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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「晩鐘」乃南アサ(双葉文庫)



【つまり、それが事件というものなのだ。
 たとえ直接の被害を受けたのではないにしろ、
 爆風を受け、一度でも人生の軌道が狂った人たちは、
 もう二度と、元のレール上に戻ることはできない】

事件から7年。
新しい家族を得た父と姉を目の当たりいしているからこそ、
殺された母のことを思い、癒えることのない傷を抱え続ける真裕子。
無邪気な子供であることを、殺人者の親を持つという運命によって許されなかった大輔が
いたたまれない。
せめて香織が母親であることを放棄することさえしなければ、彼の運命はかわっていたのかな?
と、思わなくもないけれども、彼女にそれを望むのは無理だよね。
建部の存在が二人にとってどんな意味を持つのか。或は、二人の運命をどんなふうにかえていくのか。
良い意味での転機になることを願いつつ、下巻へ……

内容(「BOOK」データベースより)

母親を殺害された高浜真裕子は、そのとき高校二年生。心に癒しがたい傷を負った。一方、加害者の子供たち大輔と絵里は長崎の祖父母のもとに預けられ、父と母を知らずに成長する。運命が変わったあの日から七年、かけがえのない人をもぎ取られた真裕子の心の傷は癒えるのか。殺人犯の父親を持った子供たちは、その運命を受け容れることができるのか。

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「風紋 上・下」乃南アサ(双葉文庫)





【犯人?何のこと?
 私は、お母さんに生きていてほしいと思ってるだけ】

殺した者。殺された者。
だが、事件はそれだけでは終わらない。
どちらの家族もまた、禍々しいまでの嵐の中に投げ出される。
マスコミ、ご近所、第三者。
自らの生活に関係のない人たちにとっては、事件はいずれ過ぎ去っていく事象であり、
結局は他人事だ。
だが、家族は終わることのない苦しみを抱えたまま、この先の人生を歩んでいかなければならない。

被害者側家族の心理も、加害者側家族の心理も生々しく胸に迫ってくる。
時に息苦しさを感じるほどに。
母の死をきっかけに父の浮気、母の不貞という家族の秘密を暴かれた高浜家。
今にもバラバラに壊れてしまいそうな危うい状態にあったはずなのに、
少しずつ「家族」という絆を取り戻していく。
そのきっかけが母の死であったことが、ひどく悲しい。
仕事を奪われ、家族が離れ離れになり、これまでの日常をすべて失った松永家。
それでも生きていかなければならない、という香織の言葉通り、
彼らは疲れ果てながらも懸命に日々を繋いでいく。
「殺人者の子供」として一生生きていかなければならない幼い子供たちが、やはり、悲しい。

人は、絶対に誰かを殺してはいけないんだと思う。

内容紹介

「犯罪被害者に限定して言えば、事件の加害者となった人間以外はすべて、被害者になってしまうのではないかと、私はそんなふうに考えている。そして、その爆風とも言える影響が、果たしてどこまで広がるものか、どのように人の人生を狂わすものかを考えたかった」-乃南アサ

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「鬼やらい 上・下」小松エメル(ポプラ文庫)





【他人を幸せにできる者だけが、己も幸せにできるのだ】

再び喜蔵の元に現れた小春。
前巻ですこしは丸くなったかと思った喜蔵は相変わらずな様子。
人間・妖怪含め、なんだかんだ周りのみんなに気にかけてもらえるってことは、
幸せなことなんだよ、と喜蔵に言いたい。
それでも己を顧みて一歩でも半歩でも前に踏み出ようと決意したところまではいいけれども、
この期に及んで天邪鬼っぷりを発揮して硯の精になんてことを!!
ものすごく気になりつつ下巻へ……

語られる硯の精の過去。
心優しく聡明だった少年との出会いと別れ。
この時係わった人たちが本当に良い人たちばかりで、胸にジンときた。
多門に振り回されながらも、己の心と向き合い、少しずつ頑なさを解いていく喜蔵。
なんだかんだ喜蔵が心配で手を貸してしまう小春は、
やはり喜蔵にとっては福の神なんだと思う。
それでも、彼はこちら側のものではなく、あちら側に帰っていく者。
賑やかな毎日が続くことを期待しそうになるけれども、それはかなわない。
だが、喜蔵はひとりではない。上下巻で対になっている表紙がとても素敵。

内容(「BOOK」データベースより)

厄介な「居候」が百鬼夜行に帰って以降―再会した妹に「共に暮らそう」と言い出せず、むなしく日々を過ごす喜蔵は、多聞と名乗る男と馴染みになる。優雅な声音と物腰で女性を虜にする多聞だが、喜蔵が営む古道具屋で買うのは、なぜか付喪神の宿る品ばかり。同じ頃「女性だけを狙う妖怪が出没する」との噂が浅草を賑わせており…。文明開化の東京で、凸凹コンビが妖怪沙汰を万事解決?大好評を博した『一鬼夜行』シリーズ第二幕前編。
内容(「BOOK」データベースより)

謎の男・多聞に、硯の精たち付喪神が宿る古道具を売ってしまった喜蔵。多聞の正体は、体中にある目で他人を操ることができる妖怪・百目鬼だった。帰ってきた小春から硯の精の悲しくも数奇な過去を聞いた喜蔵は、己のふがいなさを痛感する。二人は付喪神たちを取り戻すべく、「もののけ道」を通って多聞の屋敷に乗り込むことに…。文明開花の東京で、凸凹コンビが繰り広げる人情妖怪譚第二幕、完結編。

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「一鬼夜行」小松エメル(ポプラ文庫)



【死んだらそれまでだ。楽になどなれぬ。
 生きているからこそ辛くもなるが、その逆もある】

百鬼夜行の行列から落ちてはぐれた鬼の小春と、
そんな小春と厭々同居することになった鬼よりも怖い面の喜蔵。
家族や友達に裏切られ、人間など信じぬ、と、
周囲との係わりを疎んじながら生きる喜蔵の気持ちが、
人懐っこい小春との交流を通して少しずつほぐれていく様が心地よい。
小春も過去に様々な事情を抱えていろんな思いを飲み込んで生きてきたけれども、
なんだかんだ周囲に愛されてる妖怪だなーと思うのは、彼の心根がやさしいからなんだろうなぁ。
夜行の途中の妖怪たちがはぐれた小春を探して迎えに来る場面がすごく好き。
気持ちがあたたかくなるお話でした。

内容(「BOOK」データベースより)

江戸幕府が瓦解して五年。強面で人間嫌い、周囲からも恐れられている若商人・喜蔵の家の庭に、ある夜、不思議な力を持つ小生意気な少年・小春が落ちてきた。自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張する小春といやいや同居する羽目になった喜蔵は、次々と起こる妖怪沙汰に悩まされることに―。あさのあつこ、後藤竜二両選考委員の高評価を得たジャイブ小説大賞受賞作、文庫オリジナルで登場。

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「さみしいうさぎ」飯島雪子(ヴィレッジブックス)



【ただ、大切にされていた。
 何もかもを覆い尽くして、空気を甘く感じさせるほどに、愛されていた】

静かに語られる恋愛模様。
愛しさに満ち溢れているのに、読み進めていくほど切なくて苦しくなる。
いろいろな形の愛にあふれた物語。
想いを通わせあう愛。
一方通行で実らない愛。
見つけることの叶わない愛。
親が子に向ける無償の愛。
どの愛も甘くて苦しくて寂しくて切ない。
だけど、いとおしい。
悲恋じゃなくて、とても綺麗なラブストーリーなのに、涙が止まらなくなってしまった。
ぬくもりが恋しくなる本。
切なさの欠片は最後までぬぐえないけど、気持ちが暖かくなる本。


内容(「BOOK」データベースより)

燃えあがるような恋ではないけれど、一緒にいるとなんだかとても心地よい―それが菜月と峻の関係だった。一生ずっと続けられそうな、ふたりの大切な恋。だから、峻が実家の喫茶店を継ぐために故郷の仙台へ帰ることになったときも、菜月は平気だと思っていた。電話だってメールだってあるのだから。それなのに冬が近づき、女性に抱擁を売るリュウセイという青年と出会ったころから、菜月は峻のぬくもりを切望するようになる。だけど、それを彼には素直にぶつけられなくて…。せつなくいとおしい、極上ラブ・ストーリー。

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「破軍の星」 北方謙三(集英社文庫)



【私は、どんな時でも、夢にむかって駈けていたい】

南北朝時代の騒乱を駆け抜けた麒麟児、北畠顕家。
潔くまっすぐに生ききった彼の、短くも鮮烈な生涯の物語。
身勝手な朝廷に理不尽な戦いを強いられながらも、
利通と語り合った夢を追うために、まずは通そうとした義。
即ち、陸奥という新しい国を作るために、試みた京の回復。
そんな彼だからこそ、漢気あふれる武将たちが魅せられ、
それぞれの思いを抱いて運命を共にする道を選んだのだろう。

時代が人を殺すんだなーと、泣けて仕方がなかったけれども、
北畠顕家という人物を知ることができてよかったと思う。

内容(「BOOK」データベースより)

建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが…。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。柴田錬三郎賞受賞作。

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「いい加減な夜食」  秋川滝美(アルファポリス )



シンデレラストーリーかと思いきや、雇われた大学生は自立心旺盛なお嬢様だった!
対する雇用主は何もかもに秀でた超エリートの会社社長。
だけど、恋愛に関してだけはありえないくらいの唐変木。
5年かけて恋しい女に伝えられたのは「自分は彼の愛人である」という勘違いだけ。
35歳にもなって親に「そこまで馬鹿だったのか!?」と言わしめるほどの恋愛音痴。
他が完璧であるだけに妙に笑えるんだけど、振り回される佳乃の方はたまったものではない。
何もかもが周囲にダダ漏れの赤裸々な恋愛事情……自分だったらイタタマレナイ。
とはいえ、半ば強引な結婚を経てのラストは相思相愛の大円団。
軽妙な文体とテンポの良いストーリー展開。
スカッと楽しく読めました!


内容(「BOOK」データベースより)

ハウスクリーニングのバイトをして学費を稼ぐ大学生、谷本佳乃。ある日彼女が、とある豪邸の厨房を清掃していたところ、その屋敷の使用人頭が困り顔でやってきた。聞けば、主が急に帰ってきて、夜食を所望しているという。料理人もとっくに帰った深夜の出来事。軽い気持ちで夜食づくりを引き受けた佳乃が出したのは、賞味期限切れの食材で作り上げた、いい加減なリゾットだった。それから1ヶ月後。突然その家の主に呼び出されたかと思うと、佳乃は専属の夜食係として強引に雇用契約を結ばされてしまい…。

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「シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン2」 小路幸也(集英社文庫)



【何にしても生きていればこそですよ】

勘一は堀田家の……というか、東京バンドワゴンの要なんだなーと、
しみじみ実感した巻。
彼がそこにどーんと構えていてくれるから、みんなが安心できる。
東京バンドワゴンの居心地の良さは、もちろん家族みんなの働きっぷりによるところだと思うけど、
そこにいてくれるだけで、なんだかホッとできる勘一の存在も大きいと思う。
彼の懐の広さとあたたかさが、そんな気分にさせてくれるんだろうなー。

帰る家があるのに帰れない。
とても辛い状況だと思う。
ましてや、余命幾許もない身であるのなら尚更だ。
そんな淑子さんに向けた勘一の言葉にジンときてしまった……
家族は絶対に自分の味方。
そんな世の中であってほしいと、切に思います。

藍子さんとマードックさんのスピード結婚にはびっくりでしたー!

内容(「BOOK」データベースより)

東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。営む堀田家は今は珍しき8人の大家族。伝説ロッカー我南人60歳を筆頭にひと癖もふた癖もある堀田家の面々は、ご近所さんとともに、またまた、なぞの事件に巻き込まれる。赤ちゃん置き去り騒動、自分で売った本を1冊ずつ買い戻すおじさん、幽霊を見る小学生などなど…。さて、今回も「万事解決」となるか?ホームドラマ小説の決定版、第2弾。

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「東京バンドワゴン」 小路幸也(集英社文庫)



【人間間違うことありますよね。許せないことあります。
 でも、それを許してあげられるのは、許せなくてもそばにいてあげられるのは
 やっぱり親子とか家族しかいないと思うんです。(本文はひらがな表記)】

下町で古本屋を営む8人家族+近隣の人たちのあったかくてやさしい物語。
おばあちゃんっ子だった私としてはその8人のなかにおばあちゃんがいないのが残念だけど、
鬼籍に入ってもサチさんはみんなの傍にいて大家族を見守ってくれている。
その語り口調がまた愛情に満ち溢れていてなんだかとっても和みます。
東京バンドワゴン。
本に囲まれていて、カフェまで併設してあるって、なんてうらやましい空間なのかしら?
近所にあったら絶対通っちゃう。
肩の力が抜けて気持ちがほっこり暖かくなる本でした。


内容(「BOOK」データベースより)

東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」。この老舗を営む堀田家は今は珍しき8人の大家族。60歳にして金髪、伝説のロッカー我南人。画家で未婚の母、藍子。年中違う女性が家に押しかける美男子、青。さらにご近所の日本大好きイギリス人、何かワケありの小学生までひと癖もふた癖もある面々が一つ屋根の下、泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎ。日本中が待っていた歴史的ホームドラマの決定版、ここに誕生。

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「海の底」 有川浩(角川文庫)



【それでも、理解してくれる人は理解してくれる。
 そう信じて義務を果たすしかない。】

非日常のパニックの中で奔走する人たちの感情がリアルに伝わってくる。
抱える悩みも憤りも歯がゆさも悔しさも苛立ちも。
恋心も喜びもなんだかひどくリアルに理解できてしまう。
それぞれの立場の人たちの、それぞれの考えや思いが伝わってくる。

歪んだ価値観を指摘され、己の歪みに気づいて彼なりのやり方で尻をぬぐった圭介のことは
好感は持てなかったけれども、その勇気はすごいなーと思った。
自分勝手に騒ぐ子供たちをごまかすことも適当にあしらうこともせず、
まっすぐに真摯に向き合った夏木と冬原のコンビ。
容赦のなさとやさしさと子供たちに対する責任感とが本当にカッコ良かった。
前夜祭に収められた彼らの馬鹿騒ぎ(笑)は最高でした!
そしてそんな彼らの成長を見守る上官たち。
そんな上司の元で働けたら幸せだろうなー。
非常事態を収めるために自分のできる最善のことをしようと奔走した烏丸・明石・滝野……
自国の国民を守るためにどんだけメンドクサイ手続きを踏まなければならないのかを思い知りました。

文句なく面白かったです!

内容(「BOOK」データベースより)

4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく―ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント。



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