
臆病で傷を負った要の心を解して癒すことができたんだろうなぁ。
しょう子さんの過去が壮絶すぎて、ちょっと鳥肌。
彼女がいつか黒以外の服が着れるようになるといいな、と思うのは余計なお世話かな?
その瞬間、過去から解き放たれたのは要であり、姉のつぐみでもある。
それぞれの幸せの形に収まった彼らの物語。
家族でもいいままでと同じ家族ではない。
いつでも会えるけど、帰らない旅に出た。
その淋しさ、わかるなー。
家から出ていった妹弟を見送った時ってそんな気持ちだった。
子どもの旅立ちを見送るときもそんな気持ちになるんだろうね。
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「恋する犬のしぐさ図鑑」海野幸(ショコラ文庫)
もしも相手の感情を読み取ることができるようになったら?
そんな直紀の都合の良い願いが聞き届けられたものの、
不思議な効力に頼り切らずに恋を成就させたところが好印象。
立ち位置の逆転があって、
そこから重倉サイドの心情が知れてより深みを増す構成がうまい。
感情を推しはかるアイテムが耳と尻尾なんだけど、
尻尾が揺れたり耳がたれたりしている様が
リアルに想像できてめっちゃ可愛かった。
五年前の出来事をお互いが同じような位置づけで胸に抱いていた事実にほっこりする。
から揚げ勘違いが個人的にツボッたお借り本。
「めんどくさい客の要求は通りやすい」にわかりみ。
受けた仕事の依頼は必ず回答期限を聞く。
期限元首は当然だけど、
その中でも時間かけるとうるさい客先の見積はさっさとやろう、って私も思う。
納期の指定と確認をゴリゴリするのは私もやる。
この場合、めんどくさい客は私。
でも、短納期の依頼でもみんなできる範囲でちゃんと協力してくれる。
無理が通った時のお礼は忘れずに。
「天使の定理」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
加速度的に増していく面白さは最後まで勢い衰えず。
圧巻の読み応え。
閉じた世界の中で過去と共に朽ちていこうとしていた弦宇。
そんな彼の世界の扉にうっかり手をかけてしまった槐。
他人と深くかかわらず自らを保ってきた槐にとって、
物事を俯瞰できなくなった時点で傍観者ではいられなくなった。
そこからの二人の文字通り命がけのバトルが壮絶。
そしてまさかの第三者の介入での豪快な着地。
弦宇の抱えた雑音の正体に感極まったところでクライマックスかと思ったけど、
もう一段高みへと引き上げられての読了。
笠井さん絵には見惚れてため息。
前作での不安定さがまったくなくなっていた要斗。
聰一郎との関係が良好な証。
しっかり仕事をしている姿が嬉しい。
今作のその後は堕ちた天使の世話をかいがいしく焼いているツキノワグマの姿が
垣間見られるペーパーが嬉しい。
「兄弟の定理」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
血が繋がってないなら、迷わず飛び込んじゃって良くない?
と思った私が浅はかでした。
血が繋がっていないからこそ、兄弟であることに固執した二人。
だからこそ苦しくて、思い悩み、結局どちらも追い詰められて、
それでも、あるべき答えを見つけ出した二人。
心の中に抱いていた思いをずっと自覚し続けてきた要斗と、
ある意味、無理やり向き合わざるを得ない状況に追いやられた總一郎。
だけど。
あの日、總一郎が要斗に手を伸ばした時点で道は決まっていたのだと思う。
いろんな枠をとっぱらって、二人なりの関係を築いていってほしい。
リビングのどまんなかにダブルベッド。
良いの?(笑)
壁面全部を本棚にしたくて部屋の中央に机を配置しようとした私は全力で家族に止められました。
やだなぁ。本気なわけないじゃん!←(笑)
メフィストフェレス的な立ち回りかな?と思った式見だったけど、
意外とそうでもなくて。
で、スピンのタイトルが『天使の定理』。
あれ?悪魔と真逆……でもないか。表裏一体(笑)
楽しみ!
「匿名希望で立候補させて」海野幸 (キャラ文庫)
三人兄弟の間の拗れた関係の再構築と、彼らの隣人が抱き続けた想いの行方。
個人的には拗れに拗れた兄弟間の仲が解けていく様が読み応えあった。
困ったときに誰よりも親身になってくれるのが家族である一方で、
家族だからこそ見せたくない弱音って確かにある。
そんな時に寄りかかれるのは、弱った心をさりげなくフォローしてくれる他人。
何もかもに秀でたパーフェクトな人だと思われていた長男の
弱さと家族に対する想いにぐっときてしまったお借り本。
そしてあまりにも遅かった恋心に、このニブチンが!と金八先生風に。←世代が……(笑)
甘えるスキルをマスターした彼は最強だと思うわ。
「交換日記」と言うアイテムがとてもとても懐かしい。
手元に一冊も残っていないけど、誰かが持ってるのかな?
全部処分したりされちゃったりなのかな?
私が手元に残してある自筆のノートは
16歳の誕生日になぜか思い立ち、5~6年くらいつけ続けた読書ノート。
これは後生大事にとっておこうと思います。
「はな咲く家路」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
葵とかずさの義兄弟、
そこに慎一と弓子を加えた家族の物語。
過去と現在が交差しながらそれぞれが抱えた想いが描かれる前半。
彼らの心の機微が染み入るように伝わってくる。
就活や卒業という節目を前に将来のことに思い悩みながらも、
自身の歩む道を見つけていく姿が描かれた後半がダントツで良かった。
迷いに迷ったかずさは、行きついてみればそれしかないという答えにたどり着き、
葵に関しては想像しきれない事態に直面したけど、彼の本質は全く損なわれずに安堵。
慎一と弓子の親としての彼らに対する接し方もしみじみ良かった。
マクドナルドの「マクド」呼びに、何となく懐かしさを感じてみる。
大学の頃「マック」呼びが多かった中で、
関西の友人が四年間「マクド」と言い続けてたわ。
ビスコが関係する本を読んだばっかりだったので、
アイテムでビスコが出てきたときは、あ、このタイミングで読む運命だったんだなーと(笑)
「朝から朝まで」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)
今そこに在る人には、生きてきた年数だけの過去があって。
その過去がその為人を形成し、
それぞれが大なり小なり何かを抱えている。
過去の小さな接点がそれぞれにプラスの効果を催し、
更に現在の接点が恋に発展していく。
ちょっとそれどうなの!?ともどかしいところはあれども、
真っ正直に気持ちを貫いた二人が清々しかった。
自分の知らないところで相手に良い効果を与えている関係って素敵。
仕事と向き合う彼らの姿勢も仕事の内容そのものも興味深かったので、
京平が今後、どんな仕事をしていくのか気になるところ。
彼らのクーデター計画の実現を祈る。
どこで初エッチをするかの会話に爆笑。
「おそろしいこと」確かにその通りだわ。
田島アナのように陰で努力して表では涼しい顔をしている女子、私は好き。
纏った服は戦闘服なのです。
「異世界で調子に乗ったら捕まった 下」嘉野六鴉 (Ruby collection)
語られたハルマの過去に息を吞む。
それでも強く前向きに生きてきたこの子は、
幸せになるために異世界にきたのだと思うの。
一冊に含まれた情報量の多さと、時間の長大さには相当なものがあるけど、
詰め込んだ感も駆け足になった感もないところがうまいなぁ、と。
そして、着地したタイトルに含まれた意味に感じ入る。
アーロンのスペックはホント高かった。
楽しく読了のお借り本。
子ども部屋でごろごろする7匹の子竜。
これ、視覚的に見たい。とても見たい!
そして骸霊を借りながら、行く先々でトラブルに見舞われながら
楽しそうに旅をしている二人がもっと見たかった。
個人的に生き返りはアウトなんだけど、
今回のはアウトと思わせたあとの一発逆転セーフ。
うん。それならありだわ。
慧眼だったアーロン父ブランをちょっと見直した。
「異世界で調子に乗ったら捕まった 上」嘉野六鴉 (Ruby collection)
転生した異世界で幸運にも精霊魔法を扱うことに長け、
一級の討伐者ランクで異世界ライフを心底満喫している晴真。
この子のメンタル最高。
どんな状況でも日常を楽しめるって強みだわ。
一方、齢千年を超え、退屈に倦んでいるアーロンは、めんどくさがりながらも晴真の任を受け、
結果的にはその晴真に感化され、冒険の旅へ。
倦んだ日々がワクワクしたものに変わっていく様が生き生きと楽しそうに描かれている。
とある事情から番となった二人にふりかかったまさかの事態。
このあとどうなる!?
交互につづられる一人称の口語体がとても愉快。
あっちこっちで笑わせてもらったお借り本。
晴真が「パンダネコ」呼ばわりしているおかげで、
「パルンダニャーク」が「パンダルニャーク」としか読めなくなっている弊害が。
でも、どこにも影響ないよね(笑)
「パブリックスクール -ツバメと監督生たち-」樋口美沙緒 (キャラ文庫)
スタンの進路。将来。音楽への道。
そして、トラウマからの脱却。
周囲が動いた全ての動機はスタンのためであって、
じゃあ、桂人の想いはどうなるの?と真顔になった。
身を引く覚悟を決め、それでもスタンを支える決意をし、
気持ちを損なうことなくスタンを思い続けた桂人。
そんな最中に他寮の問題まで解決した桂人の器の広さにはひたすら敬意を。
桂人のメンタルが強くなったのは、スタンの、そしてウェリントン寮の仲間のお陰。
今度はスタンの番だよ、と思ったお借り本。
本当の意味で開放することができた弱さ。
ここから、強く在れる。ふたりでなら。
それでも私はメンべラーズは絶対に推さない。
桂人が選んだのがスタンだから。
そして、気持ちが傷つくことがわかっていながら、
裏側から他人を動かして問題を解決しようとする輩には良い印象はないから。
ごめんね、じゃないわよ。